1 / 1
第一話
しおりを挟む
殿下は無能な私が好きでした。
無能な私が危なっかしそうで可愛い、好きだと面と向かって言われたこともあります。
最初は私も殿下に好かれるために無能を装っていました。
でも、もう馬鹿らしくなりました。
魔法だって、使えないふりをしないといけないですし、
そのせいで同じ貴族のお嬢様方に馬鹿にされるのもうんざりです。
だから決めたんです。
私、有能になってお嬢様方を見返してやろうと。
無能な私しか好きじゃない殿下も、もう入りません。
有能になって婚約破棄してやります!
もともと礼儀作法などは教養として身についていますし、
まずは魔法の上達からでしょうか?
私の魔法属性は氷なので質より量で押し切るほうがよいと昔、魔法学校の先生に言われたことがあります。
しかし、最近は滅多に魔法を使っていなかったので上達するにはかなりの時間が必要になるでしょう。
ここはいっちょ、楽して有能になってしまいましょうか。
この世界には魔鉱石というものがあります
魔鉱石は全ての元素、火・水・氷・草・雷・光・闇、分存在しており、各々の魔法属性に合った魔鉱石を身につけることで魔法の質や量が爆発的にあがるのです。
有能になると言っているのに、最初から魔鉱石に頼るのは狡いような気もしますが質の良い魔鉱石を手に入れるには運が良くなければ、例え貴族でも難しいです。
運も実力のうちと言いますし、許容範囲です!
こうして私は、魔鉱石専門の宝石店にて下から5番目の…
言い換えると1番質の良い魔鉱石を手に入れられました!
試しに魔法石をつけて魔法を使ってみると、自分サイズの氷しか作れなかったのが、なんと私の部屋ぐらい作れるようになりました! 詳しくすると20メートルくらいです♡
魔鉱石の力……恐るべし。
あと必要なのはコミュニケーション力とダンスでしょうか?
コミュニケーション力は自分でもあるほうだと思いますし、
やるとしたらダンスでしょうか……
実は私、ダンスが苦手でパーティーにでても踊らないことがほとんどです。
さて、この難題をどうやって解決しましょうか…
考え込んでいた時、部屋のドアをノックする音が聞こえました
「ソフィア様、御食事の用意ができました」
どうやら侍女の1人のサラが来たようです。
「はい、わかりましたよサラ。申し訳ないのですが、今日は部屋で食べてもいいですか?」
サラは心配そうに「わかりました」と言うとご飯の支度をしに行ってしまいました。
それからいろいろ考えましたが、ダンスはやっぱり地道に練習するしかないようですね。
あとでサラに内密でダンスの先生を呼んでもらうよう行っておきましょう。
こうして、地獄の2週間が始まりました。
毎日寝ても起きてもダンスの練習。
私からやりたいと言ったのですが、先生も厳しく、とても大変でした。
特に間違えて先生の足を踏んでしまった時、先生の顔が鬼のようになるのです!
踏まないようにヒヤヒヤしながら必死に練習しました。
そしてついに…ついに!先生からのお墨付きをもらい地獄のダンス練習は幕を閉じました。
こうして、有能になるために切磋琢磨と行動していると
リニーシェ公爵からパーティーの招待状が届きました。
これは私が有能になったことをアピールするチャンスです!
すぐに参加する旨を伝え、新しいドレスも新調しました。
どうやら殿下も参加するそうなので気が抜けません。
ついにパーティーの日になりました。
ドキドキしながら殿下にエスコートしてもらい会場に入ります
まず最初にダンスの時間がやってきました。
「ソフィア、私と一曲踊っていただけますか?」
いつもは断っていたダンスのお誘い、今日は堂々と受けられます!
「よろこんで」
殿下から差し出された手を取り、ホールに移動します。
殿下は怪訝そうな顔をしていましたがすぐにいつもの表情に戻りました。
ダンスが始まりました。殿下がリードしてくれているので私は細かい振り付けに専念しました。
結果から言うと大成功!
ダンスが終わるとわっとお嬢様方に囲まれて、お褒めの言葉をいただきました!
練習した甲斐があると言うものです♡
殿下は呆然と、あらぬ方向を見つめておりました。
今までダンスも踊れなかった無能婚約者が、急に完璧にダンスを踊って見せたんですもの。残念ですよね…
極めつけには氷魔法も最後に少しだけ披露しました。
私を馬鹿にしていた子達は血相を変えてこちらを見つめておりました。ちょっとだけ、良い気分になってしまいました♡
さて、これだけ有能さをアピールしたのですから今すぐにでも殿下から婚約破棄の言葉が出てきてもおかしくありません。
予想通り、殿下は大股でこちらに近づいてきました。
ついに婚約破棄と身を固めていると、衝撃の言葉が殿下から出てきました。
「ソフィア!まさか君にダンスと魔法の才能があったとは!」
………へ!?
「今までの君も好きだったけれど、今の君はもっと好きだ!」
あらあらあら???
