双子の悪戯

廣瀬純一

文字の大きさ
上 下
2 / 5

スクールライフ

しおりを挟む
大学生の姉、沙織と弟の大輝は、顔がそっくりなことで周囲からしばしば「双子みたいだね」と言われることが多かった。二人は年子で、身長や体型も似ているため、同じような髪型にしていると本当に区別がつかないほどだ。

ある日、沙織が冗談半分で言った。

「大輝、お互いの服を交換して大学に行ってみようよ。絶対誰も気づかないよ!」

大輝は最初こそ「そんなの面倒くさいよ」と渋っていたが、沙織の押しに負けて、興味半分でその提案に乗ることにした。

---

次の日の朝、二人は部屋で服を交換し始めた。沙織は大輝のラフなTシャツとジーンズを身につけ、髪を帽子で隠して男っぽい歩き方を練習する。一方、大輝は沙織のカジュアルなブラウスとスカートを着て、髪をピンでまとめた。

「なんか変な感じだな」と大輝は苦笑しながら鏡を見た。

「いいじゃん、似合ってるよ。ほら、早く行こう!」と沙織が弟を急かす。

こうして二人はそれぞれの大学に向かった。

---

大輝が沙織の通う女子大のキャンパスに足を踏み入れると、妙な感覚が体を包んだ。周りの風景が少し歪んで見えたかと思うと、突然体が熱くなり、次に目を開けたとき、彼は驚愕した。

「え……?」大輝は自分の手を見下ろした。

指が細く、手首がほっそりしている。驚いて近くの窓に映る自分を見ると、そこにはまぎれもなく沙織の顔があった。しかし、それだけではない。髪の感触、胸の重さ、さらには声まで、完全に沙織の体そのものになっていたのだ。

「うそだろ……!」と大輝は声を上げたが、その声は沙織の声だった。

一方、沙織も同じ体験をしていた。大輝の大学に到着した瞬間、彼女の体は急に熱を帯び、次の瞬間には自分の体が完全に弟のものになっていたのだ。彼女も窓に映る自分を見て驚愕した。

「これ……どういうこと?」と沙織はつぶやいた。

---

二人は慌てて連絡を取り合ったが、どうすることもできない。とりあえず「このまま一日やり過ごして、夜にまた元の場所に戻ろう」という結論に至った。

大輝は沙織の友人たちに会い、女子大ならではの講義を受ける羽目になった。沙織の友達が「沙織、今日ちょっといつもと違うね」と言ってくる度に、冷や汗が出たが、何とかごまかし続けた。

一方、沙織は大輝の友人たちと接し、工学系の難しい講義を受けることになった。大輝のノートを頼りに何とかやり過ごすが、周囲の男友達から「大輝、お前なんか今日変だな」と言われ、こちらも冷や汗をかいた。

---

夜になり、二人は再び家に戻った。そして同じ場所で服を元に戻すと、再び熱が体を包み、二人は元の体に戻っていた。

「な、なんだったんだ、あれ……?」と大輝がまだ信じられない様子で言う。

「本当に入れ替わってたよね……あんなことがあるなんて……」と沙織も混乱していた。

それ以来、二人はお互いの大学に行く際には、絶対に服を交換しないことを固く誓った。しかし、あの体験は忘れられないものとなり、二人の関係は以前よりも深く、互いの生活や考えを理解し合うようになった。

どこか不思議で、奇妙な一日だったが、それが二人にとって重要な意味を持つものになるとは、当時は誰も思わなかっただろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転の霹靂2

廣瀬純一
ファンタジー
男女の体が入れ替わる小説

男が出産する社会

廣瀬純一
ファンタジー
男が妊娠して出産する話

スイッチライフ

廣瀬純一
ファンタジー
体が入れ替わった男女の話

美咲の初体験

廣瀬純一
ファンタジー
男女の体が入れ替わってしまった美咲と拓也のお話です。

入れ替わる女

廣瀬純一
ファンタジー
体に触れると体が入れ替わる女のお話です。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

親戚のおじさんに犯された!嫌がる私の姿を見ながら胸を揉み・・・

マッキーの世界
大衆娯楽
親戚のおじさんの家に住み、大学に通うことになった。 「おじさん、卒業するまで、どうぞよろしくお願いします」 「ああ、たっぷりとかわいがってあげるよ・・・」 「・・・?は、はい」 いやらしく私の目を見ながらニヤつく・・・ その夜。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

処理中です...