ルーザー

烏帽子 博

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ミッションは世直し

作戦開始4

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プリンセスタワー屋上の上空でホバリングした。
そこから見下ろした光景は、屋上が二つに割れて観音開きになってゆく所だった。

その中には巨大な人型ロボットが見えた。

「レイ様、私なんか嫌な予感がします。」

「あんなのが動き出したらと思ったら、誰だって恐いわよ。
でも、らなきゃ られるわ
メグミ、ありったけの爆弾と雷をあいつにぶち込んで」

その時巨大ロボットが、こちらを向いた。

何か攻撃がくる!

そう思ったわたしは、フルスロットルでその場を離れようとした。
がその時、強い痛みを感じた。
一瞬気が遠くなりそうになったが

「レイ様シッカリしてください!
あいつを倒しましょう」

メグミの声でなんとか気を保てた。
足元に目をやるとメグミの右足の膝から下が無くなり、血が噴き出してる。
私の足も無くなっていたが、既に再生を始めていた。

「一度降りて治療しよう」

と私が言うとメグミは

「今がチャンスです。私ならまだ大丈夫です。このまま殺りましょう。」

私はメグミの決意を無にしてはいけない気がした。

「わかった!殺ろう」

飛び回る私たちに向けて機銃掃射がきた。

「キャッチ & ファイアー」

私はその全てを撃ち返した。

バラバラバラとメグミが爆弾を投下した。

着弾と同時に雷が光る

猛烈な爆発がおこり、私たちは、それを避けるように、急いで退避して、地上に降り立った。

あれで助かるはず無いだろう。
私は気絶しているメグミを回復させた。もちろん足も再生させた。


その時、「ドッカ~~ン」と音と共に地震の様な衝撃がきた。

音のきた方を見ると、巨大ロボットが立っていた。

「本体は、ほぼ無傷か」

巨大ロボットは、ボロボロの盾を持っていたが、それを用済みとばかりに、プリンセスタワーに向けて打ち捨てた。

ー マーク、プリンセスタワーから全員退避 そこに居ては危ない
巨大ロボットが襲ってくるわ ー

ー こちら突入したヒムラたちと合流したところだ。
毒イタチは、ミサオが見つけてアオシが退治したが、サノスケはボロぞうきんみたいになってて歩くのもやっとだ、ハジメが刺された、これもヤバイ。
気配なしから突然現れた女に刺されたらしい。
ロボットではなく人間の女って言ってる。
とにかく一階フロアに戻るから
来てくれ。 ー

メグミを抱えて飛びながら、マークと話した内容をメグミに伝えた。
私たちは、タワーのエントランスに着地した。

「死んで!」

突然胸に強い痛みを覚えた。
後ろから刺されたのだ。



「あなたも、バイバイ」

次の瞬間、メグミの後ろに、女性が現れメグミを後ろから刺した。


そしてまたその女は、姿を消した。


「ぐふっ」

メグミが口から血を吐いた。



「メグミ、しっかりして、絶対死なせないから」

メグミを抱き、治療しながら、敵の女を警戒した。

「レイ様、ありがとうございます。
今頃あの女にも効果が出てるはずです。」

「えっ?なに?」

「さっきシュシュして撒いた毒です」

「ああ、あれ毒だったんだ。
いい匂いのスプレーかと思ってたわ」


ドサッ

さっきの女が落ちてきた。頭から血を流して、痙攣を起こしている。

倒れている女を見て、私は思わず助けたい衝動にかられた。

手をかざそうとしたら、その手をメグミが握って

「通路に急ぎましょう。先に刺された、ハジメさんとかが心配です。」

私は改めてメグミの勘の鋭さと
気転に感心した。

「掴まってメグミ、ジャンプするわよ」

通路に着くと、ちょうどマークたちも出て来る所だった。

ハジメは、既にこと切れてるようだ、サノスケも同様だ。

二人を並べて寝かせて、二人の手をとり、回復をかけたが、反応が無い。

すると、メグミがサノスケの上にまたがって

「カオル、アンタも私と同じようにハジメにやって」

胸の上に両手を重ねて、体重をかけてプレスする

「12345」

「12345 戻って来いサノスケ」

「12345」

「ハジメ、帰って来い」

「サノスケ 死ぬナバカ!」

「ハジメ 生きてもう一度俺と勝負しろ」

「12345」

「12345」









「ゲフッ」

「ゲフッ」

二人が少し息をしたように思えた。

私は、強く願いながら回復を掛けつづけた。

私の両手が一瞬光り、二人の顔に、血の気がさした。

サノスケが目を開け

「メグミ、気持よく寝てたのに、荒っぽい起こし方だな」

メグミはサノスケの頭を掴んで、胸の間に顔をうずめさせた。

「今だけよ」



「うっ カオル?」

ハジメも目を開けた。

「またがっていいのはヒムラだぜ」

カオルはメグミにウインクをしてから、ハジメの頭を掴んで、胸の間に顔をうずめさせた。

「今だけよ。助かってよかった。気にしない!」



その時再び激しい衝撃と共に、天井の一部が崩れてきた。

「全員出口へ!急いで!」

しかし、私は悩んでいた。
巨大ロボットは、私たちが飛び出す所を狙って、待っているはずだ

どうする?どうする?

「みんな!聞いて。
敵巨大ロボットが出口で待ち構えてるはずよ。
石像の時みたいに、光で攻撃してくるわ。」

「俺のミサイルの出番だろ。
レイ様、ここからでも俺のこと飛ばせますか」

「もちろん」

するとサノスケは身体の周りに土壁をまとわりだした。
以前より厚く大きいミサイルができあがった。

音もなく動き始めたサノスケミサイルは凄いスピードで玄関から飛び出した。

予想通り巨大ロボットの光の攻撃が直撃したが、構うことなくロボットの腹のあたりに直撃した。
ロボットは尻餅をつくようにすわる。

そこへヒムラとアオシが駆け込んで、ジャンプ。
光りの発射口の目を潰した。

ハジメがそれに続いて、ミサイルが当たって凹んでいる所に、彼の奥義の突きを放った。

ハジメの剣が巨大ロボットの腹に突き刺さるが、ロボットはハジメを振り払い立ち上がろうと四つん這いになる。

尚も斬りかかろうとするヒムラとアオシに向かって

「みんなどいて!」

メグミの声で、ヒムラとアオシが離れる。

わたしはミサイルとハジメを回収した。

巨大ロボットが片膝をつき、立ち上がろうとした

メグミの強烈な雷撃が、ハジメの残した剣に集束する

巨大ロボットは、体をのけ反らせ、目からは炎か出てる
そのまま後ろに倒れて大の字だ。

何度か電気のスパークが上半身から下半身へと ビカビカっと起こり
巨大ロボットは、爆発した。

「終わったのか?俺たちが勝ったのか?」

「サノスケ、だからお前はバカだって言ってるんだ。
アチコチぶっ壊して、瓦礫の山作って、人々は大混乱だ。
俺たちは、一般人からみたら今の所テロリスト集団の極悪人だ。
ロボットに勝った位ではしゃぐなよ ボケ」

そう言うハジメも目は笑っていた。

みんな笑顔で顔を見合わす中
マークが厳しい顔をした。
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