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長し夜に、ひらく窓
第41話 『幸せを呼ぶタルト』
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「さてね、それはどうかな?」
からっとした疑問符が、モヤを突き抜ける。
「僕はルティーではないし、彼女と会ったこともないから、なんとも言えない。
それから、真に努力が間違っていたかどうかなんて、死ぬ間際まで僕は分からないと思っている。
ただ一つ僕が言えるのは、藤枝穂乃香に理想像を押しつけた人間は、貴女が『出来ない、嫌です』と言ったところで、勝手に落胆し失望していた可能性はあるということだ。もしくは、出来たら出来たで文句や皮肉を言うかも知れない。あるいは、もっと利用しようとするか。
彼らは、彼ら自身の人生の責しか負わない。正確に言うならば、誰しもが自分の人生の責しか負えないのさ。それでも、貴女は自分以外に振り舞わされたいかい?」
虚ろだった藤枝の焦点が、天神に定まる。
「そもそも何を持ってして、彼らは貴女を評価したのだろうね。これまでの功績の積み上げ? 雰囲気? それとも、貴女自身や姉君の噂かな?」
なめらかな調べ。突き放すわけでもなく、穏やかに。藤枝は体を強張らせ、耳を傾ける。
「姉君だけではなく、眉目秀麗な貴女も、噂の的になりやすかったのだろう。
人間は、ゴシップや噂を好む。もちろん、僕だって例外ではない。けれども、そういう類はテキトーなものも多くてね。だからこそ、僕は自分の目で見て考えて、決断に責任を持ちたいと考えているのだよ。
もしも間違えたのなら、誠意を持って挽回に尽くすのみ。今の僕みたいにね。
大体、噂などというものは、自分の影のようなもの。本体はあるのに、影に振り回されては身が持たないだろう?」
慈愛に満ちた、あたたかさのある笑み。彼女の肩がふわっと緩んだのが分かった。
天神は、パンッと手を叩く。
「さてと。御託はこのくらいにして、お待ちかねのティーブレイクにしようじゃないか!」
突然の幕引き。あるいは、明転。
彼が斜め後ろに腕を伸ばした先には、いつの間にかデザートプレートを手にした店主が立っていた。優しそうな微笑で、紳士の目尻に皺がよる。
「こちら、『さつまいもと栗のタルト』でございます」
戸惑う俺たちの前にコトリと置かれた、真っ白な皿とタルト。美しいデルタの角度は、おおよそ四十五度。ゆったりとした黄金の波が重なり合い、その上には艶やかな栗が帆を立てる小舟のように乗っていた。
抗い難い、香ばしく甘いバターの香りが脳に幸せを運び、思わず生唾を呑み込む。
「これって、幸せの」
と、言い掛けて口に手をやった。メニューを見たときには、たしかになかった。それが出てくると言うことは、迂闊に声に出すのは良くないかも知れない。
「大丈夫だよ、早川。店内には、もう僕たちしかいないからね。さあ、噂の『幸せのタルト』を賞味しようじゃないか!」
天神が「いただきます」と手を合わせるのに倣って、俺もお辞儀をする。
銀のフォークは波の挾間に沈んでいく。固いクッキーの地底を割り、パタンと小さな三角形が倒れた。それを容赦なく刺して、口の中へ。
サクサク、ほろり。
さつまいもの甘みとバターのコクが混じり合って、なんとも言えない旨味に変わる。わずかに主張するマロンの渋みを含んだ甘さが雑味となり、味に奥行きを出していた。
「めちゃくちゃ、美味いな」
「それは、なにより! 貴女も、どうかな?」
藤枝は、まだタルトに手を付けていなかった。
それもそうだろう。あんな話をした後だ。むしろ、匂いに誘われて美味しく食べている自分の図太さが少しばかり申し訳なかった。
藤枝は申し訳なさそうに、フォークを入れる。タルトがホロホロと崩れる。それが、どこか今の彼女のようで不安になった。
小さくカットされたタルトは、彼女の小さな口に消える。
「……美味しい、です」
