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2.聖女の役目
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エルドー王国の聖女。それが、私ミレイナの肩書きである。
この国の偉大なる魔法力の象徴である聖女として、私は日々働いているのだ。
「聖女様!」
「聖女様だ!」
「おお、なんと神々しい……」
「偉大なる魔力だ……」
私は、ゆっくりと国民の前に姿を現した。
これも、聖女の業務の一つだ。
この国の魔法力が確かなものであることを国民達に誇示する。私には、そんな役割があるのだ。
「聖女様、それではよろしくお願いします」
「……エルドー王国の国民達よ! これより、聖女様の偉大なる力の一端を見せよう!」
周囲の人々の呼びかけに、私はゆっくりと杖を振りかざした。
そして、そのまま魔力を集中させて、一気に解き放つ。
「おお、これは……」
「なんということだ……」
私の体から放たれた魔力は、一直線に天へと向かって行く。
その魔力は真っ青な空に漂い、やがて灰色の雲を発生させる。
「これこそが、聖女の奇跡……恵みの雨を、受け取るがいい!」
そして、天からはゆっくりと水滴が降り注いだ。
私は、雨を降らせたのである。
「なんということだ……聖女様は、天を操ることができるというのか!」
「エルドー王国は、安泰だ! 偉大なる聖女様が、私達を守ってくださる!」
「聖女様!」
「聖女様!」
私の目の前の国民達は、聖女という言葉を何度も発した。
それは、私を讃える言葉なのだろう。
偉大なる聖女ミレイナ。それは、この国の国民達の心に刻まれている。
だが、本当の所、私はそこまですごいことをしたという訳ではない。
端から見れば、まるで天気を操っているように見えるかもしれないが、私がやったのはもっと簡単なことである。
集めた魔力を雲のように見せて、そこから水の魔法を放った。
原理としては、それだけである。
大いなる自然に干渉する力を、私は持っている訳ではない。
ただ、人々が見える所を誤魔化しただけに過ぎないのだ。
「聖女様、万歳!」
「エルドー王国、万歳!」
しかし、国民達はそんなことはわかっていないだろう。
私は天候を操る。いや、それどころか、大自然の全てを操ることができるとそう思っていることだろう。
この欺瞞に溢れた聖女という存在は、人々の旗印に過ぎない。
まるで万物を操れるように見せることで、国民の士気を上げるための詐欺師に過ぎないのである。
その役目に、私はずっと疑問を抱いていた。
本当にこのままでいいのか。そんな疑問が、頭の中を離れなかったのだ。
それはきっと、私の生まれが関係しているのだろう。
実の所、私はこのエルドー王国で生まれ育った訳ではないのだ。
この国の偉大なる魔法力の象徴である聖女として、私は日々働いているのだ。
「聖女様!」
「聖女様だ!」
「おお、なんと神々しい……」
「偉大なる魔力だ……」
私は、ゆっくりと国民の前に姿を現した。
これも、聖女の業務の一つだ。
この国の魔法力が確かなものであることを国民達に誇示する。私には、そんな役割があるのだ。
「聖女様、それではよろしくお願いします」
「……エルドー王国の国民達よ! これより、聖女様の偉大なる力の一端を見せよう!」
周囲の人々の呼びかけに、私はゆっくりと杖を振りかざした。
そして、そのまま魔力を集中させて、一気に解き放つ。
「おお、これは……」
「なんということだ……」
私の体から放たれた魔力は、一直線に天へと向かって行く。
その魔力は真っ青な空に漂い、やがて灰色の雲を発生させる。
「これこそが、聖女の奇跡……恵みの雨を、受け取るがいい!」
そして、天からはゆっくりと水滴が降り注いだ。
私は、雨を降らせたのである。
「なんということだ……聖女様は、天を操ることができるというのか!」
「エルドー王国は、安泰だ! 偉大なる聖女様が、私達を守ってくださる!」
「聖女様!」
「聖女様!」
私の目の前の国民達は、聖女という言葉を何度も発した。
それは、私を讃える言葉なのだろう。
偉大なる聖女ミレイナ。それは、この国の国民達の心に刻まれている。
だが、本当の所、私はそこまですごいことをしたという訳ではない。
端から見れば、まるで天気を操っているように見えるかもしれないが、私がやったのはもっと簡単なことである。
集めた魔力を雲のように見せて、そこから水の魔法を放った。
原理としては、それだけである。
大いなる自然に干渉する力を、私は持っている訳ではない。
ただ、人々が見える所を誤魔化しただけに過ぎないのだ。
「聖女様、万歳!」
「エルドー王国、万歳!」
しかし、国民達はそんなことはわかっていないだろう。
私は天候を操る。いや、それどころか、大自然の全てを操ることができるとそう思っていることだろう。
この欺瞞に溢れた聖女という存在は、人々の旗印に過ぎない。
まるで万物を操れるように見せることで、国民の士気を上げるための詐欺師に過ぎないのである。
その役目に、私はずっと疑問を抱いていた。
本当にこのままでいいのか。そんな疑問が、頭の中を離れなかったのだ。
それはきっと、私の生まれが関係しているのだろう。
実の所、私はこのエルドー王国で生まれ育った訳ではないのだ。
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