11 / 16
生理になる拓也
しおりを挟む「……なんか変だな……」
会社での業務が一区切りついたころ、拓也はふと違和感を覚えた。体の奥からじわりとした重苦しさと鈍い痛みが広がっている。それは、お腹の下の方から徐々に広がり、今まで感じたことのない不快感だった。
「腹痛か? でも、なんか違う……」
違和感が増していく中で、ふと椅子に座り続けていることが妙に気になった。立ち上がってみると、下着のあたりにかすかな湿り気を感じる。
「まさか……これって……?」
拓也は一瞬、何かが起こっていることに気づいたものの、信じたくなかった。恐る恐るトイレに駆け込み、個室に入って下着を確認すると、目に飛び込んできたのは鮮やかな赤い染みだった。
「うわっ……これが……生理ってやつか……」
目の前の現実に、拓也は一気に顔から血の気が引いた。今まで美咲や他の女性が「生理がつらい」と話すのを聞いても、どこか他人事のように感じていたが、今その現実が自分に降りかかっている。
「どうしよう……どうすればいいんだ……?」
慌ててトイレの中で頭を抱えたが、何も解決しない。とりあえず冷静になるために、スマホを取り出して美咲にメッセージを送ることにした。
**「美咲、助けてくれ! なんか、生理が始まったみたいだ……」**
すぐに返事が来た。
**「落ち着いて。トイレにナプキンがあるから使って。ポーチもカバンに入ってるはず」**
「ポーチ……ナプキン……?」
用語自体は知っていても、実際にどう使うのかは全くわからない。彼は美咲のカバンを探り、ポーチを取り出した。中には見たことのないパッケージがいくつか入っている。
「これか……」
手に取ってみるものの、使い方がわからず、どう扱うべきか悩んだ。パッケージをなんとか開け、中からナプキンを取り出すが、それを下着にどうセットすればいいのか全くの未知の世界だ。
「こんなこと、普段美咲は一人でやってるのか……」
不器用にナプキンを下着にセットし、何とか落ち着きを取り戻そうとするが、体のだるさと鈍い痛みは止まらない。少し歩くだけで下腹部が引きつるように痛み、気分も悪くなってきた。
「こんな状態で仕事してるなんて、女性って本当にすごいな……」
生理のつらさを身をもって体験し、拓也は女性たちが日常的に抱えている負担の大きさを実感した。今までは「大変そうだな」と表面的にしか理解していなかったが、実際に体験するとそのつらさがどれほど重いものかが身にしみた。
「早く戻りたい……自分の体に……」
拓也はトイレの鏡に映る美咲の顔を見ながら、心からそう思った。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件
フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。
寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。
プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い?
そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない!
スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる