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 ゴガンダ様との話し合いを終えて、私はエルード様とともに部屋の外に来ていた。
 彼が、後どれくらい生きられるかはわからない。だが、できることなら、もう少し頑張って欲しい。
 ただ、純粋に、一秒でも長く生きて欲しかった。理屈などなく、私は彼に生きていて欲しいと思っているのだ。

「……大丈夫か?」
「え?」
「これを使え」
「あっ……」

 部屋を出てから、エルード様は私にハンカチを渡してくれた。
 涙を流している私の顔は、ひどいことになっている。拭うことすら放棄していたため、きっと大変なことになっているのだろう。

「ありがとうございます……」
「……」

 私は、ハンカチで自分の涙を拭いていく。
 だが、拭っても、また涙が流れてくる。私の涙腺は、少しおかしくなってしまっているようだ。

「……大丈夫ではないようだな」
「すみません……」
「謝る必要はない。それだけ、お前が悲しんでいるということだろう」
「はい……」

 エルード様は、私が悲しんでいるから涙を流していると思っているらしい。
 恐らく、それは正解だろう。最初はわからなかったが、今はゴガンダ様が死んでしまうという悲しみで泣いているはずだ。
 この涙を止めることは、中々できないだろう。そんなにすぐに、感情を整理することはできないのである。

「この際、好きなだけ泣いた方がいいのかもしれないな……」
「好きなだけ……ですか?」
「ああ、その方が気も楽になるだろう」
「まあ、確かにそうですね……」

 エルード様の言葉に、私は頷いた。
 この際、たっぷりと泣いた方がいいのはその通りだろう。
 だが、このまま泣くというのは、少し辛い。だから、少し手助けをしてもらいたい。

「あの……エルード様、胸を貸してもらえますか?」
「胸? そうか……わかった」

 私の言葉の意図を、エルード様はすぐに汲んでくれた。察しが早くて、本当に助かる。
 申し訳ないが、彼には私の感情を受け止めてもらう。一人で泣いていると、折れてしまうので、そうしてもらいたかったのだ。

「それじゃあ、失礼します」
「ああ……」

 私の体は、エルード様の胸にしっかりと受け止められる。
 彼の胸の中で、私はゆっくりと涙を流していく。
 エルード様は、特に何も言わなかった。それが、とてもありがたい。私は何も考えず、彼の胸で泣いていいのだ。

「む……」
「え?」

 そんな風にしていると、エルード様が少し気まずそうな声をあげた。
 その声色から、何が起こったかは大体わかる。恐らく、誰かが来てしまったのだろう。
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