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7.気にせずに
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「明日なんて、大丈夫なんですか? 国王様にも色々と予定があるでしょうに……」
「そのことについては、問題はない。問題がないからこそ、父上も受け入れたのだからな」
「それは、そうかもしれませんが……」
ラゼルト殿下は、心配する私に対して優しい笑顔を向けてきた。
彼が言っていることは、もっともだ。仮に国王様が無理な要求をラゼルト殿下からされたとしたら、断るに決まっている。つまりこれは、可能な範囲内だったということだ。
ただ私のことを気遣って、予定を変更したという可能性もある。もしもそうだとしたら、申し訳ない。別に私は、そこまで疲れているという訳でもないのに。
「それに父上も心配していたからな。アルネリア嬢は、なんというか混乱しているようだったと言っていた。それについては、俺もそう思っている」
「え? ああ、それはそうですね……」
「やはりか。まあ、それが何かわからないが、その整理ができるまでは待つという判断を父上もしたのだろう。とはいえ、明日より先延ばしにすることはないだろうが」
ラゼルト殿下は、暗に国王様が明日までに心の整理をつけることを望んでいることを、伝えてくれた。
この期間は、猶予を与えてくれていると考えるべきだろう。国王様は寛大だ。最大限、私に配慮してくれている。
それを聞いた私は、気合を入れ直す必要があると理解した。わからないことがあるからといって、こちらの国の人達に迷惑をかけて良いことにはならない。それは意識しておかなければ、ならなかったことだといえる。
そもそもの話、良くしてもらっているのだから、身構える必要なんてない。私がするべきことは、感謝することだけだ。
何か理由があるとしても、それを気にし過ぎても仕方ない。単純な善意の可能性も、あるというのに。
どうも私は、ラフェイン王国は敵であるという認識をしてしまっているらしい。それはずっと聞いてきたことだが、今は捨てるべき認識だ。事実として、カルノード王国はラフェイン王国と和平を結んだのだから。
「寛大な措置に感謝します、ラゼルト殿下」
「いや、気にすることはない。こちらの考慮が足りていなかっただけだ。その点において、我々はどうも認識が甘かったといえる」
「いえ、そんなことはありませんよ。仮にそうだとしても、気付き改めているのですから、何も問題はありません」
「そう言っていただけると、こちらとしても助かる。さてと、お茶にしようか。というか、ご一緒しても構わないだろうか」
「もちろんです」
私は、ラゼルト殿下の言葉にゆっくりと頷いた。
お陰で意識を改められた。これからは彼らの善意に甘えて、感謝しながらこちらの国で生きていくとしよう。
「そのことについては、問題はない。問題がないからこそ、父上も受け入れたのだからな」
「それは、そうかもしれませんが……」
ラゼルト殿下は、心配する私に対して優しい笑顔を向けてきた。
彼が言っていることは、もっともだ。仮に国王様が無理な要求をラゼルト殿下からされたとしたら、断るに決まっている。つまりこれは、可能な範囲内だったということだ。
ただ私のことを気遣って、予定を変更したという可能性もある。もしもそうだとしたら、申し訳ない。別に私は、そこまで疲れているという訳でもないのに。
「それに父上も心配していたからな。アルネリア嬢は、なんというか混乱しているようだったと言っていた。それについては、俺もそう思っている」
「え? ああ、それはそうですね……」
「やはりか。まあ、それが何かわからないが、その整理ができるまでは待つという判断を父上もしたのだろう。とはいえ、明日より先延ばしにすることはないだろうが」
ラゼルト殿下は、暗に国王様が明日までに心の整理をつけることを望んでいることを、伝えてくれた。
この期間は、猶予を与えてくれていると考えるべきだろう。国王様は寛大だ。最大限、私に配慮してくれている。
それを聞いた私は、気合を入れ直す必要があると理解した。わからないことがあるからといって、こちらの国の人達に迷惑をかけて良いことにはならない。それは意識しておかなければ、ならなかったことだといえる。
そもそもの話、良くしてもらっているのだから、身構える必要なんてない。私がするべきことは、感謝することだけだ。
何か理由があるとしても、それを気にし過ぎても仕方ない。単純な善意の可能性も、あるというのに。
どうも私は、ラフェイン王国は敵であるという認識をしてしまっているらしい。それはずっと聞いてきたことだが、今は捨てるべき認識だ。事実として、カルノード王国はラフェイン王国と和平を結んだのだから。
「寛大な措置に感謝します、ラゼルト殿下」
「いや、気にすることはない。こちらの考慮が足りていなかっただけだ。その点において、我々はどうも認識が甘かったといえる」
「いえ、そんなことはありませんよ。仮にそうだとしても、気付き改めているのですから、何も問題はありません」
「そう言っていただけると、こちらとしても助かる。さてと、お茶にしようか。というか、ご一緒しても構わないだろうか」
「もちろんです」
私は、ラゼルト殿下の言葉にゆっくりと頷いた。
お陰で意識を改められた。これからは彼らの善意に甘えて、感謝しながらこちらの国で生きていくとしよう。
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