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彼氏になった妹
しおりを挟む主人公の妹、**杏奈**は、姉のことが大好きだった。姉の**舞**は美しく、聡明で、杏奈にとって理想の人だった。どんなことでも姉が決めることが正しいように思え、杏奈はいつも姉を追いかけていた。
舞にはもう一つ大事な存在がいた。それは彼氏の**悠真**だ。悠真は優しく、舞を愛し、2人はまるで絵に描いたようなカップルだった。しかし、杏奈の胸には複雑な感情が渦巻いていた。姉が悠真と一緒にいるたび、杏奈は不思議な嫉妬心を抱き、同時に自分がその場所にいたら、という想いを抱くようになっていた。
そんなある日、舞と悠真がついに結婚することが決まった。杏奈は表面上祝福していたものの、心の中は晴れなかった。彼女は夜な夜な、自分の願いが叶うならば、自分が悠真の立場にいたいと密かに願っていた。
結婚式の前夜、杏奈はふと見つけた古い本の一節に目を奪われた。それは「魂を入れ替える魔法」についての説明だった。興味本位で杏奈はそれを口にしながら、ふざけ半分で鏡の前で呪文を唱えた。
「私と彼を入れ替えて、愛する人のそばに…」
翌朝、杏奈は目を覚まし、見知らぬ部屋にいた。体が重い。違和感を覚えながら鏡の前に立つと、そこには驚くべき光景が広がっていた。**悠真の姿**がそこに映っていたのだ。
「なんで…どうして私が悠真になってるの!?」
混乱しつつも、杏奈はすぐに状況を理解した。あの魔法は本物だった。姉の彼氏、悠真の体に入れ替わってしまったのだ。
最初は戸惑っていた杏奈だが、姉の側にいられることに甘美な誘惑を感じるようになる。結婚式当日、彼女は悠真のフリをして舞と誓いの言葉を交わした。そして、2人は夫婦となった。
しかし、時間が経つにつれ、杏奈の心は次第に重くなっていった。姉を本当に愛しているのは、悠真の中にいる「自分」ではなく、本当の悠真の方だったのだ。彼女は舞と幸せになるはずの人物から、その幸せを奪ってしまったという罪悪感に苦しむようになった。
さらに、舞は少しずつ「悠真」の様子が変わったことに気づき始めた。以前はもっと落ち着いていて、優雅な雰囲気があったのに、今の悠真はどこか幼い振る舞いをすることが増えていた。姉の勘は鋭く、杏奈の異変に気づくのも時間の問題だった。
ある日、舞は真剣な顔で「悠真」と向き合った。
「最近、何か変よ。何があったの?」
その問いに対して杏奈は嘘をつくことができなかった。涙ながらに真実を告白した。自分が杏奈であり、魔法で悠真と入れ替わってしまったこと。そして、ずっと舞を愛していたが、その愛は間違っていたこと。
舞は驚愕し、最初は信じられなかったが、杏奈の真摯な言葉に嘘はないと感じた。そして、何よりも痛感したのは、彼女が本当に愛していたのは悠真であり、彼の魂そのものであったということだった。
2人は一緒に魔法の解決策を探し始め、ようやく本来の姿に戻る方法を見つけた。入れ替わる前の姿に戻ったとき、杏奈は舞に謝罪し、舞もその気持ちを受け止めた。
最後に、杏奈は自分の過ちを反省し、舞と悠真の愛が揺るぎないものであることを心から祝福した。そして、彼女もまた自分自身を愛し、舞のように自分の人生を歩むことを決意したのだった。
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### 終わり
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