お世辞ではないことは、彼女の顔を見ればすぐに分かった。ぱっちりとした目は瞳孔がわずかに開き、ほんの少しだけ頬が緩んでいる。
店主は俺たちが食べているのを、すぐ近くで嬉しそうに見ていた。そこに、心配や不安と言ったネガティブなものは一切見受けられない。だからこそ、俺の脳裏浮かんだ疑問は消えなかった。
「あの、すみません」
「いかがされましたか?」
「こんなに美味しくて人気もあったケーキが、どうしてメニューから消えたんですか?」
不思議でならなかった。
何故、看板メニューとも言える商品が突然、消えたのか。季節限定だとしても、芋も栗も、まだ時季の食べ物だ。
店主は目をぱちくりとさせたあと、少しだけ困ったように微笑んだ。
「お恥ずかしながら、この店を回せないと思ったのです。多くのお客様にご来店いただくのは嬉しくはあるのですが、常連のお客様のなかには静かにゆっくりとした時間を過ごしたいと仰せになる方もいらっしゃいます。そのため、皆様がお求めになるタルトをメニューから下げた次第です」
静かにという単語で、思わず天神を見たのは仕方ないことだと思う。当の本人は、不思議そうに首を傾げているので、俺はあえて何も言わなかった。視線と顔の向きを店主に戻す。
「でも、お店にお客が入った方が良いんじゃないですか?」
「一時的な利益を考えるのであれば、そうかも知れません。ただそうなれば、私以外の従業員を増やすことになり、なかなか継続した純利を上げるのも難しくなるでしょうね。
他にも、クチコミの対応やHPの勧誘など、今ですら考えることが山積みになって来ているので……。なんて、もっともらしいことを言いましたが、このお店は私の趣味なので、自由にしたいというのが本音なのです」
彼は、ほんの少し子どもっぽく微笑んだ。
穏やかな口調。
俺を責めるどころか、しっかりと話してくれたことに一抹《いちまつ》の感動を覚える。一方で、自分はまだ物事の一面しか見ていないのだと痛感した。
「生意気を言って、すみませんでした」
「いえいえ、どうぞお気になさらないでください」
「いや……。あれ? でも、他にも店員さんがいましたよね?」
「他の店員ですか?」
「はい。天神くらい背が高くて、キビキビと動く」
店主には心当たりがなかったのか、キョトンとしている。
まさか、自分が見たのは座敷童の類いだったとでも言うのか。いやいや。彼はちゃんと仕事をしていた。あんな大きい人間が目に入らないわけがない。
頭では思うのに、最近、人ならざるものの話をよく聞いたせいか、ジワリジワリと不安が増していく。ツーッと冷たい汗が背中を流れるのを感じていると、隣の男がポンと手を叩いた。
「ああ! おそらく君が見たのは、僕だね!」
「は?!」
「友人と来ていただろう? まあ、僕はメガネをしていたし、髪型も変えていたから君が気付かなくても無理はないさ」
「え? あれ、おまえ? え、バイト?」
突然の爆弾発言に、頭が追い付かない。それが面白いのか、天神は体を震わせて笑う。
「なんて顔をしているのさ、早川!」
「いや、だって」
「広義の意味で言えば、バイトをしていたことには違いない。たとえ身内からでも、しっかりと給金はいただくからね」
「え、身内?」
オウムよろしく、単語を繰り返す。
「そうだよ? 彼は、僕の叔父さ!」
紹介するようにバッと手が伸びる。
店主改め、天神の叔父が深々と頭を下げた。
「初めまして。いつも一がお世話になっております」
「本物? 本当?」
「本物で、本当さ! 普段は、ただの客として僕は来店しているから、店主と客の関係も間違ってはいないけどね」
俺は天神と店主をまじまじと見比べる。言われてみれば、顔が似ているような、似ていないような。いや、似てないな。
いずれにしても、衝撃的な事実。びっくり箱を開けたときのような心臓の痛みこそないものの、狐につままれたような気持ちにはなった。
「そんなことよりも、君は気にならないのかい?」
「え? 何が?」
「この閑散たる店内をどうやって取り戻したか、さ!」