「ずっと前から思っていたのだが……結婚しよう!」
こうして、私と殿下は結婚することになりました。
まさか、こんなことになるとは予想していませんでした。
でも、悪い気はしません。
殿下は無能だった私も、有能な私もどっちも愛してくれるみたいなので!
end
無能な私が危なっかしそうで可愛い、好きだと面と向かって言われたこともあります。
最初は私も殿下に好かれるために無能を装っていました。
でも、もう馬鹿らしくなりました。
魔法だって、使えないふりをしないといけないですし、
そのせいで同じ貴族のお嬢様方に馬鹿にされるのもうんざりです。
だから決めたんです。
私、有能になってお嬢様方を見返してやろうと。
無能な私しか好きじゃない殿下も、もう入りません。
有能になって婚約破棄してやります!
もともと礼儀作法などは教養として身についていますし、
まずは魔法の上達からでしょうか?
私の魔法属性は氷なので質より量で押し切るほうがよいと昔、魔法学校の先生に言われたことがあります。
しかし、最近は滅多に魔法を使っていなかったので上達するにはかなりの時間が必要になるでしょう。
ここはいっちょ、楽して有能になってしまいましょうか。
この世界には魔鉱石というものがあります
魔鉱石は全ての元素、火・水・氷・草・雷・光・闇、分存在しており、各々の魔法属性に合った魔鉱石を身につけることで魔法の質や量が爆発的にあがるのです。
有能になると言っているのに、最初から魔鉱石に頼るのは狡いような気もしますが質の良い魔鉱石を手に入れるには運が良くなければ、例え貴族でも難しいです。
運も実力のうちと言いますし、許容範囲です!
こうして私は、魔鉱石専門の宝石店にて下から5番目の…
言い換えると1番質の良い魔鉱石を手に入れられました!
試しに魔法石をつけて魔法を使ってみると、自分サイズの氷しか作れなかったのが、なんと私の部屋ぐらい作れるようになりました! 詳しくすると20メートルくらいです♡
魔鉱石の力……恐るべし。
あと必要なのはコミュニケーション力とダンスでしょうか?
コミュニケーション力は自分でもあるほうだと思いますし、
やるとしたらダンスでしょうか……
実は私、ダンスが苦手でパーティーにでても踊らないことがほとんどです。
さて、この難題をどうやって解決しましょうか…
考え込んでいた時、部屋のドアをノックする音が聞こえました
「ソフィア様、御食事の用意ができました」
どうやら侍女の1人のサラが来たようです。
「はい、わかりましたよサラ。申し訳ないのですが、今日は部屋で食べてもいいですか?」
サラは心配そうに「わかりました」と言うとご飯の支度をしに行ってしまいました。
それからいろいろ考えましたが、ダンスはやっぱり地道に練習するしかないようですね。
あとでサラに内密でダンスの先生を呼んでもらうよう行っておきましょう。
こうして、地獄の2週間が始まりました。
毎日寝ても起きてもダンスの練習。
私からやりたいと言ったのですが、先生も厳しく、とても大変でした。
特に間違えて先生の足を踏んでしまった時、先生の顔が鬼のようになるのです!
踏まないようにヒヤヒヤしながら必死に練習しました。
そしてついに…ついに!先生からのお墨付きをもらい地獄のダンス練習は幕を閉じました。
こうして、有能になるために切磋琢磨と行動していると
リニーシェ公爵からパーティーの招待状が届きました。
これは私が有能になったことをアピールするチャンスです!
すぐに参加する旨を伝え、新しいドレスも新調しました。
どうやら殿下も参加するそうなので気が抜けません。
ついにパーティーの日になりました。
ドキドキしながら殿下にエスコートしてもらい会場に入ります
まず最初にダンスの時間がやってきました。
「ソフィア、私と一曲踊っていただけますか?」
いつもは断っていたダンスのお誘い、今日は堂々と受けられます!
「よろこんで」
殿下から差し出された手を取り、ホールに移動します。
殿下は怪訝そうな顔をしていましたがすぐにいつもの表情に戻りました。
ダンスが始まりました。殿下がリードしてくれているので私は細かい振り付けに専念しました。
結果から言うと大成功!
ダンスが終わるとわっとお嬢様方に囲まれて、お褒めの言葉をいただきました!
練習した甲斐があると言うものです♡
殿下は呆然と、あらぬ方向を見つめておりました。
今までダンスも踊れなかった無能婚約者が、急に完璧にダンスを踊って見せたんですもの。残念ですよね…
極めつけには氷魔法も最後に少しだけ披露しました。
私を馬鹿にしていた子達は血相を変えてこちらを見つめておりました。ちょっとだけ、良い気分になってしまいました♡
さて、これだけ有能さをアピールしたのですから今すぐにでも殿下から婚約破棄の言葉が出てきてもおかしくありません。
予想通り、殿下は大股でこちらに近づいてきました。
ついに婚約破棄と身を固めていると、衝撃の言葉が殿下から出てきました。
「ソフィア!まさか君にダンスと魔法の才能があったとは!」
………へ!?
「今までの君も好きだったけれど、今の君はもっと好きだ!」
あらあらあら???
「ずっと前から思っていたのだが……結婚しよう!」
こうして、私と殿下は結婚することになりました。
まさか、こんなことになるとは予想していませんでした。
でも、悪い気はしません。
殿下は無能だった私も、有能な私もどっちも愛してくれるみたいなので!
end
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる