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06.5 異世界聖女とカラスの悪魔
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隣国から訪れた聖女は名をマリサと言う。
実は彼女、異世界からやってきたイレギュラーな聖女だ。
マリサは普通の女子高生として生きていた。
家族仲もよく、友達もそれなりで学校生活も円滑だった。
ただ人より少しアニメや漫画に没頭することが多く、時々『もし自分がヒロインだったら』と妄想して二次元のキャラクターと自分の夢小説を書くような……そんなどこにでもいる少女だった。
そんな彼女は、異世界に聖女として召喚された時に妄想が現実になったのだと喜んだ。しかし与えられた聖女の役割は想像以上に大変でつまらなく、小説や漫画でヒロインを溺愛してくれる王子様なんて存在しなかった。生活は保証され豪華な屋敷に綺麗なドレスや宝石を溢れるほど与えられたが、それだけではマリサは満足しなかった。
自分は家族や友人と引き離され知らない世界の関係ない国のために大変な役割をこなしているのに自分を好いてくれる美男子が一人もいないなんて、と不満を募らせる彼女の前にある日カラスが一羽降り立った。
そのカラスは人の言葉を話しマリサにこう言った。
『お前は頑張って努力しているのに、だぁれも誉めてくれねェ。あんまりだよなァ?俺はお前が頑張ってるの、ちゃァんと見てたぜ』
異世界転移なんてことが起こるファンタジーの世界ならカラスが喋ってもおかしくはないだろう、それにこのカラスは自分の事を分かってくれる。きっと良いカラスなのだ。
そう思ったマリサは気がつけばカラスを友好的に受け入れていた。
カラスは毎日のようにやってきてマリサの不満を聞いてくれた。口調こそ悪いけれど、慣れてしまえば愛嬌もあって可愛い。
すっかり心を開いた頃、カラスは自分正体が悪魔であると明かした。
そして自分との契約を持ちかけたのだ。
悪魔との契約は良いものではない、魂を食べられたり望みを叶えたら悲惨な最後が待ち受けいると漫画で読んだことがある。
そうはなりたくないと告げるマリサにカラスは優しい声で囁いた。
『魂を食べるなんてのは迷信だァ。俺はお前を助けてやりてェんだよ。自分の親兄弟から無理矢理引き離されて、満足な報酬ももらえない可哀想な聖女様を』
自分を思いやるような優しい声にマリサは心を揺さぶられた。
考えてみればこの世界にきてからカラスのように親身になってくれた人はいただろうか?
自分を召喚した教会の重鎮達は果たすべき役割を持ってくるだけ。
一度挨拶の為に王城に行き、王族に会ったけれどプライドの高い人ばかりで話し掛けてもすぐに何処かにいってしまう。
王様が使用人を何人も派遣してくれたけれど彼らと仲良くしようとしても、距離を置かれている。
(そうか、私は可哀想な聖女なのね……)
今まで見てきた漫画や小説の中の聖女は必ずと傍に格好いい王子様や騎士がいた。そんな存在が傍にいない自分は可哀想なのだと、悪魔に言われ思ってしまった。
『まァ悪魔と契約したら死んでも天には上れねェがその時は俺が面倒みてやるよ。死ぬまでずっと教会の奴らにこき使われていいのかァ?どうせ元の世界には帰して貰えねェのに』
(聖女としての役割を押し付けられて、恋のひとつもできないまま……このままずっと、何十年も生きて……年老いて死ぬ……そんなのは嫌!私は愛されたい!せっかく聖女になったんだからもっと大切にされたい、たくさんの人にちやほやされたい!)
気がつけばマリサはカラスと契約を結んでいた。
そして気に入った異性を思いのままにできる力を得た。
(これで私も……ヒロインみたいになれる!ううん、ヒロインそのものになれるんだわ!)
マリサはカラスから得た力を早速使ってみることにした。力を試すためにターゲットに選んだのは聖女の警護として屋敷を警備してる兵士の一人だ。
他の国の聖女には護衛が必要ないのにマリサに護衛がいるのは、彼女が異世界の人間でありこの世界の力を跳ね返してしまうからだ。だから彼女には『戒めのティアラ』がつけられないし、聖女を守るための『神様の加護』も発動しない。守るとなれば護衛をつけて守るしかなかった。
護衛は教会が王に掛け合い派遣したものだ。
ちなみにこの世界の力を跳ね返してしまうのにマリサが聖女の力を使えるのは、元々彼女の中に聖なる力が眠っていたからだ。
産まれたときから持っていた力であるがゆえに、使い方を学べば難なく使えた。
カラスと契約した際に力を得られたのは、契約時にマリサが悪魔の血を飲んだからである。それによって悪魔の力はマリサに受け入れられたのだ。
それなりに見た目の良い警備兵に対して力を使ってみると、すぐに効果が現れた。次の日からその警備兵はマリサに対して熱い視線を向けてくるようになったのだ。
然り気無く腕に触れてみたりすれば、顔を真っ赤にして狼狽える。マリサはその反応にとても満足した。
次にターゲットにしたのは、妹にかけられた呪いを浄化してほしいと訪ねてきた見目麗しい貴族の青年だ。聖女の力を使い呪いを浄化してやれば、青年はマリサに深く感謝した。
そこで悪魔から得た力を使った。その日から青年はマリサに夢中になった。
毎日のように屋敷にやって来てはマリサに花束や美味しいお菓子、美しいアクセサリーを持ってきてくれる。そして甘い言葉を囁きマリサをお姫様のように扱ってくれるのだ。
(これよ、これ!私が求めていたのはこういうのなの!)
欲望が叶えられ満たされていく。それが嬉しくて幸せを感じていたが、長くは続かなかった。
ある日、パタリと警備兵士も貴族の青年も会いに来なくなったのだ。不思議に思いカラスに尋ねてみれば力が薄れてきているからと説明された。
そんなことは聞いていない、力の効果を強めるためにどうすればいいかと尋ねたマリサに悪魔は優しく語り聞かせた。
『力を強くするには他の聖女から力を奪えば良い。ちょうど今度、隣の国で聖女会議があるだろ?そこで他の聖女から聖なる力を奪えば良いのさァ。奪ったところで死にはしない、寧ろ聖女の役割から解放されて喜ぶだろうなァ』
マリサは悪魔の提案を受け入れ、聖女会議で他の聖女の力を奪うことを決めた。
躊躇いなど無かった。自分は願いを叶える力を強く出来るし、力を奪われた方だってこんな大変な聖女の役割から解放されるのだ。きっと感謝されるだろう。
しかし会議日の前日。聖女用に用意された豪華な馬車に揺られ移動しているところにカラスがやって来た。なんでもこれから会う聖女は悪魔と体が入れ替わっており、聖女の体には悪魔がいるという。
それでは聖女の力は奪えないのかと聞けばカラスはにやりと笑った。
『だったら聖女の魂も体も両方狙えばいい。聖女の中の悪魔を浄化してから、悪魔の体を浄化しちまえばお前は問題なく聖女の力を得られる。ついでに聖女の魂は悪魔から解放され。悪魔を浄化すればお前の功績にもなるし、一石三鳥だァ』
それは名案だ、当初の計画よりいいことずくめである。
こうしてマリサは聖女の魂を狙うことにした。
カラスが心の中で歪んだ笑顔を浮かべているとも知らず。
実は彼女、異世界からやってきたイレギュラーな聖女だ。
マリサは普通の女子高生として生きていた。
家族仲もよく、友達もそれなりで学校生活も円滑だった。
ただ人より少しアニメや漫画に没頭することが多く、時々『もし自分がヒロインだったら』と妄想して二次元のキャラクターと自分の夢小説を書くような……そんなどこにでもいる少女だった。
そんな彼女は、異世界に聖女として召喚された時に妄想が現実になったのだと喜んだ。しかし与えられた聖女の役割は想像以上に大変でつまらなく、小説や漫画でヒロインを溺愛してくれる王子様なんて存在しなかった。生活は保証され豪華な屋敷に綺麗なドレスや宝石を溢れるほど与えられたが、それだけではマリサは満足しなかった。
自分は家族や友人と引き離され知らない世界の関係ない国のために大変な役割をこなしているのに自分を好いてくれる美男子が一人もいないなんて、と不満を募らせる彼女の前にある日カラスが一羽降り立った。
そのカラスは人の言葉を話しマリサにこう言った。
『お前は頑張って努力しているのに、だぁれも誉めてくれねェ。あんまりだよなァ?俺はお前が頑張ってるの、ちゃァんと見てたぜ』
異世界転移なんてことが起こるファンタジーの世界ならカラスが喋ってもおかしくはないだろう、それにこのカラスは自分の事を分かってくれる。きっと良いカラスなのだ。
そう思ったマリサは気がつけばカラスを友好的に受け入れていた。
カラスは毎日のようにやってきてマリサの不満を聞いてくれた。口調こそ悪いけれど、慣れてしまえば愛嬌もあって可愛い。
すっかり心を開いた頃、カラスは自分正体が悪魔であると明かした。
そして自分との契約を持ちかけたのだ。
悪魔との契約は良いものではない、魂を食べられたり望みを叶えたら悲惨な最後が待ち受けいると漫画で読んだことがある。
そうはなりたくないと告げるマリサにカラスは優しい声で囁いた。
『魂を食べるなんてのは迷信だァ。俺はお前を助けてやりてェんだよ。自分の親兄弟から無理矢理引き離されて、満足な報酬ももらえない可哀想な聖女様を』
自分を思いやるような優しい声にマリサは心を揺さぶられた。
考えてみればこの世界にきてからカラスのように親身になってくれた人はいただろうか?
