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天狗の転生と言われて、何故か妖怪の世界を護ることになりました

二章-4

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    4

 堅護たちを追い返してから、二日後。
 墨染――いや、木鬼はイチョウの木の根元で微睡んでいた。太陽こそ朧気だが、夜の帳が開きかけた、早朝の冷たい空気が心地良かった。
 白ばんだ空を薄目で見上げた木鬼の元に、三匹の小さな獣が舞い降りた。イタチに似た姿ではあるが、やけにまん丸で、しかも手の平大ほどの大きさしかない。
 そのうちの一匹が、木鬼に告げた。


「近くまで、鬼が」


「ええ……気づいているわ。まったく、無粋なんだから。鎌鼬三兄弟……ハジメ、ナカゴ、シンガリ、おまえたちは離れていて頂戴ね」


「――御意にございます」


 鎌鼬三兄弟が飛び去ると、木鬼は立ち上がった。不機嫌に振り返った木鬼の前に、二体の影が現れた。
 一つは赤黒い肌で、ぎょろ目の鬼である。ボサボサの赤い髪から鋭い二本の角を伸ばし、獣の毛皮を腰に巻いている。その腰紐には、柄のない錆びた包丁を挟み込んでいた。
 もう一体は、龍に似た頭部を持っていた。薄緑色の鱗の身体を持ち、蛇のような尻尾が背中から伸びている。
 着流しに似た衣服を着ているが、襟や裾はボロボロだ。
 木鬼は不機嫌な顔で、二鬼を出迎えた。


「火鬼に水鬼、なにか御用?」


「御用、じゃねえ。この前、ここに誰かきたんだってな」


 睨みを利かせる火鬼に、木鬼は小首を傾げた。


「それが、なにか? 追い返したのだから、問題はないでしょう」


「なぜ、殺さなかった! 人間の臭いが残ってる――久しぶりに、人間の血肉が喰えただろうにっ!!」


「まったく。粗野で野蛮なこと」


 火鬼の怒声など、何処吹く風か――木鬼は小さく欠伸をした。そんな態度に、火鬼は憤怒の形相で、腰の包丁に炎を纏った手を伸ばした。


「てめぇ――俺を甘く見てるなら、ただじゃおかねぇぞ。貴様程度が、俺様に勝てると思ってるのか?」


「あら、その言葉……そっくりそのまま、お返しするわ」


 木鬼が目を細めた途端、周囲の空気が一変した。見た目はなにも変わらないが、木々から放たれる精気が一気に減少した。
 木々が冬眠したかのように鎮まると、火鬼の両腕から漏れていた火が消えていく。


「木生火っていうのかしら。火鬼――あなたの力は、あちきの気分次第なのよ?」


 手に桜の木の枝を生み出した木鬼と火鬼が、静かに睨み合う。そのあいだに、水鬼が割って入った。


「や、やめろ――争うために来たのではない。木鬼、我らは質問にきた。や、奴らは、我らのことを嗅ぎ付けたのか?」


「さあ? 住処に行きたいと言っていた気はするけれど」


「そうか。や、山女の里に、影響が出始めたのかもしれぬ。ここは、〈穴〉に近いため、まだ無事のようだが。木鬼よ――里に影響は出ていそうか?」


 少し喋りに癖のある水鬼に、木鬼はイチョウの幹を優しげに撫でた。


「この辺りは、少しだけ。里では――そうね。弱い草花は枯れ始めているかも」


「そうか。や、奴らはそれで〈穴〉の様子を見に来たのかもしれぬな」


 水鬼は山女の収める町の方角へと首を向けながら、火鬼を逆方向に押した。


「また、や、奴らが来るかもしれぬ。ここの護りは任せたぞ」


「ええ……そう縛られているものね」


 少し皮肉の混じった木鬼の言葉に、水鬼は目を細めただけだ。
 木鬼は会話が続かないことに安堵してから、ふと思い出したように水鬼を振り返った。


「そういえば、金鬼はどうしたの?」


「……や、ヤツは寝ている」


「あら、そう」


 毎度のことね――そう呟いた木鬼は、イチョウの木の根元へと戻った。これ以上、火鬼や水鬼と話を続けるつもりはないという、意思表示である。
 火鬼と水鬼が去って行くと、木鬼は緊張を解くように息を吐いた。

