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25.微妙な態度

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「いや、セリティア嬢のご家族は、皆いい方ばかりのようですね……」
「そう言っていただけると、私も嬉しく思います」

 紹介が終わった後、私はバルギード様と二人で話していた。
 彼は、お母様やソルダスに好印象を抱いてくれているらしい。それは嬉しいし、同時にとても安心できることだ。
 親族間の関係は、良好である方がいいに決まっている。これで、ラーゼム公爵家とオンラルト侯爵家はいい関係を築けるはずだ。

「特に弟君とは話が弾みました。彼は、素晴らしい人のようですね。オンラルト侯爵家は安泰でしょう」
「ふふ、そうだといいんですけどね……」
「おや、何か問題でも?」
「いえ、姉としてはまだまだ心配な部分が多いものですから」
「それは、これから改善していけばいいだけのことです」
「そうですね……私が心配性というだけなのかもしれません」

 バルギード様のソルダスへの評価は、私にとっても嬉しいものではある。
 ただ、お世辞も入っているだろう。彼は確かに自慢の弟ではあるが、明らかに褒め過ぎである。
 もっとも、お世辞は大切なことだ。私もバルギード様の家族と会った時には、こういう振る舞いをすることになるだろう。

「……そういえば、バルギード様にお聞きしておきたいことがあるのですが」
「おや、なんでしょうか?」
「聞いてもいいのかはわかりませんが、聞いておいた方が今度のためにもいいと思うのでお聞きします。バルギード様は、ご兄弟と上手くいっていないのですか?」
「ああ、そのことですか……」

 私は、思い切ってバルギード様にそのことを質問することにした。
 彼にとって、それは辛い質問になるかもしれないが、今後彼の弟や妹に会った時にそれを知っているのと知らないのでは、色々と変わってくる。
 私がなまじその情報を知ってしまっているというのも聞いた理由の一つだ。中途半端に知っている。それは非常に危険な状態であるだろう。だから解消したいのだ。

「まあ、上手くいっていないという訳ではないのです。普通といった所でしょうか。積極的に関わることもなければ、消極的という訳でもない。そんな所です」
「妹君は既に嫁いでいると聞きましたが……」
「ええ、私の結婚よりも早く嫁に行きました。幸いにも、第二王子との婚約が早くから決まっていましたからね。最近はそれ程顔を合わせていませんが、彼女も不甲斐ない兄には思う所があるでしょう」
「彼女も、ということは弟君も?」
「ええ、少なくとも私の身の振り方を快くは思っていないでしょう。それはなんとなく伝わってきます。とはいえ、まったく理解していないという訳でもないらしく、微妙な態度というのが現状です」

 バルギード様と兄弟との仲は、少々複雑であるらしい。
 いや、別に複雑という程ではないのだろうか。私とソルダスの仲が良いというだけで、一般的な兄弟というのはそういうものなのかもしれない。
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