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第13話 悪い知らせ

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 婚約破棄が成立してから数日後、私とイルディンはお父様に呼び出されていた。
 ガルビム様との婚約破棄の話が進行している間は、どうして呼び出されるかは簡単に予想できた。しかし、今日はまったくわからない。何故、呼び出されたのだろうか。

「お父様、今日は一体どうしたのですか? 何か問題でもあったのでしょうか?」
「問題……まあ、問題なのだろうな」

 お父様は、少し浮かない顔をしていた。
 その時点で、この呼び出しがいい知らせを伝えるためではないとわかる。何か、悪いことがあったのだ。
 ただ、悪いことがあったにしては歯切れが悪い気がする。悪いことがあったなら、言葉に躊躇いなどないはずだからだ。
 つまり、知らせの内容はほとんどわからない。できれば、早く答えが欲しい所だ。

「悪いことがあったのですね?」
「ああ、そういうことになるな」
「それは、私達とは直接関係あることなのですか?」
「関係がある訳ではない。だが、関係がないとも言い切れないか」

 私が少し質問してみると、お父様はまた歯切れの悪い回答をくれた。
 ここまで歯切れが悪いのは、どうしてなのだろう。中々事情を説明してくれないのも、少し違和感がある。
 本当に、何があったのだろう。なんだか、怖くなってくる。

「お父様、何があったかを話してもらえませんか? いつまでももったいぶっていてもいいことはありませんよ」
「ああ、そうだな……」

 イルディンの言葉に、お父様はゆっくりと頷いた。
 どうやら、やっときちんと説明してくれる気になったようだ。

「実は……アルメネアが婚約破棄したガルビム様に少し問題があったのだ」
「ガルビム様に……問題?」
「ああ、なんでも、毒を盛られたらしい」
「え?」
「それは……」

 お父様の言葉に、私もイルディンも驚いた。
 ガルビム様に毒が盛られた。それは、かなり衝撃的なことである。

「ど、どういうことですか?」
「先日の会食中、ガルビム様が食事を食べて倒れたらしい。命はなんとか助かったが、今も意識は戻っていないようだ」
「意識不明……ということですか?」
「ああ……その後、食事を検査した所、毒が検出されたらしい。それで、今は色々と調査中のようなのだ」

 ガルビム様は、会食中に毒を盛られて倒れたらしい。
 命は助かったが意識不明。それは、かなり危険な状態だったということである。
 公爵家の令息が、命の危機に晒された。それは、かなり重大な事件として扱われているだろう。
 そして、それは私達にも無関係ではない。この事件は、私達にも関わるものである。
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