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41.真実を知るため

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「ソルーガ、やはり君は素晴らしい人間だ……さて、僕の予測が正しければ、そろそろ動きがあってもおかしくはないはずだ」
「何?」
「おっと……屋敷が騒がしくなってきたな」

 ソルーガの予測を称賛した後、ディルギン氏はゆっくりと立ち上がった。
 ディルギン氏の言う通り、屋敷の中は少し騒がしくなっている。何かが起こったということなのだろう。
 先程の予測も合わせて考えると、ステイリオ夫人が帰って来たということなのかもしれない。

「さて、行くとしようか」
「ああ」
「はい」

 ディルギン氏の言葉に頷きながら、私達は客室の外に出た。
 そのまま、私達は騒ぎの声が聞こえる方向に進んで行く。どうやら、騒ぎは玄関で起こっているようだ。

「あれは……」
「ああ、ステイリオ夫人だろうな……」

 玄関では、一人の女性が大勢の使用人に囲まれていた。
 この屋敷に今来て、そこまで歓迎される女性、それはステイリオ夫人以外あり得ないだろう。

「……」

 そこで、ステイリオ夫人の視線がこちらに向いた。
 彼女は、私達のことを警戒しているようだ。その様子が、わかりやすく窺える。

「ステイリオ夫人、ご無事で何よりです」
「あなたは?」
「私は、バルセン・ディルギン。探偵をやっています」

 そんなステイリオ夫人に特に遠慮することもなく、ディルギン氏は彼女に話しかけた。
 公爵令嬢である私と接する時もそうだが、彼は相手の身分に関係なく余裕な態度だ。もしかしたら、彼もそれなりに地位のある人間なのだろうか。それとも、単に本人の性格ということなのだろうか。

「奥様、彼は私が雇った探偵なのです」
「パリドットさんが?」
「ええ、実の所、今回奥様が帰って来られたのも、彼の助言があったからで……」
「……そうなのですね」

 パリドットさんの言葉を聞いて、夫人の表情は変わった。
 ディルギン氏に対して、さらに警戒を強めたのである。
 一体、どうして夫人は帰って来たのだろうか。私は、それがとても気になっていた。

「あなたは、全てをわかっているのですね?」
「そういうあなたも、わかっているのでしょう?」
「……ええ、そうですね。なんとなく、ではありますが」
「……あなたの望みは、一体なんなのですか?」
「真実を知ることです」

 夫人の質問に対して、ディルギン氏は特に躊躇うことなく答えた。
 真実を知ること。それは、彼にとって唯一の望みなのだろう。
 ディルギン氏は、警察の味方ではないと言っていた。彼は、ただ純粋に真実を知ろうとしているだけなのだろう。
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