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ビキニ選びと海水浴の冒険
しおりを挟む性別が入れ替わったまま日常を送る悠と葵は、ある日、葵の友人たちと海水浴に行くことになった。もちろん、入れ替わった状態のまま。
「悠、お願いだからビキニ買うの付き合ってよ!」
「えぇ!?なんで俺が?」
「だって今、私の体を使ってるのはあんたでしょ?水着くらいちゃんと選んでほしいわ。」
葵(悠の体)は腕を組み、渋る悠(葵の体)をじっと見つめた。
***
### ショッピングモールでの騒動
ショッピングモールの水着売り場。悠(葵の体)は試着室の前でため息をついていた。
「おい、これ恥ずかしいんだけど…」
試着室の中から小声で言う悠に、葵(悠の体)は笑いながら返した。
「何が恥ずかしいの?普通の女の子の体なんだから堂々としてればいいじゃん。」
「そういう問題じゃねぇよ!こんな布が少ないの着るの、マジで無理だ!」
結局、葵のアドバイスを受けて、シンプルなデザインのビキニを選ぶことになった。白地に淡い青いラインが入った清楚なデザインだが、悠にはこれでも大胆すぎるように感じられる。
「これでいいんだな?」
「うん。それ似合ってるから大丈夫!」
葵は満足げに笑ったが、悠は心底疲れた顔をしていた。
***
### 海水浴当日
海水浴の日、悠(葵の体)は葵の友人である麻美と夏希と合流した。二人とも明るく、快活な女の子だ。最初は緊張していた悠も、彼女たちのテンションに引っ張られ、次第に楽しむようになった。
「葵ちゃん、そのビキニめっちゃ可愛い!似合ってる~!」
麻美に褒められ、悠は内心ヒヤリとした。
「そ、そう?ありがとう…」
不慣れな声で応じると、夏希が茶化すように言った。
「葵、なんか今日ちょっとおとなしめじゃない?いつものキレ味がない気がする~。」
「そ、そんなことないって!」
悠はぎこちなく笑いながら誤魔化した。
一方で、葵(悠の体)はビーチチェアに座り、遠くからその様子を眺めていた。
「なんか、悠が私の友達に囲まれてあたふたしてるの、最高に面白いわね。」
彼女はジュースを飲みながら微笑んでいた。
***
### 波とビキニの危機
海に入ると、悠はさらなる試練に直面した。
「おい、これ水着、緩くないか?波で流されそうなんだけど!」
「当たり前でしょ、ちゃんと着方考えなさいよ!」
遠くから葵がアドバイスを送るが、悠はそれどころではない。波が来るたびに、水着がズレるのではないかと神経を尖らせる。
「葵ちゃん、大丈夫?」
麻美が心配そうに声をかけてくるが、悠は「平気平気!」と強がるしかなかった。
「俺、こんなのもう二度とごめんだ…」
心の中でつぶやきながらも、波で遊んだり、砂浜でビーチボールをしたりと、なんだかんだで楽しんでいた。
***
### 女の子の視線を浴びる「悠」
砂浜で遊び疲れたあと、みんなでジュースを飲みながら一息ついていると、麻美がポツリと言った。
「なんかさ、悠くんって最近ちょっとカッコよくなったよね。」
「えっ?」
悠(葵の体)は目を丸くした。麻美の視線は葵(悠の体)に向けられている。
「そうそう、前よりちょっと頼りがいがあるっていうか、大人っぽくなったよね。」
夏希も同意する。
悠は心の中で「おいおい、勝手にモテ始めるなよ俺!」と焦り、葵を睨みつけたが、葵は涼しい顔でジュースを飲んでいるだけだった。
***
### 帰り道
夕方、帰り道を歩く二人。悠(葵の体)はぐったりと疲れた様子だった。
「なあ、今日だけで俺、精神力が5歳分くらい削れた気がする。」
「まあまあ、楽しかったでしょ?」
「楽しかったけど…女の子の体での海水浴は、もうしばらくいいわ。」
そんな悠に、葵は小さく笑った。
「これが女の子の日常なんだよ。いろいろ気をつかわなきゃいけないけど、その分、楽しいこともたくさんあるんだから。」
「…それは確かに。」
悠は遠くに沈む夕日を眺めながら、少しだけ納得したように頷いた。
こうして、二人の入れ替わり生活は新たな経験とともに、さらに続いていくのだった。
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