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 私の国外追放は、予想通り刑が確定してからすぐに実行された。
 私は、国の外に放り出されてしまったのである。
 本来であれば、それは絶体絶命の危機だ。多くの魔物達が闊歩する国の外に一人取り残されてしまえば、残酷な結末が待っているだろう。

「……」

 しかし、私には希望があった。それは、ポールス先生からもらった情報だ。
 この情報が真実であれば、私は絶対に助かることができる。
 それを実行しない理由はない。元々、助かる道は細いのだ。縋れるものには、縋った方が絶対にいい。

「……これは」

 私は、ポールス先生から教えてもらった記号を使って通信魔法を使ってみた。
 通信魔法は、個別の記号を交えて使うことができる。こうすることによって、記号を知っている者とのみ通信をする判断が行えるのだ。
 その通信魔法が、今繋がった。どうやら、この記号は本当に使われているものではあるようだ。

『……聞こえていますか?』
『ええ、聞こえています。あなたの名前を教えていただけますか?』

 私は、通信魔法によって何者かと通信した。
 あちらは、私のことを少し警戒しているようだ。それは当然だろう。誰かが記号を悪用していた可能性も、もちろんあるからだ。

『フラウメ・ウォーティストです』
『それでは、この記号はどなたから教えてもらいましたか?』
『ロイガー・ポールス先生から教えてもらいました』
『なるほど、間違いないようですね』

 質問が終わって、通信者はほっとしたような声色に変わった。今のやり取りで、私が目的の人物であると理解できたからだろう。
 もちろん、私も安心している。とりあえず、第一関門は通ることができたからだ。
 ただ、完全に安心できるという訳ではない。まだ、相手を完全に信用できる程、情報を得ていない以上、油断するべきではないだろう。

『自分は、クルスト・ラクエムスと申します。バルメルト王国の第三王子であるセルクス殿下の命令で、あなたを迎えに来ました』
『セルクス殿下……本当に、バルメルト王国の第三王子が私を助けてくれるのですか?』
『ええ、もちろんです』

 私を助けようとしてくれている人のことは、ポールス先生からもらった情報の中に記されていた。
 しかし、未だに半信半疑だ。隣国の第三王子が、私を助けてくれる。本当にそんなことがあるのだろうか。

『さて、とりあえずあなたはそこでじっとしていてください。こちらから迎えに行きいますから』
『私の居場所がわかるんですか?』
『ええ、通信魔法と合わせて、探知魔法もかけていますから。この通信は、しばらく切らないでください。探知魔法にも誤差がありますので」
『はい、わかりました』

 とりあえず、私はここを動くべきではないだろう。
 クルストさんと恐らく彼の仲間が迎えに来てくれるのだから、無闇に動けば混乱させてしまうだけだ。
 彼らがバルメルト王国を語る悪人であるという可能性もない訳ではない。だが、概ね信じていいはずだ。この状況に私はそのような感想を抱くのだった。
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