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 こんなことは初めてだった。

 最近は私の体も亮君に馴染んでいたからすぐに亮君を受け入れることができたし、亮君も私の中に入るのが好きだったはずなのに。

 私の中に再び疑惑が浮かびだした。


 気持ちよさで流れていた生理的な涙が呼び水になったのか私は泣き出してしまっていた。

「どうしたの?」
 私の異変に気づいた亮君が慌てた様子で私を抱きしめてくれた。

「もしかして、亮君も本当はあの部屋での行為に加わったりしてた?黒髪の子は亮君の彼女なの?もう私とはしたくない?だから挿れてくれないの?」

 言いながら自分でもそんなことあり得ないと思いつつも、今初めて浮かんだ言葉を浮かんだまま言葉にして亮君にぶつけていた。

 言っている自分も、自分が何を言っているのか、そんなことを思っていたのかと驚き、言いながら後悔して言葉を取り消したくなる不思議な感覚だった。

 泣きながらだったので声も震えていて伝わったかわからない。

「そんなわけない。俺がこんなに好きなのに、それを伝えていたはずなのに、浮気なんてするわけないのに疑われて少し意地悪したくなっただけ。いじめすぎちゃったみたいだね。ごめん。それに久しぶりだからすぐに中に挿れたら朝まで離せなくなりそうだったから」

「亮君の好きなだけ何度でもいっぱいして」

 私は亮君にキスをし、亮君のものを握って私の秘処にあてがった。

「そんなことされたらもう止まらないから」
 亮君はそう言うと、私の腰を掴み一気に奥まで入ってきた。

「千織ちゃん、大好き。愛してる。千織ちゃんの中、俺の形を覚えて締め付けてきて最高」

「亮君、大好き。気持ちいいよぉ。亮君好きぃ」

 ずっと求めていた質量がゴリゴリと私の中を進み襞が伸ばされる感覚に私はうわ言のように亮君好きと繰り返しながら軽く達してしまった。

 そのままガツガツと私が感じてしまう一番奥をひたすらノックされると、私は腰を揺らして亮君にしがみついた。
 
 亮君の髪が私の体に軽く触れるのにも感じて、あまりの気持ちよさに私がイってしまうと、亮君も私の名前を呼びながら何度か腰を打ち付けて私の中に吐き出した。



「おはようございま~す」

 今日は朝から職員室への生徒の出入りが激しい。

 教職員の間ではバレンタインに贈り物をするのは廃止になってかなり経つらしいけれど、生徒にそんなことは関係ない。

 たくさんの女生徒が職員室に出入りし、チョコレートを置いて行く。

「先生、おはようございます。これ、部員全員からのチョコです」
 茶道部部長がチョコレートを持ってきてくれた。

「先生風邪ですか?」
「そうなの。インフルエンザではないからよかったんだけど」

 私はマスクをしている。
 本当に亮君に朝まで付き合わされてしまい、声が枯れてしまっているのをカモフラージュするためだ。

「バレンタインデーなのに可哀想。目も赤くなってとろんとしてるし。お大事にしてください」
「ありがとう。ホワイトデーには美味しいお菓子を部活に持って行くからね」
「楽しみにしてまぁす」

 今日家に帰ったら、あの部屋のことを話し合うことになっている。

 亮君は大学生活とのバランスのとり方が分かってきたから、あの部屋は必要ないと言っていた。

 おそらくうちとしては解約することになると思う。

 宇津木君は気に入ってるみたいなので、次は彼が借りることになるかもしれない。

 こうして亮君の浮気騒動は無事に解決した。
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