ルーザー

烏帽子 博

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ウィナーの世界

スキルアップ

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「ちょっと、どういうことよ、折角二人で選んだイケメンをクビにして、見られたくないとか言っちゃつて」

朝からオカンムリのシルビアがやってきた。

「シルビアも嘘ついてたでしょ。レイバーが人間じゃ無いって言わなかったでしょ」

「そりゃあ そうだけどさ、かわんないよ人間と」

「確かに見た目も話をしてみてもそうだけど、わたしの言いなりとか、逆に気持ち悪いわ」

「もう1回選び直す?」

「そうじゃなくて、どんなタイプの人も暫く要らないわ」

「そっかぁ~ で、わたしのフォローはいる?」

「心強いとは思うけど、暫く一人でやってみたいわ。
出来れば次の『人間狩りゲーム』迄は」

「ああ、彼氏かぁ~ 生き残るといいね。
それで貞操守りたいんだ、彼は幸せ者だね」

「シルビア、色々迷惑かけてごめんなさい。
わたしのわがままで」

「いいのよ、あなたは面白いわ。これからどんな未来があなたにあるか わかんないけど、わたしも楽しみよ。」






その日からわたしは、毎日一人で弓射撃場に通った。

常に見張られてるのは、分かっている。
その中で、さり気なく自分の実力を上げるには、それしかないと思い、ひたすら稽古に励んだ。
わたしはその中で、命中スキルをオフ状態に出来るようになった。
スキルを使わずに的を正確に射る。そのことだけに集中するのは心地良かった。
雑念を取り払って、自然と一体になる。周りの景色の一部になる自分を俯瞰で見てる感覚を覚える。
呼吸さえも、通り抜ける風の一部に思えた時、的だけがその空間の中で浮かびあがり、周りの景色が消えてゆく。
迷いなく的に中てる。

集中力を高めることが、少しずつ上達してくると、的以外の物つまりは監視カメラを的としてイメージすると、自分の周囲のどこにカメラが有るのか瞬時に発見出来るようになった。

射撃場はもちろん、自宅との往復のルートの中でも全てのカメラの位置が手に取るように分かった。


命中に逆命中、弓の練習で精神統一することで、スキルの精度があがった気がした。







いつものように、自分の家のモニターに向かって朝食メニューを呼び出して選んでいた。

「たまには和定食じゃなくて、トーストにしようかなぁ」

シルビアが、毎朝来てた頃はレストランばかり行ってたけど、最近は家で朝食をとるようにしている。

モニターにふれて少しトーストを意識していると、不思議な感覚に襲われた。

それがどういうルートで作られて、ここに届けられるのか、どんな人がトーストを選んでいるのかが何故か頭の中に流れてきた。

自分のやってきたことを思えば、ひたすら弓の修練だけ。
的を見て軌道をイメージして弓を弾く。
きっとそれで命中スキルがレベルアップしたんだろう。
スキルを伸ばすことで、エイトの言ってたデータベースとか言う所にアクセス出来る能力を得られたのかも知れない。

「危険人物」そのワードが頭に浮んだ。
確かに自分はどんどん「危険人物」になっている。
もともと神から密命を受けているから、そうなんだけど、改めて自分のスキルのヤバさを感じた。

このスキル バレたらきっと殺される そんな気がする。

だけど、このスキルを伸ばすことが何より必要だと思えた。






季節は秋に変り、時折肌寒い日があるようになった。
わたしのスキルは、試しては居ないが、多分システム障害を引き起こせるレベルになってると思う。

そしていよいよ「人間狩りゲーム」がまた始まる。
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