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47.素の私達で
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私とバルギード様の結婚は、様々な人に祝福された。
もちろん、それは当然のことだ。結婚式という場で、おかしなことを言う人がいる訳はない。そんなことをしてしまったら、その貴族の評価が下がってしまう。
心からの言葉ではないのかもしれないが、多くの人から祝福してもらえるのは嬉しかった。それはきっと、私がこの結婚をとても嬉しいものだと思っていたからだろう。
「ふう……」
「お疲れ様です、セリティア嬢」
「バルギード様もお疲れ様です」
結婚式が終わって、私とバルギード様はそのように言葉を交わした。
大変だったが、なんとか乗り切れた。特に失敗もなかったし、いい結婚式であったように思える。
「……あのですね、バルギード様、少しお願いしたいことがあるんです」
「はい、なんですか?」
「夫婦になるのですから、そろそろ丁寧な口調はやめにしていただけませんか?」
「……なるほど」
バルギード様は、私の言葉に頷いてくれた。
その顔は少し照れている。やはり、馴染んだ口調を変えるのは少し恥ずかしいのだろうか。
「それなら、これからはこれでいいか、セリティア」
「はい。なんだか、少し距離が近づいたような気がします」
「……そちらは、そのままなのか?」
「……え?」
「俺にも、素のセリティアを見せてもらいたい。色々なことを気にする必要はないぞ。ここには、俺とお前しかいない」
「……そう、ね」
私も、バルギード様の言葉にゆっくりと頷いた。
彼が許してくれたのだから、何も気にする必要はないだろう。失礼などということはない。いつも通りの私を彼に見せればいいのだ。
「……なんだか、少し恥ずかしいわね」
「ああ、そうだな」
「でも、心地いいとも思うわ。あなたとこうやって、素の状態で話し合えるのは……」
「俺もだ」
バルギード様は、ゆっくりと私の手を取った。そしてそのまま、その顔を近づけてくる。
私は、それを受け入れる。本当に素の状態で、私達は再びキスをした。
私達の新しい未来。それはまだまだ始まったばかりだ。
もちろん、それは当然のことだ。結婚式という場で、おかしなことを言う人がいる訳はない。そんなことをしてしまったら、その貴族の評価が下がってしまう。
心からの言葉ではないのかもしれないが、多くの人から祝福してもらえるのは嬉しかった。それはきっと、私がこの結婚をとても嬉しいものだと思っていたからだろう。
「ふう……」
「お疲れ様です、セリティア嬢」
「バルギード様もお疲れ様です」
結婚式が終わって、私とバルギード様はそのように言葉を交わした。
大変だったが、なんとか乗り切れた。特に失敗もなかったし、いい結婚式であったように思える。
「……あのですね、バルギード様、少しお願いしたいことがあるんです」
「はい、なんですか?」
「夫婦になるのですから、そろそろ丁寧な口調はやめにしていただけませんか?」
「……なるほど」
バルギード様は、私の言葉に頷いてくれた。
その顔は少し照れている。やはり、馴染んだ口調を変えるのは少し恥ずかしいのだろうか。
「それなら、これからはこれでいいか、セリティア」
「はい。なんだか、少し距離が近づいたような気がします」
「……そちらは、そのままなのか?」
「……え?」
「俺にも、素のセリティアを見せてもらいたい。色々なことを気にする必要はないぞ。ここには、俺とお前しかいない」
「……そう、ね」
私も、バルギード様の言葉にゆっくりと頷いた。
彼が許してくれたのだから、何も気にする必要はないだろう。失礼などということはない。いつも通りの私を彼に見せればいいのだ。
「……なんだか、少し恥ずかしいわね」
「ああ、そうだな」
「でも、心地いいとも思うわ。あなたとこうやって、素の状態で話し合えるのは……」
「俺もだ」
バルギード様は、ゆっくりと私の手を取った。そしてそのまま、その顔を近づけてくる。
私は、それを受け入れる。本当に素の状態で、私達は再びキスをした。
私達の新しい未来。それはまだまだ始まったばかりだ。
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感想ありがとうございます。
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感想ありがとうございます。
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