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17.暴かれた悪事
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紆余曲折あってランブルト伯爵家に戻ってきた私は、驚くことになった。
色々と報告することがあるとお父様の元にやって来たのだが、彼は絶望したような表情で固まっている。
そこには、弟のウルーグもいる。まずは彼から、事情を聞いてみるべきだろうか。
「ウルーグ、これは一体どういうことなのかしら? 何かあったの?」
「姉上、実はだな……父上の悪事を俺が暴いたんだ」
「悪事……」
ウルーグは、とても淡々に言葉を発していた。
私が出掛ける前、彼は何かしらの秘策があることをほのめかしていた。もしかして、それはこういうことだったのだろうか。
「お父様の悪事って、一体どういうことなの?」
「まあ、端的に言ってしまえば、父上は脱税していたのだ。俺はそれを国に報告した」
「だ、脱税って、そんなことをしていたの?」
「ああ、父上は密かに私服を肥やしていたのだ。父上らしい、なんとも薄汚いやり方だ」
「それは、確かにそうね……」
薄々わかっていたことではあるが、お父様は裏で中々にあくどいことをやっていたようだ。
それを全て白日の元に晒されたということは、お父様の詠歌の終わりを意味している。故に落ち込んでいるということなのだろう。
それは、私達が望んでいたことである。お父様がこれで失脚してくれるというなら、ありがたい限りだ。
しかしそうなると、色々と問題が出てくる。このランブルト伯爵家は、どうなってしまうのだろうか。
「ウルーグ、あなたの考えはよくわかったわ。でも、このままではランブルト伯爵家も巻き込まれて終わりかねないわよ?」
「その点に関しては、問題ない。俺が国に交渉しておいたからな。今回は父上の身柄を引き渡し、父上の着服した分だけ金を支払うことに決まった。もちろん、風評被害は避けられないだろうが、それは我々が努力していけばいい」
「なるほど……」
どうやら厳しい状況ではあるが、ランブルト伯爵家が没落することはなさそうだ。
それなら、私としても安心することができる。誇り高きランブルト伯爵家は、これからも続いていく。先祖代々受け継いできたものを、守ることができるのである。
そこで私は、再びお父様の方を見た。
彼は暗い顔で項垂れている。それだけショックだったということだろう。
「……イルメア?」
私の視線に気付いたのか、お父様は素早くその顔を上げた。
その表情には、驚いたというような感情が詰まっている。私が来たことに、気付いていなかったということだろうか。
「た、助けてくれ。私は、私はまだ終わりたくない……」
「お父様……」
「お前やウルーグが手を貸せば、まだ可能性はあるはずだ」
お父様は、私に対して慌てたような顔をして懇願をしてきた。
まさかあの高慢なお父様が、私にそんなことを言ってくるなんて思っていなかった。正直、驚きである。
「……申し訳ありません。政治のことは、私には関係ないことですから」
「な、なんだと?」
「お父様が、そうおっしゃったのではありませんか。忘れてしまったんですか?」
「あ、ああっ……」
私の言葉に、お父様はゆっくりと崩れ落ちた。
己が今までやって来たことを思い出したということだろうか。
それなら、いい気味である。お父様にはこれから、自分の行いをしっかりと反省してもらいたいものだ。
色々と報告することがあるとお父様の元にやって来たのだが、彼は絶望したような表情で固まっている。
そこには、弟のウルーグもいる。まずは彼から、事情を聞いてみるべきだろうか。
「ウルーグ、これは一体どういうことなのかしら? 何かあったの?」
「姉上、実はだな……父上の悪事を俺が暴いたんだ」
「悪事……」
ウルーグは、とても淡々に言葉を発していた。
私が出掛ける前、彼は何かしらの秘策があることをほのめかしていた。もしかして、それはこういうことだったのだろうか。
「お父様の悪事って、一体どういうことなの?」
「まあ、端的に言ってしまえば、父上は脱税していたのだ。俺はそれを国に報告した」
「だ、脱税って、そんなことをしていたの?」
「ああ、父上は密かに私服を肥やしていたのだ。父上らしい、なんとも薄汚いやり方だ」
「それは、確かにそうね……」
薄々わかっていたことではあるが、お父様は裏で中々にあくどいことをやっていたようだ。
それを全て白日の元に晒されたということは、お父様の詠歌の終わりを意味している。故に落ち込んでいるということなのだろう。
それは、私達が望んでいたことである。お父様がこれで失脚してくれるというなら、ありがたい限りだ。
しかしそうなると、色々と問題が出てくる。このランブルト伯爵家は、どうなってしまうのだろうか。
「ウルーグ、あなたの考えはよくわかったわ。でも、このままではランブルト伯爵家も巻き込まれて終わりかねないわよ?」
「その点に関しては、問題ない。俺が国に交渉しておいたからな。今回は父上の身柄を引き渡し、父上の着服した分だけ金を支払うことに決まった。もちろん、風評被害は避けられないだろうが、それは我々が努力していけばいい」
「なるほど……」
どうやら厳しい状況ではあるが、ランブルト伯爵家が没落することはなさそうだ。
それなら、私としても安心することができる。誇り高きランブルト伯爵家は、これからも続いていく。先祖代々受け継いできたものを、守ることができるのである。
そこで私は、再びお父様の方を見た。
彼は暗い顔で項垂れている。それだけショックだったということだろう。
「……イルメア?」
私の視線に気付いたのか、お父様は素早くその顔を上げた。
その表情には、驚いたというような感情が詰まっている。私が来たことに、気付いていなかったということだろうか。
「た、助けてくれ。私は、私はまだ終わりたくない……」
「お父様……」
「お前やウルーグが手を貸せば、まだ可能性はあるはずだ」
お父様は、私に対して慌てたような顔をして懇願をしてきた。
まさかあの高慢なお父様が、私にそんなことを言ってくるなんて思っていなかった。正直、驚きである。
「……申し訳ありません。政治のことは、私には関係ないことですから」
「な、なんだと?」
「お父様が、そうおっしゃったのではありませんか。忘れてしまったんですか?」
「あ、ああっ……」
私の言葉に、お父様はゆっくりと崩れ落ちた。
己が今までやって来たことを思い出したということだろうか。
それなら、いい気味である。お父様にはこれから、自分の行いをしっかりと反省してもらいたいものだ。
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