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裸の付き合い
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ルーシーは今、広い露天風呂の淵に腰かけ、足をお湯につけている。
この別荘には露天風呂が2つある。
つるんとした岩が並ぶこちらのお風呂が女性用で、男性用のお風呂にはごつごつした岩が並べられているらしい。
女性用の入り口には赤い布が下がっていて、男性用の入り口には青い布が下がっているとも教えてもらった。
ルーシーはここで、フランツが来るのを待っている。
女性用の露天風呂を使うのはキャロルとルーシーだけなので、キャロルがここにフランツを呼んできてくれるそうだ。
(…よく考えたら、温泉に呼び出す必要は全くなかったわ)
フランツを待っている間に、ルーシーは気づいた。
そもそもここへ来るまでの間、フランツは旅に同行してきたのだから、その間に呼び出して話してもよかったはずだ。
道中、夜はいつものような感じになってしまい話す時間がなかったけれど、昼ならば、普通の話し合いができたはずだ。
それに今だって、温泉ではなく部屋に呼び出してもよかったわけで。
(私って馬鹿よね…。わざわざ温泉に行く必要がないことに、今まで全く気づかなかったわ。それに私は裸だし。全然落ち着けないわ。そもそも本当にクールガー隊長は来るのかしら?もしかして裸で来るの?)
陽が傾き始めているとはいえ、まだまだ明るい。
裸で人が来るのを待つなど恥ずかしくて仕方ない。
ルーシーは体にタオルを巻こうとしたのだけれど、キャロルにマナー違反だと言われて剥ぎ取られた。
『裸の付き合いと言うでしょう?心も身体も裸で話せば気持ちも通じ合うわ』
キャロルから言われた言葉だけれど、ルーシーは“裸の付き合い”なんて初めて聞いた。
(まぁ、温泉に着いたら話すぞ!と決めていたのだから、計画通り腹をくくって話しましょう)
ルーシーは決意した。
(ええと、まずは嘘をついていたことを謝って、謝罪を受け入れてくれたら告白をして、そして告白を受け入れてくれたら結婚のことを相談して…)
どうやって話を進めようかと考えていると、「姫」と背後から呼びかけられた。
反射的にルーシーは振り返る。
振り返ると、裸のフランツがこちらに歩いてきていた。
驚いて、とっさにルーシーは目をつむり、顔をそむけてしまった。
しかし一瞬の間に自分がもったいない行動をとったことに気づいた。
自分が裸であることはひとまず忘れ、ルーシーはすまし顔を作ると高貴な姫モードで立ち上がった。
ルーシーが右手を差し伸べると、フランツがその手を取る。
「露天風呂に入りましょう」
ルーシーはフランツに支えられながら湯船の中に入っていく。
ルーシーが無事にお風呂に浸かったのを確認すると、フランツも入ってきた。
(やっぱり温泉にして正解だったわ。まさか服の下にこれほどのものが隠されていたとは…。さすが騎士。彫刻のような身体ね。これは美術品と同じようなものだから、鑑賞しても変に思われないわよね。むしろ鑑賞しなかったら審美眼がないと思われてしまうはず)
ルーシーはお湯につかりながら、存分にフランツの身体を鑑賞した。
この別荘には露天風呂が2つある。
つるんとした岩が並ぶこちらのお風呂が女性用で、男性用のお風呂にはごつごつした岩が並べられているらしい。
女性用の入り口には赤い布が下がっていて、男性用の入り口には青い布が下がっているとも教えてもらった。
ルーシーはここで、フランツが来るのを待っている。
女性用の露天風呂を使うのはキャロルとルーシーだけなので、キャロルがここにフランツを呼んできてくれるそうだ。
(…よく考えたら、温泉に呼び出す必要は全くなかったわ)
フランツを待っている間に、ルーシーは気づいた。
そもそもここへ来るまでの間、フランツは旅に同行してきたのだから、その間に呼び出して話してもよかったはずだ。
道中、夜はいつものような感じになってしまい話す時間がなかったけれど、昼ならば、普通の話し合いができたはずだ。
それに今だって、温泉ではなく部屋に呼び出してもよかったわけで。
(私って馬鹿よね…。わざわざ温泉に行く必要がないことに、今まで全く気づかなかったわ。それに私は裸だし。全然落ち着けないわ。そもそも本当にクールガー隊長は来るのかしら?もしかして裸で来るの?)
陽が傾き始めているとはいえ、まだまだ明るい。
裸で人が来るのを待つなど恥ずかしくて仕方ない。
ルーシーは体にタオルを巻こうとしたのだけれど、キャロルにマナー違反だと言われて剥ぎ取られた。
『裸の付き合いと言うでしょう?心も身体も裸で話せば気持ちも通じ合うわ』
キャロルから言われた言葉だけれど、ルーシーは“裸の付き合い”なんて初めて聞いた。
(まぁ、温泉に着いたら話すぞ!と決めていたのだから、計画通り腹をくくって話しましょう)
ルーシーは決意した。
(ええと、まずは嘘をついていたことを謝って、謝罪を受け入れてくれたら告白をして、そして告白を受け入れてくれたら結婚のことを相談して…)
どうやって話を進めようかと考えていると、「姫」と背後から呼びかけられた。
反射的にルーシーは振り返る。
振り返ると、裸のフランツがこちらに歩いてきていた。
驚いて、とっさにルーシーは目をつむり、顔をそむけてしまった。
しかし一瞬の間に自分がもったいない行動をとったことに気づいた。
自分が裸であることはひとまず忘れ、ルーシーはすまし顔を作ると高貴な姫モードで立ち上がった。
ルーシーが右手を差し伸べると、フランツがその手を取る。
「露天風呂に入りましょう」
ルーシーはフランツに支えられながら湯船の中に入っていく。
ルーシーが無事にお風呂に浸かったのを確認すると、フランツも入ってきた。
(やっぱり温泉にして正解だったわ。まさか服の下にこれほどのものが隠されていたとは…。さすが騎士。彫刻のような身体ね。これは美術品と同じようなものだから、鑑賞しても変に思われないわよね。むしろ鑑賞しなかったら審美眼がないと思われてしまうはず)
ルーシーはお湯につかりながら、存分にフランツの身体を鑑賞した。
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