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励まし
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「ねぇキャロル、私、もう嘘をつき続ける罪悪感に耐えられそうにない。でも嘘をつくのをやめたらクールガー隊長と会う口実が無くなってしまう。それに、逆らえない隊長に旅の間無理強いしていたことを、嘘をついてまで1年以上続けさせていたなんて知られたら、本当に軽蔑されると思うわ。旅の時は、嫌ってないし、自分の意思で私に触れたんだって言ってくれたの。でも、その時だって王女の私に対して正直に“嫌いだ、軽蔑してる”とは言えなかったはずよ。それなのに不本意な行為を1年以上続けさせられていたなんて知ったら、どう思われるか…。私、隊長とずっと会い続けたい。それに嫌われたくない。でももう嘘をつきたくない」
ルーシーはずっと悩んでいたことを、キャロルに話した。
嘘をつきたくないけれど、嘘をつかなければフランツとは会えない。
嘘だったと告白すれば、フランツに嫌われる。
八方塞がりだ。
「ルーシー、私は悩む必要は全くないと思うわ」
頭を抱えていたキャロルは、顔を上げると言った。
「悩む必要はない?」
「そうよ。私には、クールガー隊長もあなたのことをお好きなように思えるの。私はずっとあなたたちが相思相愛だと思っていた。だけど、あなたがそうではないと否定した今、改めてクールガー隊長のことを思い返してみて、やっぱり隊長はルーシーのことがお好きだと思うわ」
腕を組み、考えながらキャロルは話している。
「ほ、本当?」
「えぇ。隊長があなたを見る目はとてもお優しいわ。でもくじ引き相手とダンスを踊っているときの彼は、とっても冷たい目をしているのよ。私はデビュー1年目、全隊長と踊ろうと頑張っていたけれど、クールガー隊長の目が怖くて、1番隊のくじだけは引かないようにしてたんだから。でもあなたといる時の隊長はまるで別人のように優しい目をしている。微笑んでいるんじゃないかと思う時もあるわ。だから、嘘をついていたなら嘘をついていたのだと正直に告白して、ついでに愛の告白もさっさとしちゃいなさい」
分かったわね、と言ってキャロルはルーシーの背中をバシッと叩いた。
「と、とても無理よ」
弱気になっているルーシーは、か細い声で言う。
「絶対大丈夫よ。だいたい、1年以上も裸のルーシーを前にして手出しをしなかったのだから、隊長はとても辛抱強くて、自制心を働かせることのできる方だと思うの。手出しをしなかった理由は、あなたを大切に思っているからに違いないわ。だから、嘘をついていたことを謝れば許してくれるだろうし、愛の告白をすれば受け入れてくれると思う」
「本当にそう思う?」
確かにフランツは優しい。
少しだけルーシーの中に希望が生まれた。
「絶対大丈夫よ。それに早くしないと、別の結婚話を陛下が持ってくるかもしれないのよ?あなただってもう17歳なのだし。その前にさっさと相思相愛になって、陛下に結婚を認めてもらいなさい」
確かにそうだ。
今まで結婚の話を両親からされたことはないけれど、王女なのだから世界情勢や政治の変化で、明日政略結婚を命じられたとしてもおかしくない。
ぐずぐずしている暇はないのだ。
キャロルに励まされ、焚き付けられて、ルーシーはフランツに本当のことを話そうと決意した。
その日、ルーシーは話そうとしていたのだけれど、いつものように寝てしまって話せずに終わった。
その次の時も失敗した。
(終わった後に話そうとしていたから、寝てしまって失敗したんだわ。始まる前に話せばいいはず)
考えたルーシーは3度目、始まる前に話そうとした。
しかし、キャロルを正面扉から帰し、寝室に入ってきたフランツが、すぐにルーシーの口をふさいだため、計画が狂った。
結局ルーシーはそのまま気持ちよくされてしまい、寝てしまった。
もちろんキャロルにドレスを着せてもらった後、帰る前にフランツと話す機会がある。
けれどフランツは書類仕事をしていることが多く、キャロルもいて、なんとなく話すことができない。
きっとルーシーの中に、まだ嘘をついていたことを告白することを恐れる自分がいて、どうにも怖気づいてしまうのだ。
ルーシーはずっと悩んでいたことを、キャロルに話した。
嘘をつきたくないけれど、嘘をつかなければフランツとは会えない。
嘘だったと告白すれば、フランツに嫌われる。
八方塞がりだ。
「ルーシー、私は悩む必要は全くないと思うわ」
頭を抱えていたキャロルは、顔を上げると言った。
「悩む必要はない?」
「そうよ。私には、クールガー隊長もあなたのことをお好きなように思えるの。私はずっとあなたたちが相思相愛だと思っていた。だけど、あなたがそうではないと否定した今、改めてクールガー隊長のことを思い返してみて、やっぱり隊長はルーシーのことがお好きだと思うわ」
腕を組み、考えながらキャロルは話している。
「ほ、本当?」
「えぇ。隊長があなたを見る目はとてもお優しいわ。でもくじ引き相手とダンスを踊っているときの彼は、とっても冷たい目をしているのよ。私はデビュー1年目、全隊長と踊ろうと頑張っていたけれど、クールガー隊長の目が怖くて、1番隊のくじだけは引かないようにしてたんだから。でもあなたといる時の隊長はまるで別人のように優しい目をしている。微笑んでいるんじゃないかと思う時もあるわ。だから、嘘をついていたなら嘘をついていたのだと正直に告白して、ついでに愛の告白もさっさとしちゃいなさい」
分かったわね、と言ってキャロルはルーシーの背中をバシッと叩いた。
「と、とても無理よ」
弱気になっているルーシーは、か細い声で言う。
「絶対大丈夫よ。だいたい、1年以上も裸のルーシーを前にして手出しをしなかったのだから、隊長はとても辛抱強くて、自制心を働かせることのできる方だと思うの。手出しをしなかった理由は、あなたを大切に思っているからに違いないわ。だから、嘘をついていたことを謝れば許してくれるだろうし、愛の告白をすれば受け入れてくれると思う」
「本当にそう思う?」
確かにフランツは優しい。
少しだけルーシーの中に希望が生まれた。
「絶対大丈夫よ。それに早くしないと、別の結婚話を陛下が持ってくるかもしれないのよ?あなただってもう17歳なのだし。その前にさっさと相思相愛になって、陛下に結婚を認めてもらいなさい」
確かにそうだ。
今まで結婚の話を両親からされたことはないけれど、王女なのだから世界情勢や政治の変化で、明日政略結婚を命じられたとしてもおかしくない。
ぐずぐずしている暇はないのだ。
キャロルに励まされ、焚き付けられて、ルーシーはフランツに本当のことを話そうと決意した。
その日、ルーシーは話そうとしていたのだけれど、いつものように寝てしまって話せずに終わった。
その次の時も失敗した。
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しかし、キャロルを正面扉から帰し、寝室に入ってきたフランツが、すぐにルーシーの口をふさいだため、計画が狂った。
結局ルーシーはそのまま気持ちよくされてしまい、寝てしまった。
もちろんキャロルにドレスを着せてもらった後、帰る前にフランツと話す機会がある。
けれどフランツは書類仕事をしていることが多く、キャロルもいて、なんとなく話すことができない。
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