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41.消えた同胞達
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『そうですね……まず前提として話しておきたいのですが、私達にはまだ他に兄弟がいるのです』
「そうなんですか?」
『魔族の王の子は、六体作られました。私とラフードの他に、後四人兄弟がいるのです。ただ、兄弟の考えは同じではありませんでした。私やラフードのように人間との争いを好まない者もいれば、魔族側の戦力として戦っていた者もいたのです』
「個々の考えが、あったということですね……」
クーリアさんの説明で、私は少しだけ理解した。
二人は、自分達のことを同胞と呼んでいる。それは恐らく、人間と戦わないことを選んだ兄弟であるということを意味しているのだろう。
兄弟であり、仲間。敵となってしまった兄弟と区別するために、同胞という表現をしているのだろう。
『私とラフードは、魔族の陣営を抜け出して、人間の陣営につくことを決めました。魔族の世界、魔界から逃げようとしていたのです』
「それって……」
『お嬢ちゃんは、結果を知っているよな。逃げられたのは、俺だけだったんだ。途中で、クーリアは捕まったんだ』
『本来なら処刑されるはずでしたが、兄弟の一人の懇願で牢に入れられるだけで済みました。それから、私は戦いが終わるまで捕まっていたのです』
逃げ遅れたクーリアさんは、その後に精霊になってしまった。そのように思ったが、どうやらそういう訳ではないらしい。
ということは、クーリアさんが精霊になったのは、二つの種族の争いが終息してからということになるだろう。その期間に何があったか、それは私も知っている。
『解放されたクーリアと俺、そしてもう一人人間に友好的な兄弟がいたんだが、戦いが終わった後、俺達は魔界で合流したんだ。だが、その後に問題が起こった』
『魔族側についた兄弟の内、戦いに生き残った一人が、私達を襲撃してきたのです』
「それは……」
『結果的に、私ともう一人はその兄弟に肉体を破壊されました。この姿になってしまったのです』
『まあ、俺はそうなるなんて知らなかったから、二人は死んだと思っていたんだがな……』
『ええ、私もこんなことになるなんて思っていませんでした』
ラフードは、戦いが終わった後に同胞を失ってしまったようだ。精霊として生き残っていた訳だが、それを知らない彼からすれば、その結果は絶望的なものだっただろう。
もしかしたら、そのことも彼がフレイグ様と戦うことにしたのに関係しているのかもしれない。
同胞を失った悲しみと使命感が、彼にその方法を選ばせてしまったのではないだろうか。
「そうなんですか?」
『魔族の王の子は、六体作られました。私とラフードの他に、後四人兄弟がいるのです。ただ、兄弟の考えは同じではありませんでした。私やラフードのように人間との争いを好まない者もいれば、魔族側の戦力として戦っていた者もいたのです』
「個々の考えが、あったということですね……」
クーリアさんの説明で、私は少しだけ理解した。
二人は、自分達のことを同胞と呼んでいる。それは恐らく、人間と戦わないことを選んだ兄弟であるということを意味しているのだろう。
兄弟であり、仲間。敵となってしまった兄弟と区別するために、同胞という表現をしているのだろう。
『私とラフードは、魔族の陣営を抜け出して、人間の陣営につくことを決めました。魔族の世界、魔界から逃げようとしていたのです』
「それって……」
『お嬢ちゃんは、結果を知っているよな。逃げられたのは、俺だけだったんだ。途中で、クーリアは捕まったんだ』
『本来なら処刑されるはずでしたが、兄弟の一人の懇願で牢に入れられるだけで済みました。それから、私は戦いが終わるまで捕まっていたのです』
逃げ遅れたクーリアさんは、その後に精霊になってしまった。そのように思ったが、どうやらそういう訳ではないらしい。
ということは、クーリアさんが精霊になったのは、二つの種族の争いが終息してからということになるだろう。その期間に何があったか、それは私も知っている。
『解放されたクーリアと俺、そしてもう一人人間に友好的な兄弟がいたんだが、戦いが終わった後、俺達は魔界で合流したんだ。だが、その後に問題が起こった』
『魔族側についた兄弟の内、戦いに生き残った一人が、私達を襲撃してきたのです』
「それは……」
『結果的に、私ともう一人はその兄弟に肉体を破壊されました。この姿になってしまったのです』
『まあ、俺はそうなるなんて知らなかったから、二人は死んだと思っていたんだがな……』
『ええ、私もこんなことになるなんて思っていませんでした』
ラフードは、戦いが終わった後に同胞を失ってしまったようだ。精霊として生き残っていた訳だが、それを知らない彼からすれば、その結果は絶望的なものだっただろう。
もしかしたら、そのことも彼がフレイグ様と戦うことにしたのに関係しているのかもしれない。
同胞を失った悲しみと使命感が、彼にその方法を選ばせてしまったのではないだろうか。
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