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16.彼女の本性
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「……ウォルリッド、オルメア、裏切ったのか?」
そこで、ラウグス様の視線は私の後ろにいる使用人達に向いた。
私に対して、何か言うことは難しい。そう思って、矛先を変えたのだろう。
「ラウグス様、あなたは道を誤った。使用人として、僕はそれを正すだけです」
「あなたの行動は、目に余りました。いくらなんでも、ひどすぎます」
「……どうなるか、わかっているのか? お前達なんて、俺の権力を使えば……」
「残念ながら、そうはいきません。二人は、私及びクラーレス公爵家が保護しますから」
「くっ……」
私の言葉に、ラウグス様は勢いを失うことになった。
クラーレス公爵家が背後にいる限り、二人に手出しはできない。それは流石の彼でも、理解できたようである。
「……はあ」
そんな中、一人の女性のため息が響いた。
その突然のため息に、私達の視線は集中する。伯爵令嬢、アルトアの元に。
「アルトア、その……」
「……」
「アルトア?」
アルトアは、ゆっくりと布団から出て立ち上がった。
一糸纏わぬ姿であるにも関わらず、それを気にせず彼女は窓の近くに立つ。
「そろそろ潮時ということかしら?」
「……何を言っているんだ」
「ふふ、楽しかったですよ。ラウグス様、あなたは本当に愚かで、滑稽な人だった」
「な、何?」
アルトアはゆっくりとラウグス様の方を向いた。
そんな彼女は、邪悪な笑みを浮かべている。その人を心底馬鹿にしたような笑みに、ラウグス様はかなり動揺しているようだ。
彼にとってアルトアは、愛する人であり愛してくれる人だったのだろう。
しかし、実際はそうではなかった。アルトアは、ラウグス様のことを愛してなどいなかったのだ。
それがわからないため、ラウグス様は混乱しているのだろう。恋人の変貌に、ひどく怯えているのだ。
「たくさん愛していただき、ありがとうございました。でも、私はあなたのことを愛したことは一度もありません。それなのに、私に溺れていくあなたを見るのは本当に楽しかった。愉快で仕方なかった」
「何を言っているんだ……」
「愚かなあなたは、人の心なんてものはまったくわからなかったということですよ。私があなたを愛していないことも、妻に浮気がばれていることも、使用人が裏切ったことも気づかない……あなたの目は節穴だったんですよ」
「そ、そんな……」
ラウグス様は、絶望の表情を浮かべていた。
どうやら、彼はかなりアルトアを愛していたようだ。その表情からは、それが伺える。
立場的に、彼に同情するつもりはまったくない。
ただ、アルトアの態度は少し気に入らない。これだけのことをしておいて、歓喜に溢れている彼女は、一体何様なのだろうか。
そこで、ラウグス様の視線は私の後ろにいる使用人達に向いた。
私に対して、何か言うことは難しい。そう思って、矛先を変えたのだろう。
「ラウグス様、あなたは道を誤った。使用人として、僕はそれを正すだけです」
「あなたの行動は、目に余りました。いくらなんでも、ひどすぎます」
「……どうなるか、わかっているのか? お前達なんて、俺の権力を使えば……」
「残念ながら、そうはいきません。二人は、私及びクラーレス公爵家が保護しますから」
「くっ……」
私の言葉に、ラウグス様は勢いを失うことになった。
クラーレス公爵家が背後にいる限り、二人に手出しはできない。それは流石の彼でも、理解できたようである。
「……はあ」
そんな中、一人の女性のため息が響いた。
その突然のため息に、私達の視線は集中する。伯爵令嬢、アルトアの元に。
「アルトア、その……」
「……」
「アルトア?」
アルトアは、ゆっくりと布団から出て立ち上がった。
一糸纏わぬ姿であるにも関わらず、それを気にせず彼女は窓の近くに立つ。
「そろそろ潮時ということかしら?」
「……何を言っているんだ」
「ふふ、楽しかったですよ。ラウグス様、あなたは本当に愚かで、滑稽な人だった」
「な、何?」
アルトアはゆっくりとラウグス様の方を向いた。
そんな彼女は、邪悪な笑みを浮かべている。その人を心底馬鹿にしたような笑みに、ラウグス様はかなり動揺しているようだ。
彼にとってアルトアは、愛する人であり愛してくれる人だったのだろう。
しかし、実際はそうではなかった。アルトアは、ラウグス様のことを愛してなどいなかったのだ。
それがわからないため、ラウグス様は混乱しているのだろう。恋人の変貌に、ひどく怯えているのだ。
「たくさん愛していただき、ありがとうございました。でも、私はあなたのことを愛したことは一度もありません。それなのに、私に溺れていくあなたを見るのは本当に楽しかった。愉快で仕方なかった」
「何を言っているんだ……」
「愚かなあなたは、人の心なんてものはまったくわからなかったということですよ。私があなたを愛していないことも、妻に浮気がばれていることも、使用人が裏切ったことも気づかない……あなたの目は節穴だったんですよ」
「そ、そんな……」
ラウグス様は、絶望の表情を浮かべていた。
どうやら、彼はかなりアルトアを愛していたようだ。その表情からは、それが伺える。
立場的に、彼に同情するつもりはまったくない。
ただ、アルトアの態度は少し気に入らない。これだけのことをしておいて、歓喜に溢れている彼女は、一体何様なのだろうか。
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