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3.噂との齟齬
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フレイグ様は、私を最寄りの村まで運んでくれた。
その村の宿屋の一室を借りて、私はベッドに寝転がっている。
少し休んだおかげか、もう腰も大丈夫そうだ。彼には、また感謝しなければならないだろう。
「ああ、よろしく頼む」
そんな彼は、魔法によって通信をしていた。恐らく、部下にあの場の後始末を頼んでいるのだろう。
その会話が終わって、彼はこちらを向いた。そして、そのままゆっくりと近づいてくる。
「今兵に指示を出しておいた。お前の荷物も後で届くだろう」
「あ、はい。色々とありがとうございます」
「気にするな」
フレイグ様は、それだけ言って黙ってしまった。今までの会話だけでもなんとなくわかっている。彼は、そこまで饒舌なタイプではないのだ。
一方、私もそこまで積極的に話をするタイプではない。そのため、こういう時にどう切り出せばいいのかわからないのである。
ただ、私はそこであることを思い出した。そういえば、彼に伝えておかなければならない事実があったのである。
「フレイグ様、少し聞いていただけませんか?」
「……なんだ?」
「あの野盗達のことです。彼ら、実は変なことを話していたんです」
私は、フレイグ様に野盗達が話していたことを伝えた。その話を聞いて、彼は少し表情を変える。流石に、信じがたいことだったからだろう。
「……知っているかもしれませんが、私には継母がいるんです。その人とその娘達は、私のことを疎んでいました。野盗と手を組んで、私を殺そうとしても、おかしくはないくらいに……」
「そうか」
私の実家での境遇を話しても、フレイグ様の表情はそこまで変わらなかった。先程の話から、これは予想できていたからだろうか。
だが、これで今回の事件で彼が謝る必要がないということはわかってもらえただろう。全ては、あの継母のせいなのだ。
「そのことについては、こちらで調べておこう。あの野盗達について調べれば、自ずと真実はわかるはずだ」
「そうですね……」
フレイグ様の言う通り、野盗を調べれば継母に行きつく可能性はあるだろう。
もちろん、侯爵家の貴族であるため隠蔽はしているはずだ。しかし、完全に隠蔽できているとも限らない。
もし何かしらの証拠が見つかれば、継母達を追い詰めることができる。流石に、今回の出来事は、頭にくるなんてレベルの話ではないので、できればそうしたい所だ。
「あれ? フレイグ様は、私に協力してくださるのですか?」
「……少なくとも、今回の事件の原因は調べるつもりだ」
「そうですか、ありがとうございます」
色々と考えている内に、私はとあることに気づいた。それは、フレイグ様が私にとても友好的であるということだ。
別に、それはおかしいことではない。私は別に何の罪もおかしていないし、それどころか彼にとっては婚約者だ。友好的になるのは、むしろ当然のことなのかもしれない。
だが、事前に聞いていた彼のイメージとそれは大きく異なっている。冷酷無慈悲な辺境伯。その看板は、一体なんだったのだろうか。
その村の宿屋の一室を借りて、私はベッドに寝転がっている。
少し休んだおかげか、もう腰も大丈夫そうだ。彼には、また感謝しなければならないだろう。
「ああ、よろしく頼む」
そんな彼は、魔法によって通信をしていた。恐らく、部下にあの場の後始末を頼んでいるのだろう。
その会話が終わって、彼はこちらを向いた。そして、そのままゆっくりと近づいてくる。
「今兵に指示を出しておいた。お前の荷物も後で届くだろう」
「あ、はい。色々とありがとうございます」
「気にするな」
フレイグ様は、それだけ言って黙ってしまった。今までの会話だけでもなんとなくわかっている。彼は、そこまで饒舌なタイプではないのだ。
一方、私もそこまで積極的に話をするタイプではない。そのため、こういう時にどう切り出せばいいのかわからないのである。
ただ、私はそこであることを思い出した。そういえば、彼に伝えておかなければならない事実があったのである。
「フレイグ様、少し聞いていただけませんか?」
「……なんだ?」
「あの野盗達のことです。彼ら、実は変なことを話していたんです」
私は、フレイグ様に野盗達が話していたことを伝えた。その話を聞いて、彼は少し表情を変える。流石に、信じがたいことだったからだろう。
「……知っているかもしれませんが、私には継母がいるんです。その人とその娘達は、私のことを疎んでいました。野盗と手を組んで、私を殺そうとしても、おかしくはないくらいに……」
「そうか」
私の実家での境遇を話しても、フレイグ様の表情はそこまで変わらなかった。先程の話から、これは予想できていたからだろうか。
だが、これで今回の事件で彼が謝る必要がないということはわかってもらえただろう。全ては、あの継母のせいなのだ。
「そのことについては、こちらで調べておこう。あの野盗達について調べれば、自ずと真実はわかるはずだ」
「そうですね……」
フレイグ様の言う通り、野盗を調べれば継母に行きつく可能性はあるだろう。
もちろん、侯爵家の貴族であるため隠蔽はしているはずだ。しかし、完全に隠蔽できているとも限らない。
もし何かしらの証拠が見つかれば、継母達を追い詰めることができる。流石に、今回の出来事は、頭にくるなんてレベルの話ではないので、できればそうしたい所だ。
「あれ? フレイグ様は、私に協力してくださるのですか?」
「……少なくとも、今回の事件の原因は調べるつもりだ」
「そうですか、ありがとうございます」
色々と考えている内に、私はとあることに気づいた。それは、フレイグ様が私にとても友好的であるということだ。
別に、それはおかしいことではない。私は別に何の罪もおかしていないし、それどころか彼にとっては婚約者だ。友好的になるのは、むしろ当然のことなのかもしれない。
だが、事前に聞いていた彼のイメージとそれは大きく異なっている。冷酷無慈悲な辺境伯。その看板は、一体なんだったのだろうか。
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