自分を召喚した教会の重鎮達は果たすべき役割を持ってくるだけ。
一度挨拶の為に王城に行き、王族に会ったけれどプライドの高い人ばかりで話し掛けてもすぐに何処かにいってしまう。
王様が使用人を何人も派遣してくれたけれど彼らと仲良くしようとしても、距離を置かれている。
(そうか、私は可哀想な聖女なのね……)
今まで見てきた漫画や小説の中の聖女は必ずと傍に格好いい王子様や騎士がいた。そんな存在が傍にいない自分は可哀想なのだと、悪魔に言われ思ってしまった。
『まァ悪魔と契約したら死んでも天には上れねェがその時は俺が面倒みてやるよ。死ぬまでずっと教会の奴らにこき使われていいのかァ?どうせ元の世界には帰して貰えねェのに』
(聖女としての役割を押し付けられて、恋のひとつもできないまま……このままずっと、何十年も生きて……年老いて死ぬ……そんなのは嫌!私は愛されたい!せっかく聖女になったんだからもっと大切にされたい、たくさんの人にちやほやされたい!)
気がつけばマリサはカラスと契約を結んでいた。
そして気に入った異性を思いのままにできる力を得た。
(これで私も……ヒロインみたいになれる!ううん、ヒロインそのものになれるんだわ!)
マリサはカラスから得た力を早速使ってみることにした。力を試すためにターゲットに選んだのは聖女の警護として屋敷を警備してる兵士の一人だ。
他の国の聖女には護衛が必要ないのにマリサに護衛がいるのは、彼女が異世界の人間でありこの世界の力を跳ね返してしまうからだ。だから彼女には『戒めのティアラ』がつけられないし、聖女を守るための『神様の加護』も発動しない。守るとなれば護衛をつけて守るしかなかった。
護衛は教会が王に掛け合い派遣したものだ。
ちなみにこの世界の力を跳ね返してしまうのにマリサが聖女の力を使えるのは、元々彼女の中に聖なる力が眠っていたからだ。
産まれたときから持っていた力であるがゆえに、使い方を学べば難なく使えた。
カラスと契約した際に力を得られたのは、契約時にマリサが悪魔の血を飲んだからである。それによって悪魔の力はマリサに受け入れられたのだ。
それなりに見た目の良い警備兵に対して力を使ってみると、すぐに効果が現れた。次の日からその警備兵はマリサに対して熱い視線を向けてくるようになったのだ。
然り気無く腕に触れてみたりすれば、顔を真っ赤にして狼狽える。マリサはその反応にとても満足した。
次にターゲットにしたのは、妹にかけられた呪いを浄化してほしいと訪ねてきた見目麗しい貴族の青年だ。聖女の力を使い呪いを浄化してやれば、青年はマリサに深く感謝した。
そこで悪魔から得た力を使った。その日から青年はマリサに夢中になった。
毎日のように屋敷にやって来てはマリサに花束や美味しいお菓子、美しいアクセサリーを持ってきてくれる。そして甘い言葉を囁きマリサをお姫様のように扱ってくれるのだ。
(これよ、これ!私が求めていたのはこういうのなの!)
欲望が叶えられ満たされていく。それが嬉しくて幸せを感じていたが、長くは続かなかった。
ある日、パタリと警備兵士も貴族の青年も会いに来なくなったのだ。不思議に思いカラスに尋ねてみれば力が薄れてきているからと説明された。
そんなことは聞いていない、力の効果を強めるためにどうすればいいかと尋ねたマリサに悪魔は優しく語り聞かせた。
『力を強くするには他の聖女から力を奪えば良い。ちょうど今度、隣の国で聖女会議があるだろ?そこで他の聖女から聖なる力を奪えば良いのさァ。奪ったところで死にはしない、寧ろ聖女の役割から解放されて喜ぶだろうなァ』
マリサは悪魔の提案を受け入れ、聖女会議で他の聖女の力を奪うことを決めた。
躊躇いなど無かった。自分は願いを叶える力を強く出来るし、力を奪われた方だってこんな大変な聖女の役割から解放されるのだ。きっと感謝されるだろう。
しかし会議日の前日。聖女用に用意された豪華な馬車に揺られ移動しているところにカラスがやって来た。なんでもこれから会う聖女は悪魔と体が入れ替わっており、聖女の体には悪魔がいるという。
それでは聖女の力は奪えないのかと聞けばカラスはにやりと笑った。
『だったら聖女の魂も体も両方狙えばいい。聖女の中の悪魔を浄化してから、悪魔の体を浄化しちまえばお前は問題なく聖女の力を得られる。ついでに聖女の魂は悪魔から解放され。悪魔を浄化すればお前の功績にもなるし、一石三鳥だァ』
それは名案だ、当初の計画よりいいことずくめである。
こうしてマリサは聖女の魂を狙うことにした。
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