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第2話 身勝手な思い
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私は、王城を後にしようとしていた。
スルーガ様と婚約破棄した後、少し頭を冷やした結果、私は少しだけ悩んでいた。これから、家に帰って婚約破棄したと言ったら、お父様はどういう顔をするだろうか。きっと、怒るはずである。
別に、怒られること自体は構わない。問題は、よりを戻せなどと言われることである。
スルーガ様に頭を下げて、再婚約。そんなことは、絶対にしたくない。だから、お父様をなんとか説得しなければならないのである。
それは、結構骨が折れるはずだ。私が辛いということで、お父様は納得してくれるのだろうか。
「レルフィア、少しいいか?」
「スルーガ様? どうかしましたか?」
そんなことを考えながら歩いていると、男女の声が聞こえてきた。
一人の声には聞き覚えがある。私の元婚約者であるスルーガ様だ。
もう一人は、彼の思い人であるレルフィアのようである。話は散々聞かされたが、会ったことは数える程しかない彼女のことを、私はよく知らない。
声色からして優しそうな女性である。いかにも、スルーガ様が好意を抱きそうなタイプだ。
「実は、君に話したいことがあるんだ」
「話したいこと?」
「ああ、とても大事な話だ。心して、聞いてくれ」
「は、はい……」
いきなり大事な話と言われて、レルフィアはかなり困惑しているようである。
彼女は私が婚約破棄したことも、スルーガ様から好意を抱かれていることも知らないだろう。だから、困惑するのは当たり前のことだ。
スルーガ様は、好機と思ったのかもしれないが、もっと段階を踏む方がいいのではないだろうか。
「俺は……君のことが好きだ」
「え?」
「ずっと、好意を抱いていた。どうか、この思いを受け入れてくれ」
スルーガ様は、特に事情を説明することなく告白した。
本当に、自分のことしか考えていない。もっと焦らず、彼女に事情を説明するべきだ。
「えっと、スルーガ様は、アルムナ様と婚約されていますよね?」
「その婚約は、先程破棄された。よくわからんが、嫌われていたらしい」
「え? それは、一大事なのでは……」
「そんなことはどうでもいい。今は、この告白の答えを聞かせてくれ」
「あ、その……」
スルーガ様は、勢いだけで押し切ろうとしていた。
とにかく、言質が欲しいのだろう。私と婚約破棄した。彼女と婚約できる。その一心で動いているのだろう。
しかし、それは少し自分勝手だ。もう少し、レルフィアのことを考えてあげた方が絶対にいいと思う。
いや、先程から私は何を気にしているのだろうか。別に、あの二人がどうなろうと私には関係ない。むしろ、彼の告白が失敗した方が私はすっきりするくらいである。
どうか、失敗してくれないだろうか。私は、一転してそう思うようになるになっていた。少し意地が悪いかもしれない。だが、彼には散々迷惑をかけられたので、これくらい願ってもばちは当たらないのではないだろうか。
「すみません……スルーガ様の告白は、受け入れられません」
「な、何……?」
私の願いが届いたのか、レルフィアはスルーガ様の告白を断った。
どうやら、彼の思いは届かなかったようである。
スルーガ様と婚約破棄した後、少し頭を冷やした結果、私は少しだけ悩んでいた。これから、家に帰って婚約破棄したと言ったら、お父様はどういう顔をするだろうか。きっと、怒るはずである。
別に、怒られること自体は構わない。問題は、よりを戻せなどと言われることである。
スルーガ様に頭を下げて、再婚約。そんなことは、絶対にしたくない。だから、お父様をなんとか説得しなければならないのである。
それは、結構骨が折れるはずだ。私が辛いということで、お父様は納得してくれるのだろうか。
「レルフィア、少しいいか?」
「スルーガ様? どうかしましたか?」
そんなことを考えながら歩いていると、男女の声が聞こえてきた。
一人の声には聞き覚えがある。私の元婚約者であるスルーガ様だ。
もう一人は、彼の思い人であるレルフィアのようである。話は散々聞かされたが、会ったことは数える程しかない彼女のことを、私はよく知らない。
声色からして優しそうな女性である。いかにも、スルーガ様が好意を抱きそうなタイプだ。
「実は、君に話したいことがあるんだ」
「話したいこと?」
「ああ、とても大事な話だ。心して、聞いてくれ」
「は、はい……」
いきなり大事な話と言われて、レルフィアはかなり困惑しているようである。
彼女は私が婚約破棄したことも、スルーガ様から好意を抱かれていることも知らないだろう。だから、困惑するのは当たり前のことだ。
スルーガ様は、好機と思ったのかもしれないが、もっと段階を踏む方がいいのではないだろうか。
「俺は……君のことが好きだ」
「え?」
「ずっと、好意を抱いていた。どうか、この思いを受け入れてくれ」
スルーガ様は、特に事情を説明することなく告白した。
本当に、自分のことしか考えていない。もっと焦らず、彼女に事情を説明するべきだ。
「えっと、スルーガ様は、アルムナ様と婚約されていますよね?」
「その婚約は、先程破棄された。よくわからんが、嫌われていたらしい」
「え? それは、一大事なのでは……」
「そんなことはどうでもいい。今は、この告白の答えを聞かせてくれ」
「あ、その……」
スルーガ様は、勢いだけで押し切ろうとしていた。
とにかく、言質が欲しいのだろう。私と婚約破棄した。彼女と婚約できる。その一心で動いているのだろう。
しかし、それは少し自分勝手だ。もう少し、レルフィアのことを考えてあげた方が絶対にいいと思う。
いや、先程から私は何を気にしているのだろうか。別に、あの二人がどうなろうと私には関係ない。むしろ、彼の告白が失敗した方が私はすっきりするくらいである。
どうか、失敗してくれないだろうか。私は、一転してそう思うようになるになっていた。少し意地が悪いかもしれない。だが、彼には散々迷惑をかけられたので、これくらい願ってもばちは当たらないのではないだろうか。
「すみません……スルーガ様の告白は、受け入れられません」
「な、何……?」
私の願いが届いたのか、レルフィアはスルーガ様の告白を断った。
どうやら、彼の思いは届かなかったようである。
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