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 私とシャルリナが部屋で過ごしていると、エルード様がやって来た。
 彼は、外に出ようとしないシャルリナに怒っているようだ。

「どうやら、お前は外に出たくないようだな……」
「え?」
「ベッドの上で過ごすことに正当性があるようだな?」
「い、いえ……」

 シャルリナは、エルード様に怯えていた。
 今までの話は、私に向けてのものだった。それをエルード様に聞かれていたのは、彼女にとって誤算だっただろう。

「でも、ベッドの上は人生のほとんどを過ごす場所ですよ?」
「だからといって、そこにずっといていい訳がないだろう」
「でも、ほとんどを過ごす場所が悪い場所ではありませんよね?」
「ずっと過ごせば悪い場所だ」

 エルード様は、シャルリナに堂々と反論していた。
 私も、彼のように堂々と言えるようになりたい。だが、このように気迫を出すのは、私には難しい気がする。貴族の勉強をしていけば、できるようになるのだろうか。

「お願いします、お兄様」
「その目はやめろ。鬱陶しくてかなわん」
「うぐっ……」

 私を簡単に落とした上目遣いも、エルード様には通用しない。
 やはり、兄であるため耐性があるのだろうか。

「さて、今日はそんな怠惰なお前にある提案をしにきた」
「え? 提案?」
「今日は天気もいいことだ。外に出て運動するぞ」
「運動? いや……そんなことはしたくありません」

 エルード様の言葉に、シャルリナは大きく首を振った。
 運動という言葉を聞いて、彼女の表情はかなり変わった。とても嫌そうだ。
 それは、なんとなくわかる。彼女は、運動が嫌いそうだ。

「したくないではない。たまには運動しないと、体に悪いぞ」
「大丈夫です。私は、健康ですから、問題ありません」
「仮に、今健康だったとしても、そんな生活を続けていれば、いずれは体に異常をきたす。そうならないためにも、運動するのだ」
「ううっ……」

 シャルリナは、運動を断固拒否していた。
 どうやら、かなり嫌なようだ。その態度から、それがわかりやすく伝わってくる。

「健康のために、運動するのだ。少しの時間でいいから、外に出るぞ」
「嫌です。絶対に嫌です。運動なんて、したくありません」
「何故そこまで拒否する?」
「とにかく、嫌なんです」

 恐らく、エルード様が色々と言っても、彼女はやる気にならないだろう。無理やりやらせることはできるが、それはできれば避けるべきことであるはずだ。
 だから、彼女が自発的に運動するような言葉をかけるべきなのではないだろうか。そう思い、私は少し考えるのだった。
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