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79・婚約者のお披露目
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「私からみなさまに、お伝えしたいことがあります」
クレイルドがそう切り出すと、あたりは音声が途切れたかと思うほどしんと静まった。
「先ほど目にした通り、竜は賢く強い存在です。だからこそ無暗に恐れるよりも、正しく竜を知ることが重要ではないでしょうか。実際に隣のマルエズ王国では、竜と人が様々な面で生活を支え合っています。その知見を我が国も学ばせてもらえることとなり、騎竜隊編成に際しての協力を快諾していただけました。彼女はそのマルエズ王国の伯爵令嬢で、私の婚約者でもあります」
飛空船内のあちこちから、さざ波のようなどよめきと、息をのむ気配が広がる。
皆クレイルドが婚約の提案に応じようとしない噂を知っていたため、信じられないといった様子で二人に注目していた。
クレイルドはティサリアに一度視線を移すと、再び乗客に語りかけた。
「彼女は私のことを、共に過ごすときも離れているときも支えてくれます。そして私も彼女にとって、そのような存在になっていきたい。彼女を守りたいという自らの願いに気づきました。そして彼女がこの国で幸せに過ごすことが、アルノリスタをより居心地の良い国へ変えてくれると確信しています」
ティサリアは優雅に膝を折り、美しい一礼をする。
「みなさま、私はマルエズ王国エイルベイズ伯爵令嬢、ティサリア・フィーナ・エイルベイズと申します。挨拶をする前から、すでにたくさんのご温情をいただき感謝しております。お会いできて光栄です!」
次の瞬間どっと歓声が沸き、今までにないほどの盛大な拍手が巻き起こる。
「殿下、おめでとうございます!」
「自分のことにどこか無関心に見えた殿下が、とうとう……!」
飛空船内には歓喜のまま振舞う人々の素直な感情が溢れていて、周囲から感謝と承認が伝わってきた。
「ティサリア様、あなたのような方をお待ちしていました!!」
「守護竜と飛空船を守ってくださるお姿、勇ましかったです!」
「殿下には良い方に巡り合って欲しいと思っていましたが、まさにふさわしい方ですね!」
人々は歓喜のまま、祝福の声が絶え間なく降り注いでくる。
ティサリアはクレイルドが国中の人々に愛されているのだと、改めて実感した。
「みんな、クレイのことを心配していたんだね」
クレイルドは頷くと、ティサリアの肩をそっと抱く。
「……知らなかったよ。ティサリアが意外と、人前で堂々と話すこともね」
「それはもちろん、クレイが隣で守ってくれるから」
その言葉の通り、ティサリアにはたくさんの人の視線が注がれていたが、不安はなかった。
ただクレイルドの隣にいる安心感と、心地よい緊張感に満ちている。
そして胸の内には、どうしても伝えたいことが膨らんでいて、ティサリアはもう一度礼をする。
「みなさまに思い浮かべて欲しいことがあります! みなさまが親しくなりたい相手……友達になりたいのはどんな方でしょうか?」
その問いかけに、周囲の喜びは突然聞かれたことへの興味と変わり、再びティサリアに静かな注目が集まった。
クレイルドがそう切り出すと、あたりは音声が途切れたかと思うほどしんと静まった。
「先ほど目にした通り、竜は賢く強い存在です。だからこそ無暗に恐れるよりも、正しく竜を知ることが重要ではないでしょうか。実際に隣のマルエズ王国では、竜と人が様々な面で生活を支え合っています。その知見を我が国も学ばせてもらえることとなり、騎竜隊編成に際しての協力を快諾していただけました。彼女はそのマルエズ王国の伯爵令嬢で、私の婚約者でもあります」
飛空船内のあちこちから、さざ波のようなどよめきと、息をのむ気配が広がる。
皆クレイルドが婚約の提案に応じようとしない噂を知っていたため、信じられないといった様子で二人に注目していた。
クレイルドはティサリアに一度視線を移すと、再び乗客に語りかけた。
「彼女は私のことを、共に過ごすときも離れているときも支えてくれます。そして私も彼女にとって、そのような存在になっていきたい。彼女を守りたいという自らの願いに気づきました。そして彼女がこの国で幸せに過ごすことが、アルノリスタをより居心地の良い国へ変えてくれると確信しています」
ティサリアは優雅に膝を折り、美しい一礼をする。
「みなさま、私はマルエズ王国エイルベイズ伯爵令嬢、ティサリア・フィーナ・エイルベイズと申します。挨拶をする前から、すでにたくさんのご温情をいただき感謝しております。お会いできて光栄です!」
次の瞬間どっと歓声が沸き、今までにないほどの盛大な拍手が巻き起こる。
「殿下、おめでとうございます!」
「自分のことにどこか無関心に見えた殿下が、とうとう……!」
飛空船内には歓喜のまま振舞う人々の素直な感情が溢れていて、周囲から感謝と承認が伝わってきた。
「ティサリア様、あなたのような方をお待ちしていました!!」
「守護竜と飛空船を守ってくださるお姿、勇ましかったです!」
「殿下には良い方に巡り合って欲しいと思っていましたが、まさにふさわしい方ですね!」
人々は歓喜のまま、祝福の声が絶え間なく降り注いでくる。
ティサリアはクレイルドが国中の人々に愛されているのだと、改めて実感した。
「みんな、クレイのことを心配していたんだね」
クレイルドは頷くと、ティサリアの肩をそっと抱く。
「……知らなかったよ。ティサリアが意外と、人前で堂々と話すこともね」
「それはもちろん、クレイが隣で守ってくれるから」
その言葉の通り、ティサリアにはたくさんの人の視線が注がれていたが、不安はなかった。
ただクレイルドの隣にいる安心感と、心地よい緊張感に満ちている。
そして胸の内には、どうしても伝えたいことが膨らんでいて、ティサリアはもう一度礼をする。
「みなさまに思い浮かべて欲しいことがあります! みなさまが親しくなりたい相手……友達になりたいのはどんな方でしょうか?」
その問いかけに、周囲の喜びは突然聞かれたことへの興味と変わり、再びティサリアに静かな注目が集まった。
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