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08-ミニチュアシャンプー作りに挑戦
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「いやあ、本当に世話になった」
「こちらこそです、皆さんと過ごせて楽しかったですから」
朝食の後、ジャック達は拠点のある街に戻るというので俺は見送ることにした。
クッキーとみたらし団子のお土産もタッパーに入れて包み、それぞれに渡してある。
「また遊びに来てもいい?今度はお礼持ってくるよ!怪我も治してもらって泊めてもらった恩も返さなきゃだし!」
「レイチェルが来るならお目付け役に私も来るわ、その時はシャワーをまた貸してほしいの。あの浴室にあったしゃんぷーとかいうのを使ったら髪がもうサラサラになるんだもの」
レイチェルはお礼をしたいという気持ちから遊びにくると言っているがエリシアはシャンプーが気に入ったようでそれを使いたいがために来たのだろう。
俺の家は美容院じゃないんだけどな……。
「エリシア、厚かましいぞ。土産まで貰っておきながら」
セドリックが眉を寄せて告げればエリシアは不満そうに唇を尖らせる。
「ただで借りようなんて思ってないわ、ちゃんと代価は払うわよ」
「そういう問題じゃないだろう?」
「なによ、デリックには関係ないわ。私はニロにお願いしてるんだもの、ねえニロ?」
「俺達が世話になったニロを困らせるな」
「止めないかお前達。まったく……すまないニロ、根は良い奴らなんだ」
「あはは、大丈夫です。気にしてませんから」
喧嘩になりそうに雰囲気に少し戸惑ってしまったのは事実だが、まるで拗ねた妹を注意する兄の様に見えて少し微笑ましく思う。
それだけ気に入ってくれたなら何よりだ、けどシャンプーもリンスも残り少ないからな……。
この世界じゃ同じものは手に入らないだろうし、何か対策を考えないとなあ。
「ニロ、これを」
そんなことを考えているとデリックが俺の前にすっと手のひらサイズの鏡を差し出した。
「鏡、ですか?」
「はい、これは鏡の通信機という魔道具です。私の持つ対の鏡と繋がっていて、呼びかけるだけでどんなに遠くに居ても話すことが出来ます」
魔道具、とはこの世界で使われている便利道具らしい。
昨晩少し話を聞いたがデリックは魔道具の発明が趣味でいろいろ便利なものを作ってるんだとか。
これもその一つなのだろう。
今後何があるかわからないし、連絡手段をもっていた方がいいとのことなので俺はデリックからありがたく鏡を受け取ることにした。
「ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうございました。レイチェルとエリシアに便乗するわけではありませんが、私もまた遊びにきてもいいですか?」
「はい、もちろんです」
「それじゃニロ、またな」
「世話になった、ありがとう」
「はい、皆さんお元気で。また是非遊びに来てくださいね」
それぞれと挨拶を交わし去っていく背中を見つめる。
彼らとの時間が楽しかったせいか、一人に戻るのは少しだけ寂しかった。
冒険者パーティー【何でも屋】の見送りを終えた後、俺は家の中に戻り消耗品を確認していた。
シャンプーやボディソープは詰め替えがあとひとつずつ、トイレットペーパーはあと五ロールしかない。
現代日本で生活していればなくなったらまた買えばいい、で済むのだがこの世界ではそうもいかない。
消耗品も粘土で実体化しないかな……?
ふと思い立って部屋に戻り、粘土板と粘土、必要な道具を取り出す。
以前試しにミニチュアの家具を粘土で作った時は実体化しなった。
だけどそれは家具っていう大きなものだったからで、小さなものなら何とかならないかな?
考えていたって分かんないか、よし何事も挑戦だ!
完成品のイメージはボトル入りシャンプーだ。
まずはタピオカ用の太めのストローを用意し二センチほどの長さに切る。
そしたら切り口をマスキングテープに押し付け動かないようテープの両端を固定し、レジンを少量流し入れ爪楊枝で平らにならして専用ライトで硬化させる。
レジンが完全に硬貨したら中に水で溶いたクリーム状の白い粘土を詰める。
そしてしばらく乾燥だ。
ミニチュアフードを作るより粘土の量がかなり少ないから時間もかからずに固まるだろう。
乾燥を待ちながら家事をして三時間後。
爪楊枝の先でつつけば少し痕が付く位まで固まった。これくらい固まれば大丈夫だ。
ストローで出来た容器の上に中心に穴を開けた粘土を蓋として被せる。
そして次に作るのはシャンプー容器のポンプ部分だ。
シャープペンの後端、カチカチと押す部分(あそこはノックボタンという名称らしい)に一センチ幅に細長く伸ばした粘土を巻き付け形を作り蓋の上に乗せ中に細長い小さめのストローを通す、これがポンプの管部分。
さらにその上に二、三ミリほど厚さで潰した丸い粘土を乗せてくっつけ、さらにカッターで五ミリの長さに切ってやすりをかけた爪楊枝を管部分に取り付ければなんとか液体の入ったボトルに見えてきた。
最後にストローの胴体部分に紙に書いたシャンプーラベルを両面テープで貼り付ければ完成だ。
後は粘土で作った部分の乾燥を待つだけ。
よし、乾燥を待つ間ゲームでもするか……。
