小姑とかした妹が原因で離婚しましたが、嫌味でモラハラ気質な夫だったので特に問題ありません。

４．父の判断

　ヴェルトン様との離婚が正式に決まったのは、彼がファルドラ伯爵家から去ってから程なくしてのことだった。
　結果として、私はバツイチということになってしまった。それは貴族としては中々に辛いものではあるが、まあなんとかなるだろう。

「イルファリア、少しいいだろうか？」
「お父様、どうかされましたか？」
「ああ、お前に伝えておきたいことがあるのだ」

　そんな折、お父様が私に声をかけてきた。
　その表情は険しい。これは恐らく、私にとって嫌なことを言われるということだろう。

「はっきりと言っておかなければならないことだから、はっきりと言わせてもらおう。お前の状況はあまり良くない」
「……離婚したから、ということでしょうか？」
「ああ、それが貴族にとって重たいことであることは理解しているだろう」
「ええ、それはもちろんです」

　お父様の指摘に、私はゆっくりと頷く。
　離婚というのが貴族の体裁的に良くないことは、私もわかっていたことではある。しかしそれを差し引いても、ヴェルトン様との結婚生活を続ける方が、苦しいと思ったのだ。
　故に、相手から離婚を持ち掛けたという構図を作り、最低限のダメージで離婚したつもりだった。ただ、それでもお父様からすると見過ごせないことであるようだ。

「ファルドラ伯爵家には男子がいない。故に必然的に婿を取る必要がある。お前が男子を産んでいたりしたら変わったかもしれないが、現状のファルドラ伯爵家はエレシアに婿を取り、その婿に伯爵家を継いでもらうことを選択するつもりだ」
「……そうなりますか」
「お前には申し訳ないとは思っているが……」
「いえ、そのようなことはありませんよ」

　ファルドラ伯爵家がそういう選択をするということは、予想できることだった。
　そうなっても仕方ないとは思っていたのだが、やはり実際に言われるとショックが大きい。
　何より、あのエレシアにファルドラ伯爵家を良いようにされるのは気に入らなかった。しかしそれも、受け入れるしかないだろう。

「わかりました。そういうことなら、一つお願いしたいことがあるのですが……」
「む、なんだ？　できる限りのことは、叶えてやりたい所だが……」
「いえ、簡単なことですから、多分大丈夫だと思います」
「ほう？」

　そういうことになるというなら、私にも考えがある。
　その考えを実行するために、すぐにでも行動を始めなければならない。
　手始めに私は、お父様にとあるお願いをすることにした。今彼は、多少なりとも私に対して罪悪感を覚えている。本人も言っているが、大抵のことは叶えてくれるだろう。