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33.宿での合流
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「さて、無事に合流できて、とりあえず一安心ですね……」
「ええ……」
王都の宿にて、私はバルギード様とそのような会話を交わした。
お母様とソルダスは、それぞれ学校に与えられた宿舎で暮らしている。当然、私がそこに泊まる訳にはいかないので、私は宿をとることになった。
バルギード様とは、その宿で合流する手筈になっていた。無事に二人とも宿に着き合流できたので、本当に一安心である。
「お二人の旅はどうでしたか?」
「楽しかったですよ? 帰省してから色々と話したというのに、旅の最中もずっと話していました」
「そうですか、それは何よりです」
「ありがとうございます、この提案をしてくださって……」
「いえいえ、こちらにとって都合のいい提案をしたまでに過ぎませんから」
お母様とソルダスとの旅は、とても楽しい旅だった。
この機会を与えてくれたバルギード様には、感謝の気持ちでいっぱいである。もちろん、それはファラリス様の都合もあったのだろうが、それでも感謝はするべきだろう。
「お二人は、既に宿舎の方に?」
「ええ、新学期ですから、色々と準備があるそうです」
「そうですか。やはり大変なのですね」
「まあ、お母様に関しては仕事ですからね……といっても、もう教師は辞めるみたいですけど」
「おや、そうなのですか?」
「ええ、オンラルト侯爵夫人に戻るつもりのようです」
お母様は教師を辞めて、ソルダスは学校を卒業する。
という訳で、今年でオンラルト侯爵家は学校と関わりを失う訳だ。
いや、完璧に失うと考えるべきではないかもしれない。私やソルダスの子供が、通う可能性もある。
「セリティア嬢の母君は、王国から教師になって欲しいと頼まれたのですよね? その辺りに関しては、問題ないのですか?」
「ええ、問題はないと思います。頼まれたのはかなり前のことですし、当時と比べて今は人材も育ってきているようですから」
「なるほど、それなら良かった。ただ、一応ファラリスを通して、その辺りを王国側に伝えておいてもいいかもしれませんよ」
「え? あっ……いえ、それは悪いですよ」
バルギード様の指摘に、私は少し驚いた。
オンラルト侯爵家は王家との繋がりを確保している。恥ずかしながら、私はそれをまったく意識していなかったのだ。
国から任命されたお母様が辞めるためには王族に話を通しておく。それはは非常に魅力的な提案である。
ただ、お父様やお母様がそれを頼まなかったのだから、これは断るべきだ。まさか、二人も私と同じように気づいていなかったということはないだろうし。
「別に遠慮をする必要はないのですよ? それとも、私達に借りを作るのが嫌なのでしょうか?」
「……バルギード様は、意地悪ですね? わざわざそんな言い方をするなんて」
「……お見通しですか」
私の少し怒ったような言い回しに、バルギード様は笑みを浮かべた。
彼のこういった部分は、本当に難儀であるといえるだろう。もっとも、私にとってこのようなやり取りは楽しいものではあるのだが。
「ええ……」
王都の宿にて、私はバルギード様とそのような会話を交わした。
お母様とソルダスは、それぞれ学校に与えられた宿舎で暮らしている。当然、私がそこに泊まる訳にはいかないので、私は宿をとることになった。
バルギード様とは、その宿で合流する手筈になっていた。無事に二人とも宿に着き合流できたので、本当に一安心である。
「お二人の旅はどうでしたか?」
「楽しかったですよ? 帰省してから色々と話したというのに、旅の最中もずっと話していました」
「そうですか、それは何よりです」
「ありがとうございます、この提案をしてくださって……」
「いえいえ、こちらにとって都合のいい提案をしたまでに過ぎませんから」
お母様とソルダスとの旅は、とても楽しい旅だった。
この機会を与えてくれたバルギード様には、感謝の気持ちでいっぱいである。もちろん、それはファラリス様の都合もあったのだろうが、それでも感謝はするべきだろう。
「お二人は、既に宿舎の方に?」
「ええ、新学期ですから、色々と準備があるそうです」
「そうですか。やはり大変なのですね」
「まあ、お母様に関しては仕事ですからね……といっても、もう教師は辞めるみたいですけど」
「おや、そうなのですか?」
「ええ、オンラルト侯爵夫人に戻るつもりのようです」
お母様は教師を辞めて、ソルダスは学校を卒業する。
という訳で、今年でオンラルト侯爵家は学校と関わりを失う訳だ。
いや、完璧に失うと考えるべきではないかもしれない。私やソルダスの子供が、通う可能性もある。
「セリティア嬢の母君は、王国から教師になって欲しいと頼まれたのですよね? その辺りに関しては、問題ないのですか?」
「ええ、問題はないと思います。頼まれたのはかなり前のことですし、当時と比べて今は人材も育ってきているようですから」
「なるほど、それなら良かった。ただ、一応ファラリスを通して、その辺りを王国側に伝えておいてもいいかもしれませんよ」
「え? あっ……いえ、それは悪いですよ」
バルギード様の指摘に、私は少し驚いた。
オンラルト侯爵家は王家との繋がりを確保している。恥ずかしながら、私はそれをまったく意識していなかったのだ。
国から任命されたお母様が辞めるためには王族に話を通しておく。それはは非常に魅力的な提案である。
ただ、お父様やお母様がそれを頼まなかったのだから、これは断るべきだ。まさか、二人も私と同じように気づいていなかったということはないだろうし。
「別に遠慮をする必要はないのですよ? それとも、私達に借りを作るのが嫌なのでしょうか?」
「……バルギード様は、意地悪ですね? わざわざそんな言い方をするなんて」
「……お見通しですか」
私の少し怒ったような言い回しに、バルギード様は笑みを浮かべた。
彼のこういった部分は、本当に難儀であるといえるだろう。もっとも、私にとってこのようなやり取りは楽しいものではあるのだが。
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