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団長エドガーの災難Ⅲ後退
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オレたち騎士団一行がカノンを降ろしたと思わえる場所へとたどり着くまでに一週間を要した。
理由は簡単だ。
行く先々の街で英雄扱いされたからだ。
既に、帝国中ではオレたち帝国騎士団の表彰されたことが知れ渡っていた。
毎日いい飯を教会が提供してくれた。これが接待というやつか。最高級のホテルに泊まり、用意された女を抱く。
まあ俺にはシイナがいるからそういう遊びは、シイナが寝てからしか楽しめなかったがな。
クロスナーに至っては街を離れることを嫌がっていた。
平民上がりのクロスナーは、今まで日の目を浴びることがなかったのだ。気持ちはわかるぞ。俺様は優しい団長様だからな。
ただこれ以上一つの街に留まると、父上にカノンを探していたと言い訳はできない。
嫌がるクロスナーを説得して、歩いて向かった。
ちなみに、馬車は最初の街で、もっともらしいことを言って帰した。俺達の行動が父上に報告でもされたらたいへんだからな。
日は沈み始めている。さっさと終わらせれば金貨500枚だ。
たしかここらへんだったか。確証は持てないが。
「たしかここらへんだったな。お前たち覚えているか。」
俺はフラメル、シイナ、クロスナーに問いかける。
皆、確信はないみたいだが、恐らくここだと思う。いや絶対にここだ。団長の俺が言うんだ。間違いない。
騎士団は毎日の行動をギルドを通して帝国に報告することを義務付けられていた。
連絡するのに数日のラグは発生するが、しょうがない。
まだカノンの目撃情報は入ってきていないから、大きな街にはいないのだろう。
そう考えると、森の中で隠れてビビっているカノンの姿が想像できる。
考えごとをしているとクロスナーが話しかけてきた。
「団長。こっち見てみろよ。森の中に小道があるぜ。誰かが通ったみたいだ。」
なるほど。さすがは平民上がりだ。よく気がつく。
「よくやった。クロスナー。さすがだな。」
恐らくここから森に入ったのだろう。
「皆、いつでも戦える準備をしていてくれ。森の中には魔獣がいるだろう。」
クロスナーが笑いながら答える。
「団長。ビビってんのか。そもそも戦場で活躍していた俺たちだぜ? 初級の冒険者じゃあるまいし、帝国内の魔獣なんて余裕だろ。」
◇
三人は森の中を進む。
森の中に入り、足跡を見つけたのだ。帝国騎士団に支給されている靴と同じ足跡。
間違いない。カノンの足跡だ。
クックック。カノン待ってろよ。
「チッ日が沈み始めてきたな。それに何だこの足跡は。また戻ってきたぞ。」
クロスナーが文句を言う。
足跡を見つけたところまでは良かった。
ただ、追跡しても元の場所に戻ってくる。カノンはどんな歩き方してんだ。
日も完全に沈んだ。
「村に帰るのにも時間がかかる。今日は野宿にするか。」
俺様が提案すると、潔癖症のフラメルが文句を口にしたが、今まで戦場では当たり前だっただろ。
勿論却下だ。
流石に夜は少し冷えるな。
フラメルに魔法で火を付けさせる。
食事も教会から支給された乾肉を食べる。
「二人ずつ交代しながら見張りをしよう。俺とシイナ。クロスナーとフラメルで3時間交代だ。俺達が先に見張りをする。明日にはカノンを捕まえられうだろうし最後の野宿だ。気を引き締めよう。」
シイナと俺様がコンビなのは勿論、やましいことをするためだ。
森の中でする機会なんてそうないからな。
「シイナこっちこいよ。」
「いやよ。それにクロスナーとフラメルまだ起きてるわよ。」
「うるせえな。聞かせてやろうぜ。」
そう言ってシイナを抱き寄せる。
―――刹那
「お前たちは帝国騎士団か。」
どこからともなく、声が聞こえてくる。敵かっ。警戒して剣に手をかける。
