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33.大樹の浄化
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私は、アグナヴァン様と先生とともに、大樹の元に来ていた。
エルムルナ様の指導もあって、私は闇の魔力を感じ取れるようになっている。
そのため、大樹がどれだけ汚染されているかを理解できた。本当に、ひどい状態だ。このままでは大樹は枯れ果ててしまう。
「先生、少し手を貸していただけますか?」
「ええ、もちろん、私は構いませんよ。何をすればいいか、教えてくれますか?」
「私と大樹の周りに、結界を張っていて欲しいのです。闇の魔力が暴走して、辺りを破壊する可能性がありますから」
「わかりました」
とりあえず、私は先生に結界を張ってもらうことにした。
それは、この王城を守るためだ。そのような義理があるという訳ではないが、別に私もここを滅茶苦茶にしたいとは思っていない。ここは、形式に従うべきだろう。
「フェルーナ殿、本当に大丈夫なのか?」
「ええ、アグナヴァン様。問題はありません。私の力なら、闇の魔力を払えます」
「……危険なのだろう? 結界を張るということは……」
「心配してくれて、ありがとうございます。ただ、忘れているかもしれませんが、私は聖女の資格を持つ者です。ドルマニア王国やスウェンド王国の中でも、有数の力を持つものですから、この程度のことは造作もありません」
「そうか……」
アグナヴァン様は、私のことを心配してくれていた。
結界を張ると聞いたことで、私が危険に晒されると理解したのだろう。
だが、私は安全だ。魔力で体を覆うことで、私の体はこの王城の壁や天井とは比べ物にならない程の強度になる。
「フェルーナ嬢、いきますよ?」
「ええ、お願いします」
私は、先生の言葉にゆっくりと頷いた。
その直後、私の周りには結界が展開される。先生も、それなりの実力者なので、この結界は闇の魔力を外に出したりしないだろう。
「さて……」
私は、ゆっくりと大樹に両手をかざす。
そして、そのまま魔力を集中させて、大樹の中に流れている闇の魔力を攻撃する。
「これは、一体……」
次の瞬間、闇の魔力が煙のように大樹の中から溢れ出してきた。私の魔力から逃れるために、外に出てきたのだろう。
だが、結界によってそれらの魔力は封じ込められる。この場から、あの魔力が逃れる術はないのだ。
「消え去れ……闇の魔力よ!」
そんな闇の魔力を、私は再び攻撃した。
その結果、辺りの煙は霧散していく。闇の魔力が、滅びたのだ。
とはいえ、大樹からはまた新たな闇の魔力が溢れ出している。それらを全て滅ぼさなければ、問題は解決しないのだ。
エルムルナ様の指導もあって、私は闇の魔力を感じ取れるようになっている。
そのため、大樹がどれだけ汚染されているかを理解できた。本当に、ひどい状態だ。このままでは大樹は枯れ果ててしまう。
「先生、少し手を貸していただけますか?」
「ええ、もちろん、私は構いませんよ。何をすればいいか、教えてくれますか?」
「私と大樹の周りに、結界を張っていて欲しいのです。闇の魔力が暴走して、辺りを破壊する可能性がありますから」
「わかりました」
とりあえず、私は先生に結界を張ってもらうことにした。
それは、この王城を守るためだ。そのような義理があるという訳ではないが、別に私もここを滅茶苦茶にしたいとは思っていない。ここは、形式に従うべきだろう。
「フェルーナ殿、本当に大丈夫なのか?」
「ええ、アグナヴァン様。問題はありません。私の力なら、闇の魔力を払えます」
「……危険なのだろう? 結界を張るということは……」
「心配してくれて、ありがとうございます。ただ、忘れているかもしれませんが、私は聖女の資格を持つ者です。ドルマニア王国やスウェンド王国の中でも、有数の力を持つものですから、この程度のことは造作もありません」
「そうか……」
アグナヴァン様は、私のことを心配してくれていた。
結界を張ると聞いたことで、私が危険に晒されると理解したのだろう。
だが、私は安全だ。魔力で体を覆うことで、私の体はこの王城の壁や天井とは比べ物にならない程の強度になる。
「フェルーナ嬢、いきますよ?」
「ええ、お願いします」
私は、先生の言葉にゆっくりと頷いた。
その直後、私の周りには結界が展開される。先生も、それなりの実力者なので、この結界は闇の魔力を外に出したりしないだろう。
「さて……」
私は、ゆっくりと大樹に両手をかざす。
そして、そのまま魔力を集中させて、大樹の中に流れている闇の魔力を攻撃する。
「これは、一体……」
次の瞬間、闇の魔力が煙のように大樹の中から溢れ出してきた。私の魔力から逃れるために、外に出てきたのだろう。
だが、結界によってそれらの魔力は封じ込められる。この場から、あの魔力が逃れる術はないのだ。
「消え去れ……闇の魔力よ!」
そんな闇の魔力を、私は再び攻撃した。
その結果、辺りの煙は霧散していく。闇の魔力が、滅びたのだ。
とはいえ、大樹からはまた新たな闇の魔力が溢れ出している。それらを全て滅ぼさなければ、問題は解決しないのだ。
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