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最終章 女神が告げる死の神託

おまけ その2 『剣が凍るわけがなかろう!』からの流れについて/ゴーレムについて/短篇『使い魔』

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おまけ その2 『剣が凍るわけがなかろう!』からの流れについて/ゴーレム
                 について/短篇『使い魔』


●『剣が凍るわけがなかろう!』からの流れについて

 先ず、凍るということについて、軽く説明をさせて下さい。
 凍るというのは、低温時において水分が凝固委し、固体(氷になる)となる現象です。
 水分のない物質――金属などは、低温になっても凍りません。岩石など、中に水分が混じっているものは、その水分の部分は凍りますが……。
 低温下になると、金属やガラスに霜がついて白くなることはあります。ただ、この状態は金属などに付着、または空気中の水分が凍っているだけで、金属やガラスが凍るわけではありません。

 ただし。
 凍らないにせよ、金属などの物質には低温脆性(ていおんぜいせい)という性質がありまして。
 物質によってことなりますが、一定の温度以下になると脆くなり、軽度の圧力で粉砕されたりします。
 これを低温粉砕というのですが、昔の客船などでは、これによる事故が多発したみたいですね。

 ジンが魔神トキファトとの戦いで魔剣・冷を選択したのは、この低温粉砕を利用して剣を叩き折るのが目的でした。
 とりあえず、得物を破壊しようって目的です。

 余談ですが、現在では金属などの研究も進んで、低温粉砕しにくい材質が一般的になってるようです。


 もう一つ余談ですが、聖闘士星矢なんかで冷気の技を使ってクロスが粉々になるという描写がありますが。
 冷気と同時に拳圧を与えているとすれば、描写的には正確なんじゃないかと思います。



 さて次に、ロックゴーレムとの戦いですが、これも氷の性質を利用しています。
 お墓であったことらしいですが、献花する穴に溜まった水が冬に凍り、石造りの献花台を割る――という事故。
 水が氷になると、膨張します。確か、8%前後だったと思います。
 その膨張で内側から圧力を受けた石材が割れる、ということですね。
 やってることは、そのままです。
 魔剣・雷によって胴体に溝ができたとき、ロックゴーレムは沼に倒れました。そのときに溝に溜まった水へ、魔剣・冷を放った流れです。
 魔剣・冷によって水が凍り、そのときの膨張による圧力で、胴体が真っ二つ――という訳です。
 まあ、魔剣・雷による衝撃で、ある程度内部も脆くなっていた、そして起き上がるときなどに胴体の溝周辺に圧力がかかった、というのも要員となってます。


●ゴーレムについて

 流れ的に、ゴーレムについて。
 ゴーレムの起源はかなり古く、たとえば聖書のアダムをゴーレムとする説もあります。
 それ以外ですと、ヘブライの泥人形でしょうか。額に「nnx」みたいな文字が刻まれてて、それは「emeth」を表すようす。真理とか真実とか、そんな意味の言葉ですね。
 この頭文字を消すと、死という意味になり、ゴーレムは破壊されるとあります。

 制作者の命令に従うようですが、単純なものというだけでなく、ある程度の規則はあるみたいですね。
 その規則に反すると、暴れ出したりするようです。


 以上は伝承的なゴーレムですが、ゲームや物語では色々なものがでてきます。

 よく見るのは木、岩、石、鉄、銅(青銅)、金、各種宝石、屍肉――あたりでしょうか。
 たまに氷、雪、機械(?)なんてものもありますね。

 魔力で動く物、生命のガス、魂、電気(?)など、ここ最近では、動力も色々です。

 作中では基本的に、魔術で作られて魔力を動力としています。
 ジンはゴーレムと対峙するとき、魔剣術で戦います。ウッドゴーレムなら長剣のみで戦うときもありますが、魔剣・炎のほうが楽ですし……。
 ほかのゴーレムとは、長剣なんかで戦いません。斃せませんしね。

 能力値の無い世界ですから、基本的に無理なんです。たとえば、戦車に剣で立ち向かって勝てるか……といったら、きっと無理なので。

 ただ……シヴィライゼーションⅣというゲームでは、騎兵に戦車が負けたりします。

 ……なぜ(泣)


