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11.王城にて

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 オルドス様の態度が軟化したことによって、私はある程度自由に行動できるようになっていた。
 私が少しだけ旅行に行きたいと言ったら、彼は快く了承してくれた。という訳で私は、王都の王城まで来ている。

「それでは、オルドス侯爵令息に森での件で折檻などは受けていないという訳ですか?」
「ええ、そうなんです」
「それなら良かった。実の所、気になっていたんです。父に談判している間に、あなたがひどい扱いを受けることに……」

 私は、ラーバスさんにオルドス様が変化したことを話していた。
 それを聞いて、彼は心底安心したような顔をしている。本当に私のことを心配していたのだろう。
 ちなみにそれに関しては、既に森を出る時に謝られている。その時はもう少しだけ耐えて欲しいと、頭を下げてもらったのだ。

「それにしても初恋の人、ですか。それで態度が変わるオルドス侯爵令息は、どこかおかしな人であるようですね」
「そうですね。正直な所、彼の手の平返しは受け入れがたいものです。問題の全てを自分の都合が良いように考えているのかもしれません」

 オルドス様は、元々どうしようもない程の悪人だとは思っていた。
 しかし今回の件で、さらに彼の歪さというものを思い知らされた。ラーバスさんも、私と同じ気持ちであるらしい。

「もちろん、私は彼を許すつもりはありません。それでラーバスさん、国王様への談判のことですが……」
「ええ、話はつけてあります。レフェシス王はあれでも紳士的な言動を心掛けている人ですからね。女性を傷つける男には容赦しないでしょう」

 ラーバスさんは、父親のことに関して少し回りくどい言い方をした。
 色々と事情があるため、素直に紳士的な人だとは言えないということだろう。
 そんな人に風に思っている人にわざわざお願いしてくれたことには、感謝しなければならない。ラーバスさんは、本当に良い人だ。

「ラーバスさん、今回は本当にありがとうございます。お陰で本当に助かりました。あなたに出会えなかったら、そもそも私はあの森で死んでいたかもしれませんし……」
「あなたを見つけられたことは、本当に幸運でした。見つけられて良かったと心から思っています。そしてこれからも、俺はあなたを助けるつもりです。オルドス侯爵令息の行いは許せない」
「とても心強いです、ラーバスさん」

 ラーバスさんと出会えたことは、私にとって人生で最良の出会いだったといえるだろう。
 彼との出会いで、私の運命は変わったのかもしれない。少しロマンチストであるような気もしてしまうが、私はそう思うのだった。
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