手持ち無沙汰になった俺は携帯ゲーム機のスイッチを入れる。
異世界でも電気が使えるってありがたいもんだ。
「こちらこそです、皆さんと過ごせて楽しかったですから」
朝食の後、ジャック達は拠点のある街に戻るというので俺は見送ることにした。
クッキーとみたらし団子のお土産もタッパーに入れて包み、それぞれに渡してある。
「また遊びに来てもいい?今度はお礼持ってくるよ!怪我も治してもらって泊めてもらった恩も返さなきゃだし!」
「レイチェルが来るならお目付け役に私も来るわ、その時はシャワーをまた貸してほしいの。あの浴室にあったしゃんぷーとかいうのを使ったら髪がもうサラサラになるんだもの」
レイチェルはお礼をしたいという気持ちから遊びにくると言っているがエリシアはシャンプーが気に入ったようでそれを使いたいがために来たのだろう。
俺の家は美容院じゃないんだけどな……。
「エリシア、厚かましいぞ。土産まで貰っておきながら」
セドリックが眉を寄せて告げればエリシアは不満そうに唇を尖らせる。
「ただで借りようなんて思ってないわ、ちゃんと代価は払うわよ」
「そういう問題じゃないだろう?」
「なによ、デリックには関係ないわ。私はニロにお願いしてるんだもの、ねえニロ?」
「俺達が世話になったニロを困らせるな」
「止めないかお前達。まったく……すまないニロ、根は良い奴らなんだ」
「あはは、大丈夫です。気にしてませんから」
喧嘩になりそうに雰囲気に少し戸惑ってしまったのは事実だが、まるで拗ねた妹を注意する兄の様に見えて少し微笑ましく思う。
それだけ気に入ってくれたなら何よりだ、けどシャンプーもリンスも残り少ないからな……。
この世界じゃ同じものは手に入らないだろうし、何か対策を考えないとなあ。
「ニロ、これを」
そんなことを考えているとデリックが俺の前にすっと手のひらサイズの鏡を差し出した。
「鏡、ですか?」
「はい、これは鏡の通信機という魔道具です。私の持つ対の鏡と繋がっていて、呼びかけるだけでどんなに遠くに居ても話すことが出来ます」
魔道具、とはこの世界で使われている便利道具らしい。
昨晩少し話を聞いたがデリックは魔道具の発明が趣味でいろいろ便利なものを作ってるんだとか。
これもその一つなのだろう。
今後何があるかわからないし、連絡手段をもっていた方がいいとのことなので俺はデリックからありがたく鏡を受け取ることにした。
「ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうございました。レイチェルとエリシアに便乗するわけではありませんが、私もまた遊びにきてもいいですか?」
「はい、もちろんです」
「それじゃニロ、またな」
「世話になった、ありがとう」
「はい、皆さんお元気で。また是非遊びに来てくださいね」
それぞれと挨拶を交わし去っていく背中を見つめる。
彼らとの時間が楽しかったせいか、一人に戻るのは少しだけ寂しかった。
冒険者パーティー【何でも屋】の見送りを終えた後、俺は家の中に戻り消耗品を確認していた。
シャンプーやボディソープは詰め替えがあとひとつずつ、トイレットペーパーはあと五ロールしかない。
現代日本で生活していればなくなったらまた買えばいい、で済むのだがこの世界ではそうもいかない。
消耗品も粘土で実体化しないかな……?
ふと思い立って部屋に戻り、粘土板と粘土、必要な道具を取り出す。
以前試しにミニチュアの家具を粘土で作った時は実体化しなった。
だけどそれは家具っていう大きなものだったからで、小さなものなら何とかならないかな?
考えていたって分かんないか、よし何事も挑戦だ!
完成品のイメージはボトル入りシャンプーだ。
まずはタピオカ用の太めのストローを用意し二センチほどの長さに切る。
そしたら切り口をマスキングテープに押し付け動かないようテープの両端を固定し、レジンを少量流し入れ爪楊枝で平らにならして専用ライトで硬化させる。
レジンが完全に硬貨したら中に水で溶いたクリーム状の白い粘土を詰める。
そしてしばらく乾燥だ。
ミニチュアフードを作るより粘土の量がかなり少ないから時間もかからずに固まるだろう。
乾燥を待ちながら家事をして三時間後。
爪楊枝の先でつつけば少し痕が付く位まで固まった。これくらい固まれば大丈夫だ。
ストローで出来た容器の上に中心に穴を開けた粘土を蓋として被せる。
そして次に作るのはシャンプー容器のポンプ部分だ。
シャープペンの後端、カチカチと押す部分(あそこはノックボタンという名称らしい)に一センチ幅に細長く伸ばした粘土を巻き付け形を作り蓋の上に乗せ中に細長い小さめのストローを通す、これがポンプの管部分。
さらにその上に二、三ミリほど厚さで潰した丸い粘土を乗せてくっつけ、さらにカッターで五ミリの長さに切ってやすりをかけた爪楊枝を管部分に取り付ければなんとか液体の入ったボトルに見えてきた。
最後にストローの胴体部分に紙に書いたシャンプーラベルを両面テープで貼り付ければ完成だ。
後は粘土で作った部分の乾燥を待つだけ。
よし、乾燥を待つ間ゲームでもするか……。
手持ち無沙汰になった俺は携帯ゲーム機のスイッチを入れる。
異世界でも電気が使えるってありがたいもんだ。
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