●おまけの短篇『使い魔』

「使い魔なら、猫がいいと思うの。夜目も利くし、色々なところに行けるから」


「隼とかいいわよ? 飛べるから、色々便利だし」


 口調こそ穏やかだが、ステフとクレアさんから伝わってくる圧が、半端ない。
 魔術師ギルドの中で、俺はただ、たじろぐしかなかったわけだが……こんな状況になったのは、ティーサン賢師のひと言が原因だった。


 破壊神を討伐し、キャッスルツリー領に帰ってきてから、十日ほど経ったころ。俺とステフは魔術師ギルドからの召喚要請を受けた。
 クレアさんと三人で魔術師ギルドに訪れると、ティーサン賢師が出迎えてくれた。
 小さく手を挙げたティーサン賢師は、なにやら分厚い魔術書を持っていた。


「長から、君たちへの伝言を預かっている。ジン・ナイトに、使い魔を持たせよ――ということだ」


「使い魔? どうしてですか?」


「理由は聞いていないが、予想ならできる。破壊神を討伐した、ジン・ナイトとステフ・アーカムの地位を上げたいのだろう。だが、ジン・ナイト……君は魔術師ギルドに入門してから、魔術を一つも覚えていないようだ。
 そこで、君の地位を上げる条件である、使い魔の使役魔術を覚えたまえ――ということだろう」


 ティーサン賢師の言葉を、俺は居心地悪く聞いていた。
 魔術師ギルドに入門してからこちら、構文を二、三は覚えたけど、新たな魔術は一つも覚えていない。
 破壊神を討伐する前に、ステフと魔術の修行をしてみたけど結局、新たな魔術を覚えることができなかった。


「それで……その魔術書を覚えるんですか?」


「いや。この魔術書を使って、使い魔を使役すればいい。ほとんどの魔術師は、一回しか使わないからな。使い魔の魔術を覚える者は、ほぼ皆無だ」


 ティーサン賢師の説明に、俺は力強く頷いた。

 つまり、俺向きの魔術ってことだ。


「ちなみに、どんな使い魔が人気なんですか?」


「ふむ……そうだな。そちらの二人に聞いてみたらどうかね?」


 そのティーサン賢師の言葉が、先の状況の発端となったのだ。
 ステフと顔を向き合ったクレアさんは、小さく手を挙げた。


「別に、無理強いする気はないわよ? ほら、選ぶのはジンじゃない」


「……そうですね。ジンが選ぶんだし」


 再び――二人同時に俺へと向き直った。
 その強すぎる圧に、俺は完全に気圧されていた。どちらを選んでも、あとで酷い目に遭いそうだ。
 返答に迷っているとき、廊下から茶色のローブを着た男性がやってきた。


「おや、みなさん。お久しぶりです」


 ローウェル領の魔術師ギルドに移った、ボルナックさんだ。
 ボルナックさんは俺たちを見回すと、器用に片眉を上げてみせた。


「……なにがあったんですか?」


 俺が事情を説明すると、ボルナックさんはどこか納得した顔をした。


「なるほど、使い魔ですか。ならば、フクロウとかどうでしょう? お二人が利点と仰有っていることを備えていますし、餌も自分でなんとかできます」


「あ、なるほど。じゃあ、それにしようかな」


「なんで!?」


「ちょっと……どういうこと?」


 ステフとクレアさんは、揃って不満げな声をあげた。
 だけど……さっきのような、圧で満たされた空間というのは、勘弁して欲しい。あとで機嫌を取るのが大変かもしれないけど……とりあえず、今の状況をなんとかしたい。
 俺はティーサン賢師にフクロウにする旨を伝えてから、魔術書を受け取った。

 ……その後。
 二日ばかり、ステフもクレアさんも使い魔の魔術について、なにも教えてくれず。なんとか宥め賺して、十日後にようやく使い魔を使役することができた。

 聞くところによると、使い魔を使役できるまでの期間の最長さでは、過去三番目ということだった。

 ……まだ、二人も上がいることが驚きだ。

                                    完

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本作を読んで頂き、ありがとうございます!

わたなべ ゆたか です。

これをアップした日は、3月6日です。
ここで、皆様にお報せですが……

SteamというPCゲームのダウンロード販売サイトで、エースコンバット7が値引きセール中です。明日までなので、興味のある人はお早めに……。

ちなみに、容量は50Gと表示されていますが、いざダウンロード時には60G以上も表示されました。

わかってはいましたが、最近のゲームは容量でかいわ……。

少しでも楽しんで頂けたら幸いです。あ、エースコンバットのことじゃないです。念のため。

次回もよろしくお願いします!
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