   *

 墨染お姉――いや、木鬼に追い返されてから、三日後。俺は前回と同じ面々と、〈穴〉への道を進んでいた。
 周囲にあるのは、前回と同じく鬱蒼と茂る木々や草花。〈穴〉に近いこともあってか、枯れたものはまったく見られない。前回は、そんなことにも気づかなかったんだな――と思っていると、アズサさんが声をかけてきた。


「訓練の成果は、どうでした? こうして許可が出たんですから、かなり上達したんだと思いますけど」


「まあ、三回に二回……くらいは、成功するようになりましたけど」


「あら。及第点じゃないですか」


 アズサさんはそう言って微笑んだけど。正直に言って、不安はかなり残っている。
 透視はともかく祓う力を使うときは、かなり集中しないと成功しない。戦いながら、そんなことができるのか……まだ俺自身、自信が持てなかったんだ。
 それから一時間ほどが経ったとき、前に木鬼と会った場所に到着した。
 木鬼を探そうとした矢先、次郎坊とタマモちゃんが不意に立ち止まった。それぞれに周囲を見回しながら身構えるのを見て、俺は木鬼が来たと思った。
 しかし木鬼は現れず、その代わりに一陣の風が、俺たちのあいだを通り過ぎていった。
 俺たちは、あまりにも強い風に立ち止まっていた。風が止み、腕や頬に微かな痛痒さを覚えた直後、小さな笑い声が重なって聞こえてきた。


「侵入者か――ここから先は、通さぬぞ!」


「我ら鎌鼬の技を受け、さぞ恐れおののいたであろうな!」


「そうら、もっと恐怖しろ! 泣き叫べ!!」


 手の平大の獣が、口々に威嚇――なのかな? それっぽいことを言ってきた。
 対する俺たちは、一様に『?』という顔をしていた。なんか攻撃を受けたっけ……というのが正直なところだ。
 俺たちが一様に怪訝な顔をしていると、一番前にいた鎌鼬が小さな鎌を突き出した。


「我らの攻撃が見えなかったようだな! 一の鎌は風で足を止め」


「二の鎌で身体を切り刻み」


「そして、三の鎌は霊薬にて傷を癒やすのだ!」


 恐れ入ったか――と胸を張る三匹に、俺たちは沈黙した。
 なんて言い返すのが効果的か――そんなことを悩んでいると、タマモちゃんが呆れた口調で告げた。


「傷を治したら、意味がないんだよ、だよ。こいつら、バカ? バカ?」


 この言葉に、鎌鼬たちはかなりのショックを受けたようだ。三匹で言い争いを始めたとき、木々のあいだから柔らかな声がした。


「おまえたちは、離れておいで」


「は、はは――」


 鎌鼬たちが旋風とともに消えると、墨染――木鬼が姿を見せた。
 木鬼はどこか儚げな黒い瞳で俺たちを見回すと、小さく首を振った。


「どうして、また来たの?」


「あの――里で植物が枯れ始めているんです。〈穴〉の異変が原因である可能性がありますので、様子を確認させて頂きたいのです」


 嶺花さんの代理という立場なのか、アズサさんが毅然とした態度で答えた。
 木鬼はその返答を聞いてもなお、首を横に振った。


「残念だけれど……ここから先へと行かせられないの。諦めてくれないかしら?」


「そうはいかぬ――通せぬというなら、力尽くで押し通るまで」


 次郎坊が錫杖を構えると、木鬼は「そう……残念ね」と呟くように応じながら、前に進み出てきた。
 素早く木鬼との間合いを詰めた次郎坊が、錫杖を叩き込んだ。しかし、それは木鬼が持つ桜の枝で受け止められてしまう。