「ああそうだ。俺が騎士団団長のエドガーだ! 」
大声で叫ぶ。我ながらかっこいいな。
シイナに指示を出し、クロスなーとフラメルを起こしにいかせる。
「森に何のようだ。お前たちが来るような場所がない。」
「任務中の機密事項だ。答えられない。」
「最後の警告だ。ここから立ち去れ。」
「あ? ふざけんじゃねえぞ。お前何様だよ。俺は天下の騎士団団長のエドガー様だぞっ! 」
俺は大声で叫んだ。
周りから狼の遠吠えが聞こえると一斉に四人に飛びかかった。
くそっ。不意打ちなんて卑怯だ。
俺達は陣形も整えていない。
一人に数匹が襲いかかる。
俺の目の前には巨大な狼がのそのそと現れた。
「人間風情が。オレたちを思い通り操れると思うなよ。」
そう言うと飛びかかる。
早すぎる。
盾でガードすることで精一杯だ。
このままではまずい。
夜だから視界が悪い。足元も悪いし、お世辞にも戦うにはいい環境とは言えない。
クロスナーが叫ぶ。
「どうする。団長。一旦引くか。」
防ぐので精一杯だ。クロスナーたちの状況を確認することもできない。
くそっ。俺達騎士団に敗北の二文字はないが、分が悪い。
「今日のところは引くぞ。西に走れっ。」
幸い月は出ているので、ある程度の方角は分かる。
俺の声で皆も駆け出す。
数分は走っただろうか。街道が見えた。
「はぁはぁ。皆無事か。」
確認すると、シイナもクロスナーもフラメルもいる。傷は負っているが大怪我はしていない。
「無事かじゃねえよ。団長。ちゃんと見張りしてくれねえから敵襲を受けちまったじゃねえか。」
クロスナーのやつ、偉そうに俺様に指摘しやがって。だが俺様は皆を導くリーダーだ。モチベーション管理はしないとな。
「すまない。ちゃんと見張りしていたんだ。悪かった。」
悪いと思っていないが、頭を下げれば溜飲は下がるだろう。
「まあいいけどよ。それでこれからどうする。荷物は装備しか持ってきてねえぞ。」
たしかに、逃げることに必死で、装備しか持ってこれなかった。
「今日は村に戻ろう。なに、俺が奢るからパーッと過ごそうや。」
金と俺様のカリスマ性があればこいつらは着いてくる。カノン待ってろよ。明日こそ捕まえてやる。
理由は簡単だ。
行く先々の街で英雄扱いされたからだ。
既に、帝国中ではオレたち帝国騎士団の表彰されたことが知れ渡っていた。
毎日いい飯を教会が提供してくれた。これが接待というやつか。最高級のホテルに泊まり、用意された女を抱く。
まあ俺にはシイナがいるからそういう遊びは、シイナが寝てからしか楽しめなかったがな。
クロスナーに至っては街を離れることを嫌がっていた。
平民上がりのクロスナーは、今まで日の目を浴びることがなかったのだ。気持ちはわかるぞ。俺様は優しい団長様だからな。
ただこれ以上一つの街に留まると、父上にカノンを探していたと言い訳はできない。
嫌がるクロスナーを説得して、歩いて向かった。
ちなみに、馬車は最初の街で、もっともらしいことを言って帰した。俺達の行動が父上に報告でもされたらたいへんだからな。
日は沈み始めている。さっさと終わらせれば金貨500枚だ。
たしかここらへんだったか。確証は持てないが。
「たしかここらへんだったな。お前たち覚えているか。」
俺はフラメル、シイナ、クロスナーに問いかける。
皆、確信はないみたいだが、恐らくここだと思う。いや絶対にここだ。団長の俺が言うんだ。間違いない。
騎士団は毎日の行動をギルドを通して帝国に報告することを義務付けられていた。
連絡するのに数日のラグは発生するが、しょうがない。
まだカノンの目撃情報は入ってきていないから、大きな街にはいないのだろう。
そう考えると、森の中で隠れてビビっているカノンの姿が想像できる。
考えごとをしているとクロスナーが話しかけてきた。
「団長。こっち見てみろよ。森の中に小道があるぜ。誰かが通ったみたいだ。」
なるほど。さすがは平民上がりだ。よく気がつく。
「よくやった。クロスナー。さすがだな。」
