魔法使いフウリン

烏帽子 博

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第二章

女王蟻

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ヒューリは、ぎこちないながらも、ソルジャーアントを三匹ほど倒した。
肩で息をしだしたので、一度結界を張って休憩を入れた。

「はい、水分補給して、それと、魔力も少し分けてあげるわね」

多分レベルアップしたんだろう。ヒューリの顔色がいい。

こうして何度か休憩を挟みながら、奥へと進んで行った。
ヒューリのレベルも上がってきて、次第に、簡単にソルジャーアントを倒すようになった。

突然大広間のような場所に出た。

奥が祭壇のようになっていて、中央に女王、その左右に4匹の王がいて、下には数え切れない程のソルジャーアントがいた。

ソルジャーアントが一斉にこちらに向かってこようとした時に

キンキンキンキン

高周波かなにか、頭に響くような音がして、ソルジャーアントの動きが止まった。

ー もうそれ以上娘たちを殺さないでいただきたい ー

いきなり念話が入って来て驚いた

マリアがそれで目を覚ました。

「ヒューリ、マリアを落ち着かせて、何もさせないで!」

蟻の集団の中に居ることを自覚したマリアの目の色が変わりだす。

ヤバイ、また暴走する!

そう思った瞬間、ヒューリがマリアを抱き寄せ、口づけをした。
マリアは次第に柔らかな表情になり、落ち着きを取り戻し、そしてフェロモンを漂わせた。

「ヒューリ やりすぎよ!」

またも念話が送られて来た
ー お主らの求めん物がここに有るなら、それを差し出そう。それで引いてはくれぬか ー

私は念話で答えた
ー 私たちは、この祠の中に有ると聞いた『妖精のランプ』を求めてここに来ました。
殺戮が目的ではありません ー

ー 『妖精のランプ』ですか。残念ですが、今はこちらには、ございません。ここにあるのは『妖精のランプ』を灯す為の燃料、蟻蝋アリロウのみです。
蟻蝋でしたら、瓶に一杯差し上げます。
これで引いてはいただけませんか ー

ー これ以上あなたたちの巣を荒らすつもりはありません。
蟻蝋はありがたくいただきます。
最後にもう一つ教えて下さい。『妖精のランプ』が今どこにあるかは、ご存ないですか? ー

ー 『妖精の村』に行く事が出来ればいいのですが、妖精は汚れなき者にしか見えません。
妖精は、満月の晩に、この上の祠の近くに、現れる事が有るそうです ー


私たちは蟻の巣から外に出たが、皆憂うつな気分だった。

「そうだ! 師匠! 私たちの前にユニコーン狩りした人が、今も『妖精のランプ』持ってたりしないかしら?」

「また、ビアンカ頼りかぁー」

ー ビアンカ! ビアンカ! ー

ー ア~ン もう そこは…
ア~ン イヤ やめちゃ
もっとお~ ー

またか?盛んだなぁー
しばらく待ってから、もう一度呼びかけた。

ー ビアンカ! フウリンよ ー

ー あら フウリンちゃん。元気~ ー

ー 元気ですよ。
いきなりで悪いけど、ビアンカ『妖精のランプ』持ってませんか。前に使ったんでしょ。ジンの為にユニコーン捕まえる時に ー

ー ええ、持ってたわよ、でも使った後、妖精に返したの ー

ー えっ!ビアンカ妖精が見えるの?どうやって返したの? ー

ー 見えないわよ。祠の祭壇に置いてきただけよ ー

ー 手に入れるときはどうしたの ー

ー 祠の祭壇に祭ってあったのを拝借したのよ
どうしたの?祭壇に『妖精のランプ』無かったの? ー

ー 祠の下がダンジョンになってて、そこだと思って入っていったら、実はダンジョンでは無くて、ただのソルジャーアントの巣で、女王蟻がここに「妖精のランプは有りませんよ」って言うから、ちょっと困ってたんです。 ー

ー それじゃあ、祠の祭壇は調べて無いのね。調べてみたら ー

ー ビアンカ ありがとう、調べてみて、また連絡します ー

ー 今も有るといいわね『妖精のランプ』
それじゃあ またね。ー


何か私バカみたい。
蟻たちには、悪いことをしたなぁ

早速祭壇を調べてみると、小さなランプが出てきた。
「ビンゴね」
ランプには、燃料が残っていなかった。
ソルジャーアントの女王さん
あなたとの出合いも、無駄じゃあ無かったみたいね。


ー ビアンカ! ビンゴよ、祭壇に『妖精のランプ』合ったわ。いつもありがとう。ー

ー いいのよ、次は『氷のユリ』ね、頑張って ー
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