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71.在るべき場所へ
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「……あの、アルフィア様、一つ聞いてもいいでしょうか?」
「あら? 何かしら?」
そこで、メルティナは少し神妙な顔でそう切り出してきた。
その顔に、私は少し怯んでしまう。なんだか、嫌な予感がしてきたからだ。
「もし私がこの魔法を修得して、アルフィア様の魂を元に戻したとします……そうしたら、あなたはどうされるのですか?」
「それは……どういう意味かしら?」
メルティナの口から出た質問に、私は言葉を詰まらせていた。なぜなら、それは私が聞かれたくなかったことだっただからだ。
「……わからない訳ではないはずです。アルフィア様の体は一つしかありません。その体を必要としている魂は二つあります。その時、あなたはどうするつもりなのですか?」
「……そんなの決まっているでしょう? この体はアルフィアの体、私は今、それを借りているだけ。だから、彼女に体を返すわ」
「体を返したあなたは、どこに行くんですか?」
「在るべき場所へ帰るだけよ」
「それは……」
私の言葉に、メルティナは表情を変えた。それは、悲しんでいるような怒っているような微妙な表情だ。それ程、彼女の中で感情が揺れ動いているのだろう。
それが、私のためであるということは、素直に嬉しい。
「在るべき場所とは、一体どこなのですか?」
「……わかっているのでしょう? 話してはいないけど、あなた……というよりも、皆なんとなく察しているということは、私もわかっているわ」
「そ、それじゃあ……あなたは……」
メルティナの気持ちは、私にとってありがたいものだ。
だけど、それに甘えてはいけない。私という人間は、この世界の住人ではない。天に昇る際、偶然この世界に迷い込んできただけなのだ。
その偶然は、暗黒の魔女の悪意によって生まれたものである。その悪意の犠牲になったアルフィアの体に、私がいつまでも入っている訳にはいかない。
「アルフィアが元に戻ったら、私はこの体から出て行くわ。そして、私は帰る。アルフィアの魂が在るべき場所に帰ったように、私が在るべき場所へ……」
「そこが、あなたの在るべき場所だと……どうして、そう思えるのですか? そこに行こうなんて、どうして……」
「それが当たり前のことだからよ」
「当り前だなんて……私には、そうは思えません」
メルティナの目には、涙が滲んでいた。それを見ていると、なんだかこちらも泣きそうになってくる。
だけど、私は自分の考えを曲げるつもりはない。どれだけの人に惜しまれたとしても、この決意は揺るがないだろう。
全てに決着をつける。それが、この事件を経てから、私が抱いた思いだ。
そう思えるようになったのは、自分が成長できたからなのだろうか。私は、そんな感想を抱くのだった。
「あら? 何かしら?」
そこで、メルティナは少し神妙な顔でそう切り出してきた。
その顔に、私は少し怯んでしまう。なんだか、嫌な予感がしてきたからだ。
「もし私がこの魔法を修得して、アルフィア様の魂を元に戻したとします……そうしたら、あなたはどうされるのですか?」
「それは……どういう意味かしら?」
メルティナの口から出た質問に、私は言葉を詰まらせていた。なぜなら、それは私が聞かれたくなかったことだっただからだ。
「……わからない訳ではないはずです。アルフィア様の体は一つしかありません。その体を必要としている魂は二つあります。その時、あなたはどうするつもりなのですか?」
「……そんなの決まっているでしょう? この体はアルフィアの体、私は今、それを借りているだけ。だから、彼女に体を返すわ」
「体を返したあなたは、どこに行くんですか?」
「在るべき場所へ帰るだけよ」
「それは……」
私の言葉に、メルティナは表情を変えた。それは、悲しんでいるような怒っているような微妙な表情だ。それ程、彼女の中で感情が揺れ動いているのだろう。
それが、私のためであるということは、素直に嬉しい。
「在るべき場所とは、一体どこなのですか?」
「……わかっているのでしょう? 話してはいないけど、あなた……というよりも、皆なんとなく察しているということは、私もわかっているわ」
「そ、それじゃあ……あなたは……」
メルティナの気持ちは、私にとってありがたいものだ。
だけど、それに甘えてはいけない。私という人間は、この世界の住人ではない。天に昇る際、偶然この世界に迷い込んできただけなのだ。
その偶然は、暗黒の魔女の悪意によって生まれたものである。その悪意の犠牲になったアルフィアの体に、私がいつまでも入っている訳にはいかない。
「アルフィアが元に戻ったら、私はこの体から出て行くわ。そして、私は帰る。アルフィアの魂が在るべき場所に帰ったように、私が在るべき場所へ……」
「そこが、あなたの在るべき場所だと……どうして、そう思えるのですか? そこに行こうなんて、どうして……」
「それが当たり前のことだからよ」
「当り前だなんて……私には、そうは思えません」
メルティナの目には、涙が滲んでいた。それを見ていると、なんだかこちらも泣きそうになってくる。
だけど、私は自分の考えを曲げるつもりはない。どれだけの人に惜しまれたとしても、この決意は揺るがないだろう。
全てに決着をつける。それが、この事件を経てから、私が抱いた思いだ。
そう思えるようになったのは、自分が成長できたからなのだろうか。私は、そんな感想を抱くのだった。
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