「な――っ!?」


 驚愕した次郎坊は、次の瞬間には吹っ飛ばされた。横から蔦のような植物が、鞭のようにしなりながら次郎坊を打ち付けたみたいだ。
 その瞬間が見えなかったから、半分くらいは推測だけど。
 戦いになったことに動揺した俺の前で、アズサさんが数枚の呪符を造り出した。それらを握り締めた途端、その手に金属バットが現れた。


「烏森さんは打ち合わせ通り、木鬼の解呪を! タマちゃんは、サポートよろしく!」


 向かってくる雑草を、アズサさんは金属バットで叩き落としはじめた。俺は言葉の意味を思い出すまで、頷くことすらできなかった。


「え? あ――はい」


 駆け出した俺は、まっすぐに木鬼へと向かった。俺の元にも数本の雑草が向かって来たけど、狐の尻尾っぽい毛の塊が、すべてを弾いてくれた。


「お任せだよ! だよ!」


「ナイス――」


 タマモちゃんに礼を告げてから、俺は木鬼へと駆けた。
 着物を重ね着した木鬼の近くまで迫ったとき、俺の周囲の地面から、赤い葉っぱの蔦が、十数本も飛び出してきた。
 咄嗟に前に飛んで躱そうとしたけど、足首を蔦が掠めた。
 チクッとした痛みと、濡れたような感触。地面に膝をついた俺はすぐに立ち上がろうとしたけど、何故か身体が動かなかった。
 手足が痺れて、力が出ない。まるで、正座のあとの脚の痺れが、全身を巡ったような感じだ。
「身体が麻痺する毒よ。死にはしないけれど、しばらくは動けませんよ」
 木鬼は俺に言うと、視線をアズサさんたちへと向けた。


「まずは、あちらを片付けてくるわ。堅護さ――あなたは、そのあとで。苦しめはしない……から。安らかに、眠るだけ」


「そ……す、おね……」


 俺はもう、喋ることすらできなくなっていた。
 ヤバイ――このままじゃ、木鬼がみんなを殺してしまう。アズサさんや次郎坊、そしてタマモちゃんも雑草の攻撃を防ぐだけで、手一杯になっていた。
 それに、さっきの蔦の攻撃が加われば、各個撃破されていくのは目に見えている。そんなこと、木鬼――いや、墨染お姉ちゃんにさせちゃダメだ!
 そんな俺の意志を、身体は拒絶した。全身が痺れているせいか、指先一本すら動かせない。唯一、辛うじて動かせる眼で木鬼の姿を追った俺は、木鬼の赤い蔦がアズサさんの手を掠めたのを目撃した。
 俺と同じ麻痺を受けたのか、アズサさんは膝から崩れ落ちた。
 このままでは、全員やられる。そう悟った俺は無我夢中で、言葉にならない声をあげた。
 ――神通力が呪術とか魔法の代わりになるなら、こんな麻痺くらい打ち破れ!!
 ほとんど無茶苦茶な声を挙げながら、俺が全身に力を籠めると――突然に身体が動いた。
 ……ホントに動けるようになるとは思わなかったけど、この機会を生かすしかない。俺は急いで起き上がると、木鬼へと駆け出した。
 木鬼は、次の目標をタマモちゃんに変えたようだ。蔦植物を操るような仕草で、タマモちゃんに右手を向けた。
 俺が木鬼のすぐ後ろまで駆け寄ったのは、そんなときだ。足音が聞こえたのか木鬼が振り返ったけど、俺は構わずに飛びかかった。
 俺と木鬼は、もつれるように地面を転がった。


「やめなさい」


 俺の下になった木鬼が、俺の両腕を掴んだ。俺は手を振り解こうとしながら、自分の目に意識を集中させた。


「神通力、妖透視」


 言霊を口にした途端、木鬼の喉の辺りに細長い胴体を持つ、昆虫のような犬っぽいものが蠢いているのが見えた。これが、墨染を木鬼にしている元凶――あとは、祓うのみ。
 ……しかし、肝心の両手は木鬼に掴まれたままだ。祓うための神通力は、妖などが潜む場所に直接触れる必要がある。
 両手がないなら――今の俺は祓いをすることだけに、意識が向いていた。
 顔を近づけて、直接木鬼と肌を触れ合わせた。


(神通力――鬼祓いっ!!)


