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不思議な目覚め
しおりを挟む目が覚めたとき、目の前に広がる光景は、どう考えても見慣れた自分の世界ではなかった。空はまるで宝石を砕いたような輝きで満たされ、木々は虹色の葉を揺らしている。目を凝らせば、遠くで見知らぬ生物たちが戯れているのが見えた。その奇妙さに圧倒されながら、身体を起こそうとすると、さらなる違和感が襲ってきた。
自分の身体が、自分のものではない。
視線を下げると、胸元に違和感の原因があった。平らだったはずの胸が、丸みを帯びた輪郭を描いている。慌てて手を顔に伸ばすと、肌はいつもより滑らかで柔らかい。そして髪の長さに気づいた。指の間をすり抜ける長い髪が、自分のものだという実感を持てない。
「なんだ、これ…?」
低くてガサガサした声ではなく、予想外に高く澄んだ声が響いた瞬間、心臓が跳ねた。全身の血が逆流するかのような感覚に、さらに動揺する。
「お目覚めかな?」
背後から響いた声に振り返ると、そこには、やたらと美しい女性が立っていた。鮮やかな青いドレスに身を包み、まるでこの奇妙な世界そのものの化身のような存在感を放っている。その瞳が、自分の全てを見透かすようにじっとこちらを見つめていた。
「君、ここで何をしているの?」
そう言いながら彼女は一歩近づき、興味深げに微笑んだ。その表情にはどこか悪戯心が感じられる。
「待って…ここはどこなんだ。それに俺は…俺は…」
自分の名前を言おうとした瞬間、またしてもその一人称が妙に引っかかった。そしてようやく、目の前の現実を否定できなくなった。今の自分は「俺」ではない。鏡もないのに、直感でそれがわかった。
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ここから、彼の新しい世界での冒険が始まるという展開に繋げられるでしょう!
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