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私はお父様とともに、レオード様と話していた。
彼は、私の正直な姿勢を評価してくれた。別に褒められるようなことはしていないが、彼にとってそれは好ましいものだったらしい。
「そもそも、あなたは私を見て、そこまで驚きませんでしたね? 何か特別な理由があるのですか? あなたが獣人をどうして差別しないのか? 私は、それが少し気になっています」
「理由ですか? えっと……特に、そういうものがあるという訳ではありません。ただ、単純に友好的な国家の人間……いえ、獣人でしょうか? とにかく、そういう人に対して、差別的な意識を向けるのは間違っていると思っているだけです」
「なるほど、素晴らしい考え方ですね。あなたが、とても聡明な人だということが、それだけでわかります」
次に、レオード様は私の差別意識について聞いてきた。
私は、そのようなものはあまり持っていない。もちろん、人間とは違う獣人の見た目に驚かない訳ではないが、偏見を持ったりはしないようにしている。
それは、獣人という種族というより、国家同士の関係性を考えているからかもしれない。だ。友好的な関係になった国家の相手に、偏見を持つことは失礼である。その考え方から、私は獣人に対して排他的な考えを持たないようにしているのだ。
「あなたのように真の通った考えを持っている方を、私は好ましく思います。そういう人達がいれば、二つの国がしっかりと手を取り合える日も近いと思えますからね」
「それを言うなら、レオード様もそうなのではありませんか? あなたも、人間に対して差別的な意識を持っているとは思えませんよ?」
そこで、私はレオード様に言葉を返した。
私のことばかり言っているが、彼も同じなのではないだろうか。
獣人も、人間に対して差別的な意識を持っていると聞いている。だが、彼からはまったくそれが感じ取れないのだ。
「そうですね……私も、人間に対して差別的な意識は持っていません。そもそも、我が国の成り立ちを考えれば、そのような意識を持つこと自体が間違っていると思っていますからね」
「成り立ちですか?」
「ええ、例えば、私は獅子の性質を持つ獣人ですが、護衛には虎や兎の性質を持つ獣人がいます。獣の性質を継ぐ種族として一まとめにして考えられますが、まったく別の種族と言っても差し支えがありません。そのような国で暮らしていますから、人間という別の種族に抵抗感など持たないのです」
「なるほど……」
レオード様の言葉に、私はとても納得した。
私達人間は、獣人は獣人として考えている。だが、その中身はまったく異なっているのだ。
レオード様は、獅子の獣人という種族である。本当に、その種族でしかないのだ。他の獣人は、違う種族なのである。
そのような考えを持っているから、人間も差別しないのだろう。今周りにいる他の種族と同じ。そのように考えられるのだ。
「ですから、同じ種族だけで暮らしている人間が、私達よりもそういう意識を持ちやすいと理解することはできます。それは私達の祖先も通った道です。だからこそ、あなたのような意識を持っている人がいることはありがたいし、とても素晴らしいと思うのです」
「それは……ありがとうございます」
レオード様に褒められて、私は少し恥ずかしくなってきた。
大したことをしていないように自分では思えるのだが、こんなに褒められていいのだろうか。
彼は、私の正直な姿勢を評価してくれた。別に褒められるようなことはしていないが、彼にとってそれは好ましいものだったらしい。
「そもそも、あなたは私を見て、そこまで驚きませんでしたね? 何か特別な理由があるのですか? あなたが獣人をどうして差別しないのか? 私は、それが少し気になっています」
「理由ですか? えっと……特に、そういうものがあるという訳ではありません。ただ、単純に友好的な国家の人間……いえ、獣人でしょうか? とにかく、そういう人に対して、差別的な意識を向けるのは間違っていると思っているだけです」
「なるほど、素晴らしい考え方ですね。あなたが、とても聡明な人だということが、それだけでわかります」
次に、レオード様は私の差別意識について聞いてきた。
私は、そのようなものはあまり持っていない。もちろん、人間とは違う獣人の見た目に驚かない訳ではないが、偏見を持ったりはしないようにしている。
それは、獣人という種族というより、国家同士の関係性を考えているからかもしれない。だ。友好的な関係になった国家の相手に、偏見を持つことは失礼である。その考え方から、私は獣人に対して排他的な考えを持たないようにしているのだ。
「あなたのように真の通った考えを持っている方を、私は好ましく思います。そういう人達がいれば、二つの国がしっかりと手を取り合える日も近いと思えますからね」
「それを言うなら、レオード様もそうなのではありませんか? あなたも、人間に対して差別的な意識を持っているとは思えませんよ?」
そこで、私はレオード様に言葉を返した。
私のことばかり言っているが、彼も同じなのではないだろうか。
獣人も、人間に対して差別的な意識を持っていると聞いている。だが、彼からはまったくそれが感じ取れないのだ。
「そうですね……私も、人間に対して差別的な意識は持っていません。そもそも、我が国の成り立ちを考えれば、そのような意識を持つこと自体が間違っていると思っていますからね」
「成り立ちですか?」
「ええ、例えば、私は獅子の性質を持つ獣人ですが、護衛には虎や兎の性質を持つ獣人がいます。獣の性質を継ぐ種族として一まとめにして考えられますが、まったく別の種族と言っても差し支えがありません。そのような国で暮らしていますから、人間という別の種族に抵抗感など持たないのです」
「なるほど……」
レオード様の言葉に、私はとても納得した。
私達人間は、獣人は獣人として考えている。だが、その中身はまったく異なっているのだ。
レオード様は、獅子の獣人という種族である。本当に、その種族でしかないのだ。他の獣人は、違う種族なのである。
そのような考えを持っているから、人間も差別しないのだろう。今周りにいる他の種族と同じ。そのように考えられるのだ。
「ですから、同じ種族だけで暮らしている人間が、私達よりもそういう意識を持ちやすいと理解することはできます。それは私達の祖先も通った道です。だからこそ、あなたのような意識を持っている人がいることはありがたいし、とても素晴らしいと思うのです」
「それは……ありがとうございます」
レオード様に褒められて、私は少し恥ずかしくなってきた。
大したことをしていないように自分では思えるのだが、こんなに褒められていいのだろうか。
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