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謁見

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謁見の間、その玉座に居たのはヴァイツェンに似た厳しい表情の国王陛下だった。
やっぱりイケメンねぇ、大人の色気と威厳が伴って神々しくもあるわ。
扉を開ける前に教えて貰った通り両膝をついて頭を下げると、「立ちなさい」と頭上より声が響く。
姿勢を戻し、隣にいるヴァイツェンの顔を見ると、それでいいよと頷いてくれる。
「陛下、聖女様をお連れしました。リリエナ=ドゥーベ嬢です」
「よく来てくれた。急かすようだが魔物の発現が頻繁になっておるのだ、魔王の復活もあるやもしれん。今一度其方の力を借りたいのだ、討伐に加わってはくれまいか」
え、いきなり?魔物の討伐って言っても私は普通の人間だし、何も出来ない、無理よ。
勝手に聖女って言われても、剣も魔法も使えないのに何言ってるの王様、この王子様もだけど。
ここで嫌ですって答えたらどうなるんだろう、牢屋に入れられたりしないわよね、どうしよう身体が震えてきた。
王様も、このずらっと並んだ人達も、そして隣の王子様も全員が私を見てる、私の返事を待ってるけど「はい」も「いいえ」も言いたくない・・・。
「陛下、聖女様は再度の召喚に戸惑われております。加えて十分な休養をお取り頂けないまま強行にお連れしてしまいました。私が浅慮でありました。今一度休養を取りながら考えて頂くのが最善かと」
ヴァイツェンはそう言うとリリエナに微笑みかけた。
「そうか、あまり猶予は無いが、認めよう」
「ありがとうございます、では」
助けてくれた?とりあえず今すぐの返事はしなくていいって事かしら。
リリエナの震える手をヴァイツェンが握り、引っ張るように退室を促す。
部屋に戻り椅子に腰を落ち着かせたリリエナの正面に、ヴァイツェンはゆっくりと片膝をついた。
「さっきは父がすまなかった、魔物の件で城内も落ち着かず、聖女召喚が成功したと証明する必要があった。嫌な思いをさせて本当にすまない」
「いえ、そんな」
助け船を出してくれたのに素直にお礼を言えない程、都合を押し付けられる事に腹を立てていたが、ヴァイツェンは気にしていないようだ。
「討伐についてはゆっくり考えてくれていい、いやむしろ・・・安全な所に居て欲しいくらいだ、あんな思いはもう」
後半はぼそぼそと口籠っていた為、聞き取れなかった。
「え?すみません聞き取れなくて」
「いや、いいんだ。心配しなくて良い、討伐に参加しようとしまいと私はリリエナを守るつもりだ」
ブルーグリーンの瞳が強く光り、真剣な眼差しが本心であると伝えてくれる。
この人は、この人の瞳は聖女とは関係なく私自身を見てくれている気がする。
ヴァイツェン殿下は、少しは信用してもいいのかもしれない。
リリエナも見つめ返していると、恭しく左手の指先をやんわりと掴まれる。
「貴女は私が守る。この命ある限り、生涯の忠誠と愛を誓う」
指先に触れた柔らかく温かい感触に、身体が震えた。
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