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11.騒がしい屋敷
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ルベート様との話を終えた私は、客室で一人寛いでいた。
まだ夕方ではあるが、旅の疲れなどもあって少し眠たい。夕食まではまだまだ時間があるだろうし、一眠りしてもいいかもしれない。
「……うん?」
そう思って目を瞑っていた私は、すぐに目を開けることになった。
なんというか、屋敷が騒がしいのである。
こういう風に屋敷が騒ぎ始めるということは、良くないことでも起こっているということだろうか。
少なくとも急な事態でもなければ、バタバタするなんてことはない。もしかして、急な来客などでもあったのだろうか。
「……まあ、ここでじっとしていても何かわかる訳でもないし、様子を見に行ってみようかしら」
私は、ゆっくりと立ち上がって部屋から出て行く。
すると感じていた通り、屋敷の中を使用人達が慌ただしく駆け回っている。
「おや……」
「ああ、ルベート様」
そこで私は、ルベート様を見つけた。
彼も困惑したような顔をしながら、流れに従っている。私と同じく、様子を見に来たということだろうか。
「何かあったんですか?」
「それが僕にもわからなくて……だから様子を見に来たんです」
「なるほど、やはり私と同じということですか」
「ええ、恐らく玄関の方からだと思うんですけど……」
ルベート様は、玄関の方向に視線を向けていた。
確かに、そちらの方に多くの使用人達が向かっている。騒ぎの原因がそちらの方向にあるのは、間違いなさそうだ。
「あれ? そういえば、ラティアはどうしたんですか?」
「ああ、あの子は部屋で寝ています。まあ、もしも客人などでしたら、あの子を連れて行く訳にもいきませんからね」
「それは確かにそうですね……」
先程まで一緒にいた訳ではあるが、よく考えてみれば日頃から子猫を連れている訳はない。故に私の質問は、愚問でしかなかっただろう。
ただなんというか、ルベート様はラティアと一緒にいるのがとても似合っているような気がした。それは彼の森のような穏やかな雰囲気がそう思わせるのだろうか。
「とりあえず、僕は様子を見に行ってきます。イルメア嬢にも、後でお伝えしますよ?」
「ああ、いえ、それなら私も行きます。待っているのも落ち着かなくて」
「そうですか。それなら行きましょうか」
私はルベート様の言葉にゆっくりと頷いた。
この騒ぎの原因は、とりあえず知っておきたかった。それがわからないままでは、休むこともできなさそうだからだ。
こうして私とルベート様は、屋敷の玄関に向かうのだった。
まだ夕方ではあるが、旅の疲れなどもあって少し眠たい。夕食まではまだまだ時間があるだろうし、一眠りしてもいいかもしれない。
「……うん?」
そう思って目を瞑っていた私は、すぐに目を開けることになった。
なんというか、屋敷が騒がしいのである。
こういう風に屋敷が騒ぎ始めるということは、良くないことでも起こっているということだろうか。
少なくとも急な事態でもなければ、バタバタするなんてことはない。もしかして、急な来客などでもあったのだろうか。
「……まあ、ここでじっとしていても何かわかる訳でもないし、様子を見に行ってみようかしら」
私は、ゆっくりと立ち上がって部屋から出て行く。
すると感じていた通り、屋敷の中を使用人達が慌ただしく駆け回っている。
「おや……」
「ああ、ルベート様」
そこで私は、ルベート様を見つけた。
彼も困惑したような顔をしながら、流れに従っている。私と同じく、様子を見に来たということだろうか。
「何かあったんですか?」
「それが僕にもわからなくて……だから様子を見に来たんです」
「なるほど、やはり私と同じということですか」
「ええ、恐らく玄関の方からだと思うんですけど……」
ルベート様は、玄関の方向に視線を向けていた。
確かに、そちらの方に多くの使用人達が向かっている。騒ぎの原因がそちらの方向にあるのは、間違いなさそうだ。
「あれ? そういえば、ラティアはどうしたんですか?」
「ああ、あの子は部屋で寝ています。まあ、もしも客人などでしたら、あの子を連れて行く訳にもいきませんからね」
「それは確かにそうですね……」
先程まで一緒にいた訳ではあるが、よく考えてみれば日頃から子猫を連れている訳はない。故に私の質問は、愚問でしかなかっただろう。
ただなんというか、ルベート様はラティアと一緒にいるのがとても似合っているような気がした。それは彼の森のような穏やかな雰囲気がそう思わせるのだろうか。
「とりあえず、僕は様子を見に行ってきます。イルメア嬢にも、後でお伝えしますよ?」
「ああ、いえ、それなら私も行きます。待っているのも落ち着かなくて」
「そうですか。それなら行きましょうか」
私はルベート様の言葉にゆっくりと頷いた。
この騒ぎの原因は、とりあえず知っておきたかった。それがわからないままでは、休むこともできなさそうだからだ。
こうして私とルベート様は、屋敷の玄関に向かうのだった。
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