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 私は、イルシャナお姉様とウェリリアお姉様と対峙していた。
 彼女達は、私に対する態度を改めてきた。私とケルド様の話を聞いていて、私が聖なる者だったかもしれないということから、そうしてきたようだ。
 私は、その二人の態度にかなり怒っていた。こういう風に手の平を返されると、いい気分にはなれないのである。

「と、とにかく、私達はあなたへの態度を改めることにするわ」
「え、ええ、そういうことよ」
「そういうこと……?」

 二人の態度に、私はかなり頭にきていた。
 今までの私なら、それだけだったかもしれない。だが、こういう時にどうすればいいのかは、セリーヌ様から言われて理解している。
 こんな人たちに、負けてたまるか。そういう気持ちを持つのだ。私を虐めて、これで許される彼女達に負けてはいけない。

「ふざけないでください。それで、あなた達の今までの行いが亡くなると思っているんですか?」
「なっ……」
「あなた……」

 私の言葉に、二人は驚いていた。恐らく、私が反論してくると思っていなかったのだろう。
 今までの私は、こういう時に何も言えななかった。その認識は、彼女達にもあったのだろう。

「……」
「……こっちが、下に出ているからといって、いい気になっているのかしら?」
「ウェリリア? あなた……」

 驚きながらも、イルシャナお姉様は何も言わなかった。だが、ウェリリアお姉様は反論してきた。どうやら、私の態度に我慢できなくなったようである。

「聖痕があるから、私達よりも上になったつもり? あなたなんて、例え聖痕があっても屑には変わりないのよ!」
「お姉様達は、いつもそうやって私のことを罵倒してきました。そうやって、人を馬鹿にするあなた達は、最低です!」
「最低? 私達が最低ですって? それなら、今まであなたを否定してきた全ての者が最低だったというの? あなたみたいな傷ありは、最低の屑だったのよ! それを批判した私達が悪だとでもいうの? 私達は、当然のことをしたまでよ!」
「私を批判していた人達は、皆最低の人達でした。いい人なんて、一人もいませんでした。当然のことだったなんて、自分達の行いを正当化しないでください!」

 私は、ウェリリアお姉様に反論した。
 深い考えなどなかった。ただ、負けたくない。その一心で、私は言葉を放ったのだ。
 今までよりも、私の心は晴れやかだった。何も言い返さないよりも、対抗する方がすっきりすることを、私は今初めて理解した。
 一つ気になったのは、イルシャナお姉様が何も言わないことである。彼女は、一体何を考えているのだろうか。
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