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お兄様に甘えます!
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私、シャーロットは兄の部屋に向かいながら思い出す。
確か兄であるカイル・シンフォニアは皇太子としてただでさえ忙しいのにわがままな妹の世話を押し付けられ笑顔を無くすことにした。氷の王子と呼ばれるほどに…そこをヒロインが癒し、徐々に笑顔を取り戻す、的な感じだったはずだ。
「…お兄様、笑顔よね?」
そう。既にシャーロットに辟易していた兄はこの時点でもう無表情だったはずである。
「…おかしいなぁ…」
お父様もお兄様も冷たくないし召使いや騎士達もゲームの過去編のようにシャーロットのことを遠巻きに見たりしない。
むしろ何故か慕われてる。
「お兄様、私です。シャーロットです」
ノックをしてなるべく可愛らしい声を出すと中から入っておいで、という優しい声が聞こえたのでドアを開ける。
「僕の可愛いシャル。今日はどうしたんだい?」
…え、お兄様ってこんなに甘いっけ?どこが氷の王子よ…チョコレートみたいじゃない!
私は心の中でちょっと引きながら部屋に入る。
「ごきげんようお兄様」
少しスカートをつまみちょこんと頭を下げる。
シャーロットの記憶が残っているおかげで作法などは体に染み付いていた。
「カーテシーが上手だねシャル。さすが僕の自慢の妹だよ」
頭をなでなでされ無意識にデレッとなるがすぐに戻る。
危ない危ない…恋もしたことない私にこのイケメン笑顔は危ないわ…
「それで?どうしたんだい?」
お兄様に問いかけられたので私は精一杯可愛らしい笑顔と声で告げる。
「大好きなお兄様に甘えに来たのです!」
…自分でも驚くほど可愛らしい声が出た。
少し目を丸くしていたお兄様はすぐに笑顔になり私を抱きしめる。
「シャル!僕の天使!本当に可愛いね」
「お…おにいさま…」
私はぎゅうぎゅうと氷の王子(笑)に抱きしめられながら、絶対にどこかおかしいと考えていた。
確か兄であるカイル・シンフォニアは皇太子としてただでさえ忙しいのにわがままな妹の世話を押し付けられ笑顔を無くすことにした。氷の王子と呼ばれるほどに…そこをヒロインが癒し、徐々に笑顔を取り戻す、的な感じだったはずだ。
「…お兄様、笑顔よね?」
そう。既にシャーロットに辟易していた兄はこの時点でもう無表情だったはずである。
「…おかしいなぁ…」
お父様もお兄様も冷たくないし召使いや騎士達もゲームの過去編のようにシャーロットのことを遠巻きに見たりしない。
むしろ何故か慕われてる。
「お兄様、私です。シャーロットです」
ノックをしてなるべく可愛らしい声を出すと中から入っておいで、という優しい声が聞こえたのでドアを開ける。
「僕の可愛いシャル。今日はどうしたんだい?」
…え、お兄様ってこんなに甘いっけ?どこが氷の王子よ…チョコレートみたいじゃない!
私は心の中でちょっと引きながら部屋に入る。
「ごきげんようお兄様」
少しスカートをつまみちょこんと頭を下げる。
シャーロットの記憶が残っているおかげで作法などは体に染み付いていた。
「カーテシーが上手だねシャル。さすが僕の自慢の妹だよ」
頭をなでなでされ無意識にデレッとなるがすぐに戻る。
危ない危ない…恋もしたことない私にこのイケメン笑顔は危ないわ…
「それで?どうしたんだい?」
お兄様に問いかけられたので私は精一杯可愛らしい笑顔と声で告げる。
「大好きなお兄様に甘えに来たのです!」
…自分でも驚くほど可愛らしい声が出た。
少し目を丸くしていたお兄様はすぐに笑顔になり私を抱きしめる。
「シャル!僕の天使!本当に可愛いね」
「お…おにいさま…」
私はぎゅうぎゅうと氷の王子(笑)に抱きしめられながら、絶対にどこかおかしいと考えていた。
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