「それは、『幸せのタルト』がメニューにないと知れ渡ったからじゃないのか?」
「本当に、それだけだと思うかい?」
からっとした疑問符が、モヤを突き抜ける。
「僕はルティーではないし、彼女と会ったこともないから、なんとも言えない。
それから、真に努力が間違っていたかどうかなんて、死ぬ間際まで僕は分からないと思っている。
ただ一つ僕が言えるのは、藤枝穂乃香に理想像を押しつけた人間は、貴女が『出来ない、嫌です』と言ったところで、勝手に落胆し失望していた可能性はあるということだ。もしくは、出来たら出来たで文句や皮肉を言うかも知れない。あるいは、もっと利用しようとするか。
彼らは、彼ら自身の人生の責しか負わない。正確に言うならば、誰しもが自分の人生の責しか負えないのさ。それでも、貴女は自分以外に振り舞わされたいかい?」
虚ろだった藤枝の焦点が、天神に定まる。
「そもそも何を持ってして、彼らは貴女を評価したのだろうね。これまでの功績の積み上げ? 雰囲気? それとも、貴女自身や姉君の噂かな?」
なめらかな調べ。突き放すわけでもなく、穏やかに。藤枝は体を強張らせ、耳を傾ける。
「姉君だけではなく、眉目秀麗な貴女も、噂の的になりやすかったのだろう。
人間は、ゴシップや噂を好む。もちろん、僕だって例外ではない。けれども、そういう類はテキトーなものも多くてね。だからこそ、僕は自分の目で見て考えて、決断に責任を持ちたいと考えているのだよ。
もしも間違えたのなら、誠意を持って挽回に尽くすのみ。今の僕みたいにね。
大体、噂などというものは、自分の影のようなもの。本体はあるのに、影に振り回されては身が持たないだろう?」
慈愛に満ちた、あたたかさのある笑み。彼女の肩がふわっと緩んだのが分かった。
天神は、パンッと手を叩く。
「さてと。御託はこのくらいにして、お待ちかねのティーブレイクにしようじゃないか!」
突然の幕引き。あるいは、明転。
彼が斜め後ろに腕を伸ばした先には、いつの間にかデザートプレートを手にした店主が立っていた。優しそうな微笑で、紳士の目尻に皺がよる。
「こちら、『さつまいもと栗のタルト』でございます」
戸惑う俺たちの前にコトリと置かれた、真っ白な皿とタルト。美しいデルタの角度は、おおよそ四十五度。ゆったりとした黄金の波が重なり合い、その上には艶やかな栗が帆を立てる小舟のように乗っていた。
抗い難い、香ばしく甘いバターの香りが脳に幸せを運び、思わず生唾を呑み込む。
「これって、幸せの」
と、言い掛けて口に手をやった。メニューを見たときには、たしかになかった。それが出てくると言うことは、迂闊に声に出すのは良くないかも知れない。
「大丈夫だよ、早川。店内には、もう僕たちしかいないからね。さあ、噂の『幸せのタルト』を賞味しようじゃないか!」
天神が「いただきます」と手を合わせるのに倣って、俺もお辞儀をする。
銀のフォークは波の挾間に沈んでいく。固いクッキーの地底を割り、パタンと小さな三角形が倒れた。それを容赦なく刺して、口の中へ。
サクサク、ほろり。
さつまいもの甘みとバターのコクが混じり合って、なんとも言えない旨味に変わる。わずかに主張するマロンの渋みを含んだ甘さが雑味となり、味に奥行きを出していた。
「めちゃくちゃ、美味いな」
「それは、なにより! 貴女も、どうかな?」
藤枝は、まだタルトに手を付けていなかった。
それもそうだろう。あんな話をした後だ。むしろ、匂いに誘われて美味しく食べている自分の図太さが少しばかり申し訳なかった。
藤枝は申し訳なさそうに、フォークを入れる。タルトがホロホロと崩れる。それが、どこか今の彼女のようで不安になった。
小さくカットされたタルトは、彼女の小さな口に消える。
「……美味しい、です」
お世辞ではないことは、彼女の顔を見ればすぐに分かった。ぱっちりとした目は瞳孔がわずかに開き、ほんの少しだけ頬が緩んでいる。
店主は俺たちが食べているのを、すぐ近くで嬉しそうに見ていた。そこに、心配や不安と言ったネガティブなものは一切見受けられない。だからこそ、俺の脳裏浮かんだ疑問は消えなかった。
