入れ替わり家族

廣瀬純一

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身代わり神社の秘密

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夕方、リビングのテーブルでスマホをいじっていた大智(母・陽子の体)は、何気なく観光地の情報サイトを眺めていた。家族で体が入れ替わる不思議な現象に直面して以来、解決の糸口を探そうと色々と調べていたのだ。  

「これ、もしかして…」  
大智が急に声を上げると、リビングにいた家族全員の視線が集まった。  

「どうしたの?」  
父(姉・美咲の体)が新聞を置いて問いかけると、大智は興奮気味にスマホを見せた。  

---

### **「身代わり神社」**  

「半年前に家族で旅行に行ったとき、あの神社にお参りしたよな?」  
「うん、覚えてる。階段がやたら多くて疲れたやつでしょ?」  
姉(父の体)が軽く笑いながら答えた。  

「そう、それ。その神社のことを調べてたんだけど、実は別名が“身代わり神社”って言うらしいんだ。」  
「身代わり神社?」  
母(弟の体)が首をかしげる。  

「昔、その神社の近くに鬼が出たらしい。それで、鬼がある村の娘を生贄に要求したとき、弟が姉に変装して鬼を退治したんだって。その時に使われた刀が、神社に祀られてるらしいんだ。」  

大智の言葉に家族全員が驚き、静まり返った。  

---

### **「入れ替わりと関係が?」**  

「身代わりって、まさに今の俺たちみたいな感じじゃないか?」  
大智が少し興奮しながら話を続けると、父(姉の体)が腕を組んで考え込んだ。  

「確かに偶然とは思えない話だな。でも、鬼退治の話と今の俺たちの状況にどう繋がるんだ?」  

「わからないけど、あの神社でお参りしたことがきっかけになった可能性があるかもしれない。」  

姉(父の体)がふと疑問を口にした。  
「でも、その刀って何か特別な力を持ってたのかな? それとも、ただの象徴的なもの?」  

母(弟の体)が続けた。  
「もしその刀が、身代わりの力を象徴してるなら、私たちが体を交換したこととも関係してるかも。」  

---

### **「神社に戻るべき?」**  

「もう一回、あの神社に行ってみるべきかな?」  
大智の提案に、家族はしばらく顔を見合わせた。  

父が口を開いた。  
「確かに行ってみる価値はありそうだな。少なくとも、何かヒントが得られるかもしれない。」  

姉(父の体)は少し不安そうな顔で言った。  
「でも、もしこの入れ替わりが神社のせいだとして、戻れる保証なんてあるのかな?」  

「それは行ってみないとわからない。でも、このまま何もしないよりはマシだろ?」  
大智の言葉に、家族全員がうなずいた。  

---

### **「新たな希望」**  

「じゃあ、週末にもう一度あの神社に行ってみよう。」  
父がそう提案し、家族全員が同意した。  

その夜、大智は自分が調べた「身代わり神社」の伝説をもう一度読み返しながら思った。  
**「あの場所で何かがわかるかもしれない。俺たちが元に戻るための答えが。」**  

遠い昔の鬼退治の話と、自分たちの状況がどこかで繋がっている気がして、大智の心には小さな希望の光が灯っていた。  

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