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67.大袈裟な言動

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 お父様が婚約に関して好意的な見解を示したことによって、ヴェルード公爵家とラベーシン伯爵家との間で話し合いが起こった。
 実際に婚約が決まったという訳ではないのだが、結構いい感じに話は進んでいるようだ。

 そういった事情の中で、レフティス様がヴェルード公爵家に訪ねて来るというのは、非常に重要な出来事だといえる。
 彼がどういう人間なのか、見極めなければならない。それがヴェルード公爵家の共通の認識であった。
 ただアドルグお兄様は、妹の婚約について非常に過激な反応を示すため、その意見は概ね無視するべきだということになっている。

「エフェリア嬢、先日のお茶会では、ありがとうございました。お陰で楽しい時間が過ごせましたよ」
「いえ、私は何も……それより、あの時は申し訳ありませんでした。急に場を開けることになってしまって」
「お気になさらず。事情は聞いています。どうやら色々なことがあったそうですね。あの後は大丈夫だったのですか? なんだか大きな声も聞こえましたし……」
「ええ、あの場もなんとか収めることはできました」

 レフティス様は、やはり大袈裟な人であった。
 どこか言動が仰々しいし、ともすれば演技のようにも思えてしまう。だからだろうか、彼の真意というものは読み取ることができない。
 もしかしたら、これも一つの術ということなのだろうか。貴族というものは、自分を律する必要がある訳だし、その一環という可能性はあるかもしれない。

「それなら良かった……ことの顛末については、一応耳には入っています。ディトナス侯爵令息とは友人でしたから、少し残念です」
「……彼と仲が良かったのですか?」
「人並みに付き合いはありました。ヴェルード公爵家の方々の前でこういうことを言うのは少々気が引けますがね。しかし彼には、どうにか再起して欲しいと思っています」

 レフティス様は、ディトナス様のことも気に掛けているようだった。
 お茶会に来ていたことからも考えられることではあるが、それなりに交流があったということだろうか。いやその心配も、演技ということなのかもしれないが。

「そうですか。レフティス様はお優しい方なのですね」
「そう言っていただけるのは嬉しいですね……感謝します、エフェリア嬢」

 レフティス様は、ゆっくりと一礼しながらお礼の言葉を口にした。
 そういった所作も、やはり少々大袈裟だ。とはいえ、綺麗な一礼である。そういった所は、私も見習うべきかもしれない。

「……さてと」

 そんなことを思いながら、私は周囲を見渡していた。 
 現在、私は客室の外から様子を伺っている。庭でこっそりと行動しているのだ。

 それは別に、悪戯をしているとかそういうことではない。私はある任務のために、こそこそとすることになっているのだ。
 その原因となった一人を見つけて、私はため息をついた。その人物であるエフェリアお姉様は、私を見つけて罰が悪そうな表情をしていた。
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