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特訓開始
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自分の部屋に帰り今った私は、今の悔しい気持ちと2人から言われたの言葉を書き出した。
途中でめげそうになったらこれを見て今の気持ちを思い出し、自分に喝を入れなおすのが目的だ。
続いて住み込みで働いてくれている家庭教師の先生方を一堂に集めた。
「先生方、急に集まっていただいて申し訳ありません。今日集まっていただいたのは、今後のことをご相談するためです。先日、先王陛下が譲位され新王陛下が即位なさいました。そして新王陛下は国中の貴族から婚約者候補を集め、婚約者選抜試験を開催すると布告を出されました。私も新王陛下の婚約者に立候補するべく、おじい様に推薦状の用意をお願いしに参りました。ところがおじい様は、クープマン公爵家として新王陛下の婚約者候補に推薦できるレベルに私がないと仰り、推薦状を書くことを拒みました。けれど、私はあきらめたくありません。立候補の期限は4月30日。まだ4か月以上あります。先生方には、この4か月の間に私を陛下の婚約者にふさわしい人間にしていただきたいです。また、選抜試験の対策も併せてお願いします。どんな厳しいメニューにも耐えて頑張りますので、どうぞ、よろしくお願いいたします」
私は先生方に頭を下げた。
「国王陛下の婚約者候補…」「選抜試験」
先生方は私の言葉を聞いてざわめいている。
「エレノア様、今まではそれぞれの科目を同じ時間勉強していらっしゃいました。でも事情をお伺いしたところ、私たちで話し合って、時間配分を決めたほうがいいと思うのですがいかがでしょうか?すでに高い水準でマスターされている科目は後回しにし、弱点になりそうな科目を重点的に学んだ方がよろしいかと思います」
歴史の教師が発言すると、周囲の教師たちも同意するようにうなずいている。
「では、是非そのようにお願いします。手が空いている先生方には、選抜試験の傾向と対策をお願いすることにします」
こうすれば、誰かにだけ負担が集中してしまうということをなるべく防げるだろう。
「そのことなのですが、私は過去に王妃の選抜試験が行われたという例を聞いたことがありません。どういった問題が出るか、あらかじめ募集要項などに例題などが記載されていますでしょうか?」
カスタリア語の教師が発言すると、皆が「確かに」とうなずいた。
口をそろえて選抜試験など聞いたことが無いという。
「そうなんですね。募集要項には例題なんてありませんでした。そうしたら、先生方が王として選ぶなら王妃にはどんな資質が必要か、どんなことを知っておいてほしいか、そういった点を基準に問題を作っていただければいいのかもしれません。先生方に任せします」
私は先生方にすべて任せることにした。
翌日、授業計画書が先生方から提出された。
目を通してみると、語学と音楽の時間が特に増やされていて、次にダンスとマナーの時間が増やされていた。
語学と音楽は自分でも苦手な自覚があるけれど、ダンスとマナーは私としては得意科目だと思っていた。
少し意外な時間配分だ。
さっそくマナーの授業が始まったので、私はマナーの先生に時間が増やされたことについて尋ねてみた。
「エレノア様はお母さまを見て育ち、またお母さまからある程度の教育を受けていたようで、ほぼ完ぺきな立ち居振る舞いを身につけていらっしゃると思います。でも気を抜くと少し足が開きぎみになるようです。以前は指摘しませんでしたが、完璧に仕上げるためには必要不可欠と思い、時間をいただきました。おそらく身についた武術のたしなみが、立ち居振る舞いにも影響を与えているのでしょう。武術の稽古の時の体の使い方を令嬢として振る舞う場合にはいったんすべて忘れていただく必要があります。そのためには時間が必要だと考えました。もちろん、早めに切り替えができるようになれば、語学や音楽の時間に回していただいて構いません」
説明を受けると、自分でも心当たりがあった。
戦闘訓練においては、常に相手に対して身構えなければならず、綺麗に足をそろえておくということはない。
ダンスの先生にも、ほぼ同じような指摘をされた。
身体を動かすことが好きな私は、公爵家に引き取られるまでろくにダンス踊ったことが無かったけれど、習い始めてからは筋がいいと褒められていた。
けれど、やはり節々に少しおかしな部分があるそうだ。
それは私が自然と身につけてしまっているものが表れているので、矯正に時間がかかるかもしれないと考え、時間を多めにとっていると教えてもらった。
