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第10話 ウルーグの見解
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私は、弟の誰かの妻になることが決まった。
色々と急なことであるため、まだ心は整理できていない。
という訳で、私は弟達の話を聞いてみることにした。彼らがどう思っているか、今後のために聞いておきたいのである。
「それで、ウルーグはどう思っているの?」
「どう思っているか、か……」
二番目に、三つ子の真ん中であるウルーグから話を聞くことにした。
彼は、最近私を避けている節がある。そんな彼は、私と婚約することをどう思っているのだろうか。
「私と婚約しても、大丈夫なの? 姉と婚約することになるのよ?」
「それは……まあ、複雑ではあるが……」
私の質問に、ウルーグは少し怯んでいた。
やはり、姉と婚約するのは気が引けるようだ。
それなら、どうしてお父様の提案を受け入れたのだろうか。断ればよかったのに。
「だが、例え俺が反対した所で、大した意味はないだろう。兄貴やエルディンは受け入れるだろうから、親父が方針を変えることもないはずだ」
「ああ、なるほど……」
ウルーグは、他の二人が受け入れたため、自分も受け入れたらしい。
実際に、イルルドとエルディンはお父様の提案を受け入れた。だから、彼の推測は間違っていない。
そう考えることもできるだろう。だが、私は少し間違っていると思っている。
お父様は、寛大な方だ。私とスルーガ様の婚約についても、私が嫌ならどうにかしようと思ってくれるような人である。
だから、ウルーグが反対したら、色々と考えてくれたはずだ。
もっとも、それは彼にはわからないことである。そのため、彼がそう結論を出したことは仕方ないことなのだ。
「でも、お父様なら色々と考えてくれると思うわよ? 今からでも、掛け合ってもいいんじゃないかしら?」
「……仮に考えてくれるとしても、今から反対だったなんて、格好がつかない。そんな子供じみたことできるかよ」
私の言葉を、ウルーグは突っぱねてきた。
こういう風に意地を張るのは彼らしい。だが、それで嫌なことを受け入れるのは良くないことである。
私は、スルーガ様との婚約で意地になっていた。それで失敗したので、ウルーグにはそうなってほしくない。
「ウルーグ、嫌なことは嫌だとはっきりした方がいいわよ。そうじゃないと、自分が苦しむことになるんだから……」
「……そんなに俺に拒否させたいのか?」
「え?」
「あんたが何を思っているのか知らないが、俺には俺の考えがあるんだ。あんたの勝手な考えを……俺に押し付けるな!」
私に対して、ウルーグは怒っていた。
どうやら、口うるさくし過ぎてしまったようだ。
「……くそっ」
「あ、ウルーグ……」
「来るんじゃない」
それだけ言って、ウルーグは去って行ってしまった。
その後ろ姿を見ていると、胸が苦しくなってくる。完全に失敗してしまった。私は、彼を傷つけてしまったのだ。
彼のことを思って色々と言ったつもりだったが、それは彼にとって鬱陶しいものだったのだろう。彼には彼の考えがある。それなのに、私は余計なことを言ってしまったのだ。
「浅はかだったわね……」
ウルーグの気持ちをわかってあげられなかった私は、とても浅はかだった。
これは、反省しなければならない。それだけでは駄目だ。彼に、謝る必要があるだろう。
そう思って、私はゆっくりと深呼吸する。まずは、心落ち着けて、それから彼に謝りに行こう。
色々と急なことであるため、まだ心は整理できていない。
という訳で、私は弟達の話を聞いてみることにした。彼らがどう思っているか、今後のために聞いておきたいのである。
「それで、ウルーグはどう思っているの?」
「どう思っているか、か……」
二番目に、三つ子の真ん中であるウルーグから話を聞くことにした。
彼は、最近私を避けている節がある。そんな彼は、私と婚約することをどう思っているのだろうか。
「私と婚約しても、大丈夫なの? 姉と婚約することになるのよ?」
「それは……まあ、複雑ではあるが……」
私の質問に、ウルーグは少し怯んでいた。
やはり、姉と婚約するのは気が引けるようだ。
それなら、どうしてお父様の提案を受け入れたのだろうか。断ればよかったのに。
「だが、例え俺が反対した所で、大した意味はないだろう。兄貴やエルディンは受け入れるだろうから、親父が方針を変えることもないはずだ」
「ああ、なるほど……」
ウルーグは、他の二人が受け入れたため、自分も受け入れたらしい。
実際に、イルルドとエルディンはお父様の提案を受け入れた。だから、彼の推測は間違っていない。
そう考えることもできるだろう。だが、私は少し間違っていると思っている。
お父様は、寛大な方だ。私とスルーガ様の婚約についても、私が嫌ならどうにかしようと思ってくれるような人である。
だから、ウルーグが反対したら、色々と考えてくれたはずだ。
もっとも、それは彼にはわからないことである。そのため、彼がそう結論を出したことは仕方ないことなのだ。
「でも、お父様なら色々と考えてくれると思うわよ? 今からでも、掛け合ってもいいんじゃないかしら?」
「……仮に考えてくれるとしても、今から反対だったなんて、格好がつかない。そんな子供じみたことできるかよ」
私の言葉を、ウルーグは突っぱねてきた。
こういう風に意地を張るのは彼らしい。だが、それで嫌なことを受け入れるのは良くないことである。
私は、スルーガ様との婚約で意地になっていた。それで失敗したので、ウルーグにはそうなってほしくない。
「ウルーグ、嫌なことは嫌だとはっきりした方がいいわよ。そうじゃないと、自分が苦しむことになるんだから……」
「……そんなに俺に拒否させたいのか?」
「え?」
「あんたが何を思っているのか知らないが、俺には俺の考えがあるんだ。あんたの勝手な考えを……俺に押し付けるな!」
私に対して、ウルーグは怒っていた。
どうやら、口うるさくし過ぎてしまったようだ。
「……くそっ」
「あ、ウルーグ……」
「来るんじゃない」
それだけ言って、ウルーグは去って行ってしまった。
その後ろ姿を見ていると、胸が苦しくなってくる。完全に失敗してしまった。私は、彼を傷つけてしまったのだ。
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「浅はかだったわね……」
ウルーグの気持ちをわかってあげられなかった私は、とても浅はかだった。
これは、反省しなければならない。それだけでは駄目だ。彼に、謝る必要があるだろう。
そう思って、私はゆっくりと深呼吸する。まずは、心落ち着けて、それから彼に謝りに行こう。
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