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7.叔父の見解

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 私は、マディード様とともにフライグ様の部屋に来ていた。
 一度現場を見てみたいと、マディード様が言ったからである。

 フライグ様の部屋は、既に散々調べた。
 そのため、新しく何かが出てくることはないだろう。私は、そう思っていた。

 しかし同時に、弟であるマディード様なら、何かを見つけられるかもしれないとも思っていた。
 物証などではなく、何か感じ取れるものがあるのではないか。そんな期待があったのだ。

「……はあ」
「マディード様……大丈夫ですか?」
「あ、すみません」

 そんな期待をしている私の横で、マディード様はため息を吐いていた。
 どうして、そんな感じなのか、それはわかっていた。先程の出来事が尾を引いているのだ。

「バルート君とのことを気にしているんですか?」
「え、ええ……彼ともう少し上手く会話できたのではないか。そう思ったのです」
「やっぱり、そうだったのですね……」

 予想していた通り、マディード様は、バルートとのコミュニケーションに失敗したことで落ち込んでいるようだった。
 その気持ちは、私にもよくわかった。私も、彼とのコミュニケーションで成功したことがなかったからである。

「バルート君は……どのような子なのでしょうか?」
「どのような子とは?」
「マディード様から見た彼について、聞かせてもらいたいのです。フライグ様からは聞きましたが、叔父から見たら、また違う彼が見えてくると思いますから」
「それは……」

 私は、マディード様にそんなことを聞いてみることにした。
 バルートという子のことを、その時私はあまりよくわかっていなかった。その内面を知るため、情報が欲しかったのだ。

 そんな私の言葉に、マディード様は驚いていた。
 その理由を私が知ったのは、少し後のことである。

「そうですね……彼は中々、気難しい子であると思っています」
「気難しい子……ですか?」
「中々心を開いてくれない……そんな感想しか出て来ませんね。ただ、その理由はわかっています。母親を失ったことで、彼は心を閉ざしてしまったのでしょう」
「そうですよね……」

 バルートが固く心を閉ざした理由は、なんとなくわかっていた。
 あの年齢で母親を失う。それは、かなり辛いことだろう。

 その傷をどうしたら癒せるのか。その時の私は、そんなことを思っていた。
 だが、それが間違いだったのかもしれない。私もマディード様も、もう少し視点を変える必要があったのではないだろうか。
 もっとも、それは後からわかったことである。あの時の私達には、それは難問だったのだ。
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