「あの、すみません」
「いかがされましたか?」
「こんなに美味しくて人気もあったケーキが、どうしてメニューから消えたんですか?」
不思議でならなかった。
何故、看板メニューとも言える商品が突然、消えたのか。季節限定だとしても、芋も栗も、まだ時季の食べ物だ。
店主は目をぱちくりとさせたあと、少しだけ困ったように微笑んだ。
「お恥ずかしながら、この店を回せないと思ったのです。多くのお客様にご来店いただくのは嬉しくはあるのですが、常連のお客様のなかには静かにゆっくりとした時間を過ごしたいと仰せになる方もいらっしゃいます。そのため、皆様がお求めになるタルトをメニューから下げた次第です」
静かにという単語で、思わず天神を見たのは仕方ないことだと思う。当の本人は、不思議そうに首を傾げているので、俺はあえて何も言わなかった。視線と顔の向きを店主に戻す。
「でも、お店にお客が入った方が良いんじゃないですか?」
「一時的な利益を考えるのであれば、そうかも知れません。ただそうなれば、私以外の従業員を増やすことになり、なかなか継続した純利を上げるのも難しくなるでしょうね。
他にも、クチコミの対応やHPの勧誘など、今ですら考えることが山積みになって来ているので……。なんて、もっともらしいことを言いましたが、このお店は私の趣味なので、自由にしたいというのが本音なのです」
彼は、ほんの少し子どもっぽく微笑んだ。
穏やかな口調。
俺を責めるどころか、しっかりと話してくれたことに一抹《いちまつ》の感動を覚える。一方で、自分はまだ物事の一面しか見ていないのだと痛感した。
「生意気を言って、すみませんでした」
「いえいえ、どうぞお気になさらないでください」
「いや……。あれ? でも、他にも店員さんがいましたよね?」
「他の店員ですか?」
「はい。天神くらい背が高くて、キビキビと動く」
店主には心当たりがなかったのか、キョトンとしている。
まさか、自分が見たのは座敷童の類いだったとでも言うのか。いやいや。彼はちゃんと仕事をしていた。あんな大きい人間が目に入らないわけがない。
頭では思うのに、最近、人ならざるものの話をよく聞いたせいか、ジワリジワリと不安が増していく。ツーッと冷たい汗が背中を流れるのを感じていると、隣の男がポンと手を叩いた。
「ああ! おそらく君が見たのは、僕だね!」
「は?!」
「友人と来ていただろう? まあ、僕はメガネをしていたし、髪型も変えていたから君が気付かなくても無理はないさ」
「え? あれ、おまえ? え、バイト?」
突然の爆弾発言に、頭が追い付かない。それが面白いのか、天神は体を震わせて笑う。
「なんて顔をしているのさ、早川!」
「いや、だって」
「広義の意味で言えば、バイトをしていたことには違いない。たとえ身内からでも、しっかりと給金はいただくからね」
「え、身内?」
オウムよろしく、単語を繰り返す。
「そうだよ? 彼は、僕の叔父さ!」
紹介するようにバッと手が伸びる。
店主改め、天神の叔父が深々と頭を下げた。
「初めまして。いつも一がお世話になっております」
「本物? 本当?」
「本物で、本当さ! 普段は、ただの客として僕は来店しているから、店主と客の関係も間違ってはいないけどね」
俺は天神と店主をまじまじと見比べる。言われてみれば、顔が似ているような、似ていないような。いや、似てないな。
いずれにしても、衝撃的な事実。びっくり箱を開けたときのような心臓の痛みこそないものの、狐につままれたような気持ちにはなった。
「そんなことよりも、君は気にならないのかい?」
「え? 何が?」
「この閑散たる店内をどうやって取り戻したか、さ!」
「それは、『幸せのタルト』がメニューにないと知れ渡ったからじゃないのか?」
「本当に、それだけだと思うかい?」
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