ダンスとマナーについては、動きから私が自然としてしまっているおかしな動きを修正していく作業が開始された。
途中でめげそうになったらこれを見て今の気持ちを思い出し、自分に喝を入れなおすのが目的だ。
続いて住み込みで働いてくれている家庭教師の先生方を一堂に集めた。
「先生方、急に集まっていただいて申し訳ありません。今日集まっていただいたのは、今後のことをご相談するためです。先日、先王陛下が譲位され新王陛下が即位なさいました。そして新王陛下は国中の貴族から婚約者候補を集め、婚約者選抜試験を開催すると布告を出されました。私も新王陛下の婚約者に立候補するべく、おじい様に推薦状の用意をお願いしに参りました。ところがおじい様は、クープマン公爵家として新王陛下の婚約者候補に推薦できるレベルに私がないと仰り、推薦状を書くことを拒みました。けれど、私はあきらめたくありません。立候補の期限は4月30日。まだ4か月以上あります。先生方には、この4か月の間に私を陛下の婚約者にふさわしい人間にしていただきたいです。また、選抜試験の対策も併せてお願いします。どんな厳しいメニューにも耐えて頑張りますので、どうぞ、よろしくお願いいたします」
私は先生方に頭を下げた。
「国王陛下の婚約者候補…」「選抜試験」
先生方は私の言葉を聞いてざわめいている。
「エレノア様、今まではそれぞれの科目を同じ時間勉強していらっしゃいました。でも事情をお伺いしたところ、私たちで話し合って、時間配分を決めたほうがいいと思うのですがいかがでしょうか?すでに高い水準でマスターされている科目は後回しにし、弱点になりそうな科目を重点的に学んだ方がよろしいかと思います」
歴史の教師が発言すると、周囲の教師たちも同意するようにうなずいている。
「では、是非そのようにお願いします。手が空いている先生方には、選抜試験の傾向と対策をお願いすることにします」
こうすれば、誰かにだけ負担が集中してしまうということをなるべく防げるだろう。
「そのことなのですが、私は過去に王妃の選抜試験が行われたという例を聞いたことがありません。どういった問題が出るか、あらかじめ募集要項などに例題などが記載されていますでしょうか?」
カスタリア語の教師が発言すると、皆が「確かに」とうなずいた。
口をそろえて選抜試験など聞いたことが無いという。
「そうなんですね。募集要項には例題なんてありませんでした。そうしたら、先生方が王として選ぶなら王妃にはどんな資質が必要か、どんなことを知っておいてほしいか、そういった点を基準に問題を作っていただければいいのかもしれません。先生方に任せします」
私は先生方にすべて任せることにした。
翌日、授業計画書が先生方から提出された。
目を通してみると、語学と音楽の時間が特に増やされていて、次にダンスとマナーの時間が増やされていた。
語学と音楽は自分でも苦手な自覚があるけれど、ダンスとマナーは私としては得意科目だと思っていた。
少し意外な時間配分だ。
さっそくマナーの授業が始まったので、私はマナーの先生に時間が増やされたことについて尋ねてみた。
「エレノア様はお母さまを見て育ち、またお母さまからある程度の教育を受けていたようで、ほぼ完ぺきな立ち居振る舞いを身につけていらっしゃると思います。でも気を抜くと少し足が開きぎみになるようです。以前は指摘しませんでしたが、完璧に仕上げるためには必要不可欠と思い、時間をいただきました。おそらく身についた武術のたしなみが、立ち居振る舞いにも影響を与えているのでしょう。武術の稽古の時の体の使い方を令嬢として振る舞う場合にはいったんすべて忘れていただく必要があります。そのためには時間が必要だと考えました。もちろん、早めに切り替えができるようになれば、語学や音楽の時間に回していただいて構いません」
説明を受けると、自分でも心当たりがあった。
戦闘訓練においては、常に相手に対して身構えなければならず、綺麗に足をそろえておくということはない。
ダンスの先生にも、ほぼ同じような指摘をされた。
身体を動かすことが好きな私は、公爵家に引き取られるまでろくにダンス踊ったことが無かったけれど、習い始めてからは筋がいいと褒められていた。
けれど、やはり節々に少しおかしな部分があるそうだ。
それは私が自然と身につけてしまっているものが表れているので、矯正に時間がかかるかもしれないと考え、時間を多めにとっていると教えてもらった。
ダンスとマナーについては、動きから私が自然としてしまっているおかしな動きを修正していく作業が開始された。
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