恐らくここから森に入ったのだろう。
「皆、いつでも戦える準備をしていてくれ。森の中には魔獣がいるだろう。」
クロスナーが笑いながら答える。
「団長。ビビってんのか。そもそも戦場で活躍していた俺たちだぜ? 初級の冒険者じゃあるまいし、帝国内の魔獣なんて余裕だろ。」
◇
三人は森の中を進む。
森の中に入り、足跡を見つけたのだ。帝国騎士団に支給されている靴と同じ足跡。
間違いない。カノンの足跡だ。
クックック。カノン待ってろよ。
「チッ日が沈み始めてきたな。それに何だこの足跡は。また戻ってきたぞ。」
クロスナーが文句を言う。
足跡を見つけたところまでは良かった。
ただ、追跡しても元の場所に戻ってくる。カノンはどんな歩き方してんだ。
日も完全に沈んだ。
「村に帰るのにも時間がかかる。今日は野宿にするか。」
俺様が提案すると、潔癖症のフラメルが文句を口にしたが、今まで戦場では当たり前だっただろ。
勿論却下だ。
流石に夜は少し冷えるな。
フラメルに魔法で火を付けさせる。
食事も教会から支給された乾肉を食べる。
「二人ずつ交代しながら見張りをしよう。俺とシイナ。クロスナーとフラメルで3時間交代だ。俺達が先に見張りをする。明日にはカノンを捕まえられうだろうし最後の野宿だ。気を引き締めよう。」
シイナと俺様がコンビなのは勿論、やましいことをするためだ。
森の中でする機会なんてそうないからな。
「シイナこっちこいよ。」
「いやよ。それにクロスナーとフラメルまだ起きてるわよ。」
「うるせえな。聞かせてやろうぜ。」
そう言ってシイナを抱き寄せる。
―――刹那
「お前たちは帝国騎士団か。」
どこからともなく、声が聞こえてくる。敵かっ。警戒して剣に手をかける。
「ああそうだ。俺が騎士団団長のエドガーだ! 」
大声で叫ぶ。我ながらかっこいいな。
シイナに指示を出し、クロスなーとフラメルを起こしにいかせる。
「森に何のようだ。お前たちが来るような場所がない。」
「任務中の機密事項だ。答えられない。」
「最後の警告だ。ここから立ち去れ。」
「あ? ふざけんじゃねえぞ。お前何様だよ。俺は天下の騎士団団長のエドガー様だぞっ! 」
俺は大声で叫んだ。
周りから狼の遠吠えが聞こえると一斉に四人に飛びかかった。
くそっ。不意打ちなんて卑怯だ。
俺達は陣形も整えていない。
一人に数匹が襲いかかる。
俺の目の前には巨大な狼がのそのそと現れた。
「人間風情が。オレたちを思い通り操れると思うなよ。」
そう言うと飛びかかる。
早すぎる。
盾でガードすることで精一杯だ。
このままではまずい。
夜だから視界が悪い。足元も悪いし、お世辞にも戦うにはいい環境とは言えない。
クロスナーが叫ぶ。
「どうする。団長。一旦引くか。」
防ぐので精一杯だ。クロスナーたちの状況を確認することもできない。
くそっ。俺達騎士団に敗北の二文字はないが、分が悪い。
「今日のところは引くぞ。西に走れっ。」
幸い月は出ているので、ある程度の方角は分かる。
俺の声で皆も駆け出す。
数分は走っただろうか。街道が見えた。
「はぁはぁ。皆無事か。」
確認すると、シイナもクロスナーもフラメルもいる。傷は負っているが大怪我はしていない。
「無事かじゃねえよ。団長。ちゃんと見張りしてくれねえから敵襲を受けちまったじゃねえか。」
クロスナーのやつ、偉そうに俺様に指摘しやがって。だが俺様は皆を導くリーダーだ。モチベーション管理はしないとな。
「すまない。ちゃんと見張りしていたんだ。悪かった。」
悪いと思っていないが、頭を下げれば溜飲は下がるだろう。
「まあいいけどよ。それでこれからどうする。荷物は装備しか持ってきてねえぞ。」
たしかに、逃げることに必死で、装備しか持ってこれなかった。
「今日は村に戻ろう。なに、俺が奢るからパーッと過ごそうや。」
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