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 私は、イルファー様の元に来ていた。
 今日の目的は、レルミアから謝られたことを伝えることだ。
 彼女が更生できたのは、ルヴィドのおかげである。その弟が帰って来てくれたのは、イルファー様のおかげだ。
 だから、彼女が更生できたのは彼のおかげといえるだろう。そのことについて、改めてお礼を言いたかったのだ。

「イルファー様のおかげで、レルミアは立ち直りました。これで、あの子もきちんとした貴族になってくれると思います。本当にありがとうございました」
「そうか……」

 イルファー様は、私の言葉に少しだけ笑みを浮かべてくれた。
 レルミアの更生に、彼も喜んでくれているようだ。
 よく考えてみれば、イルファー様は妹が歪んでしまった原因を見抜いていた。そんな彼だから、色々と思う所があるのかもしれない。

「……ふむ、これでフォルフィス家も安泰という訳か」
「そうですね……そうなります」
「これで、お前と私の婚約に関する問題もなくなった。婚約者の家が、不安定なら私も困るからな……」
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした……」

 イルファー様の言葉に、私はとても苦しい気持ちになっていた。
 確かに、私達フォルフィス家の人々は彼にとって悩みの種だっただろう。そのことに関しては、本当に申し訳ない。

「ふっ……冗談だ。別に、そのことで困ることはない」
「え?」

 そこで、イルファー様は驚くべきことを言ってきた。
 まさか、彼が冗談を言うとは思っていなかった。少し笑っているが、その表情も見たことがないものである。

「どうした? この私が冗談など言うはずがないとでも思っているのか?」
「え、ええ、言い辛いのですが、その通りです」
「そうか、そう思っていたか……」

 イルファー様の笑みに、私は混乱していた。
 この人が、このように笑うなど予想外である。あまり冷静な思考ができない。私は今、とても動揺している。
 だが、考えてみれば、彼も最近色々と憑き物が落ちたのだ。こういう柔らかい笑みを浮かべても、おかしくはないのかもしれない。

「さて、それでは、これからもよろしく頼むぞ。私の誇り高き婚約者よ」
「……ええ、わかりました」

 私に対して、イルファー様はそのように言ってくれた。
 その言葉に、対して私は力強く頷いた。彼となら、きっといい未来を築き上げていけるだろう。
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みんなの感想(26件)

比企谷いろは

投げっぱなしというか、打ちきりが決まって急いでまとめました感が凄い

木山楽斗
2021.10.02 木山楽斗

感想ありがとうございます。
そう思われたなら、申し訳ありません。

解除
fujisawahasimoto

なかなか人物の心理突っ込んでますね。楽しく読んでますが、変換ミスかな
28話の終わりの方で「閑雅」って出てきた辞書で調べちゃったけど意味がつながらない。「考えもしなかった。」ではないでしょか?

木山楽斗
2021.04.16 木山楽斗

ご指摘ありがとうございます。
修正させていただきます。

解除
サンルビィ
2021.03.28 サンルビィ

いくら思うところがあるとはいえ、初対面なのにひとりで会いにいかせるなんて非常識じゃないのかな?ともやもやしています。。

木山楽斗
2021.03.28 木山楽斗

感想ありがとうございます。
確かに、そうかもしれません。

解除

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