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16・思わぬ贅沢(レオル視点)
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***
見上げると、夜空に月明りが冴えていた。
雨風をしのぐため、塔の一階に錬金釜一式を運んだ後、俺はリシアとディノと共にたき火を囲んでいる。
「はい、レオル」
湯気の立つカップをリシアに差し出されて、俺はそれを受け取る。
澄んだ琥珀色の液体を一口飲むと、豊かな茶葉の香りと蜂蜜の甘さが溶けるように広がった。
「美味いな」
友人から王族御用達だと特上品のマジックハーブティーを淹れてもらったこと思い出したが、リシアの錬金釜で作った茶葉となら比較するまでもない。
間違いなく、こっちだ。
石の上に腰掛けているディノも、蜂の巣から錬金された黄金色の蜜を落としたマジックハーブティーを飲みながら、うっとりとため息をついていた。
「フォレストオーク、鮮度がいいから臭みもなくて、ただただ美味しすぎたなぁ」
あの後、錬金釜付属の収納箱に吸い込まれたフォレストオークは「おすすめ解体」で毛皮と肉に切り分けられた後、リシアの錬金術で上品な口当たりのソテーに生まれ変わった。
聞くとリシアは以前、従姉妹にオークのソテーをごちそうしてもらったらしく、それを思い出しながら錬金釜のおすすめ調合で仕上げたらしい。
そうして俺たちの元へやって来た、出来立ての厚切り肉のソテーとなったフォレストオークは、食べる前から熱に絡む肉汁の香ばしさを周囲に漂わせていた。
やはり絶品だった。
からりと焼けた焦げ目は空腹を刺激する見た目だけではなく、食感が最高に心地良い。
そのこんがりした感じとは対照的に、噛みしめると旨味がじわっと口の中に溢れて、しっかりとした肉質なのに不思議と柔らかく、岩塩の加減も絶妙だ。
俺たちは夢中になって平らげてしまうと、今はこうしてハーブティーを楽しんでいる。
しばらくは携帯用の固焼きパン三昧を覚悟していたのに、リシアとの出会いで思わぬ贅沢が舞い込むこととなった。
錬金釜に投入して、杖でぐるぐる混ぜているだけにしか見えないのに、見たこともないような最高級品が出てくるんだよな……。
便利な反面、膨大な魔力消費をしているのは間違いないけれど。
だから今日リシアが大量に生産していた、彼女の芸術的センス満載な猫?の石像を含め、相当な魔力量を消費していることが気にかかる。
他にも、付属の収納箱の機能を使ったり維持するために、錬金釜に触れて魔力を補充しているし。
いくら魔力量の多かった古代人だとしても、あんな使い方をしていたら、魔力が空になってそのうち気絶するんじゃないか?
見上げると、夜空に月明りが冴えていた。
雨風をしのぐため、塔の一階に錬金釜一式を運んだ後、俺はリシアとディノと共にたき火を囲んでいる。
「はい、レオル」
湯気の立つカップをリシアに差し出されて、俺はそれを受け取る。
澄んだ琥珀色の液体を一口飲むと、豊かな茶葉の香りと蜂蜜の甘さが溶けるように広がった。
「美味いな」
友人から王族御用達だと特上品のマジックハーブティーを淹れてもらったこと思い出したが、リシアの錬金釜で作った茶葉となら比較するまでもない。
間違いなく、こっちだ。
石の上に腰掛けているディノも、蜂の巣から錬金された黄金色の蜜を落としたマジックハーブティーを飲みながら、うっとりとため息をついていた。
「フォレストオーク、鮮度がいいから臭みもなくて、ただただ美味しすぎたなぁ」
あの後、錬金釜付属の収納箱に吸い込まれたフォレストオークは「おすすめ解体」で毛皮と肉に切り分けられた後、リシアの錬金術で上品な口当たりのソテーに生まれ変わった。
聞くとリシアは以前、従姉妹にオークのソテーをごちそうしてもらったらしく、それを思い出しながら錬金釜のおすすめ調合で仕上げたらしい。
そうして俺たちの元へやって来た、出来立ての厚切り肉のソテーとなったフォレストオークは、食べる前から熱に絡む肉汁の香ばしさを周囲に漂わせていた。
やはり絶品だった。
からりと焼けた焦げ目は空腹を刺激する見た目だけではなく、食感が最高に心地良い。
そのこんがりした感じとは対照的に、噛みしめると旨味がじわっと口の中に溢れて、しっかりとした肉質なのに不思議と柔らかく、岩塩の加減も絶妙だ。
俺たちは夢中になって平らげてしまうと、今はこうしてハーブティーを楽しんでいる。
しばらくは携帯用の固焼きパン三昧を覚悟していたのに、リシアとの出会いで思わぬ贅沢が舞い込むこととなった。
錬金釜に投入して、杖でぐるぐる混ぜているだけにしか見えないのに、見たこともないような最高級品が出てくるんだよな……。
便利な反面、膨大な魔力消費をしているのは間違いないけれど。
だから今日リシアが大量に生産していた、彼女の芸術的センス満載な猫?の石像を含め、相当な魔力量を消費していることが気にかかる。
他にも、付属の収納箱の機能を使ったり維持するために、錬金釜に触れて魔力を補充しているし。
いくら魔力量の多かった古代人だとしても、あんな使い方をしていたら、魔力が空になってそのうち気絶するんじゃないか?
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