 俺が頭の中で叫んだ途端、木鬼の身体がビクンッと痙攣した。
 俺が口を離すと、木鬼の口が大きく開かれた。そして――灰色の身体を持つ虫のような犬のような姿の異形が、木鬼の口から空中に跳び上がった。


〝おのれっ! 小賢しい神通力めが。貴様らのことは、主に伝えて――〟


 吼えるように俺へ怒鳴っていた異形が、空中で破裂した。


「――滅せよ、鬼め」


 どうやら、次郎坊の仕業のようだ。神通力での調伏で、呪いは消滅した。
 ホッとした俺は、木鬼へと目を戻した。木鬼の黒くて透き通るような瞳が、まっすぐに俺を見つめていた。


「堅護さん……今、接吻したの?」


「え――」


 木鬼に言われて、俺は我に返った。無我夢中で俺自身、自分のやらかしたことに気がつかなかった。


「え? あ、その……ごめんなさいっ!!」


 慌てて木鬼から離れた俺は、顔を真っ赤にしながら俯いた。仕方ないとはいえ、とんでもないことをしてしまった……。
 な、なな、なんてことをしちゃったんだろう――と思った俺に、木鬼が近づいて来た。


「謝ることはないのよ。あちきを助けるために――なのでしょう? それに、あちきのために、一生懸命になってくれたこと、とても嬉しいわ」


「木鬼――さ」


 言葉の途中で、木鬼は俺の口を人差し指で閉ざした。


「墨染と呼んで頂戴ね――堅護さん」


「墨染、お姉ちゃん」


 俺が名を呼ぶと、墨染お姉ちゃんは優しげに微笑んだ。


「あの幼かった男の子が、こんなにも逞しくなって。善い男なりましたね、堅護さん」


「あ、いや、いい男かどうかは分からないけど……」


「善い男よ。あちきにとっては、とても善い男に見えるわ」


 俺と墨染お姉ちゃんが見つめ合ったとき、鎌鼬たちが舞い降りてきた。


「墨染の君――先日の鬼が」


「そう。わかったわ……堅護さん。色々とお話もしたいけれど、ここまでにしましょう」


 墨染お姉ちゃんは俺から離れると、次郎坊やタマモちゃんにも聞こえるように告げた。


「もうすぐ、鬼たちが来るわ。あちきは、しばらく身を潜めなければならないの。あなたたちも、すぐに里へ戻りなさい。色々と訊きたいこともあると思うのだけれど…今は、あちきの言うとおりにして頂戴ね。落ち着いたら、鎌鼬たちを使いに送りますから」


 そう言って、墨染お姉ちゃんは吸い込まれるように、木々の中へと消えていった。鎌鼬たちも俺たちに頭を下げてから、旋風となって何処かへと飛び去ってしまった。
 次郎坊は溜息を吐くと、俺に首を向けた。


「仕方ない。今日は退くとしよう。アズサ殿も動けぬのでは、先に進めぬ」


「あ……ちょ、待っ――動け、な――い」


 再び俺の身体が、痺れ始めていた。どうやら、麻痺を抑えていた神通力が消失してしまったようだ。墨染お姉ちゃんを助けたことで、緊張の糸が切れてしまったんだと、思う。
 麻痺で動けない俺と背負った次郎坊と、アズサさんを尻尾で運ぶタマモちゃんは、飛ぶような速さで嶺花さんの屋敷へと戻っていった。
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